金メダリストのギジェルモ・リゴンドーはアメリカで評価を高めることができるか?
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アメリカは「勝敗」だけでなく「試合内容」や「ファイティング・スピリッツ」を評価するファンや関係者が多く、必ずしも「全勝チャンピオン=人気ボクサー」の方程式が当てはまりません。逆に、負けた試合で評価を高めたボクサーもたくさんいます。最近で言うと、ルスラン・プロボドニコフが典型的な成功例でしょうか?
アメリカに限ったことではありませんが、外国人ボクサーに対する評価は、自国のボクサーに対する評価に比べて、どうしてもシビアになってしまいます。ファンの評価に限れば、仮に、ギジェルモ・リゴンドーがフロイド・メイウェザーと全く同じボクシングができたとしても、アメリカのファンは両者に同じ評価を与えないはずです。
海外からアメリカへやって来たボクサーの評価は、自国でどんなに実績があっても「ゼロからのスタート」です。もちろん、アマチュアの輝かしい実績があれば「ファイトマネー」や「世界タイトル挑戦の道」で優遇されることは間違いありません。でも、プロボクサーとしての評価はゼロから積み上げていく必要があります。
【Photo:Top Rank】
最近、アメリカを中心に「キューバのボクシングスタイルはプロボクシングに不向きじゃないか?」という声が高まっていますが、管理人は「そんなことないと思うけどなあ。プロボクシングに向いているボクサーもたくさんいるよ」と思っているファンのひとりです。
確かに、ビッグマッチで勝利に徹したギジェルモ・リゴンドーはプロで評価されにくい傾向があると思います。かつて絶大な人気を誇りながら、最近はフィニッシュを狙わなくなったユリオルキス・ガンボアの評価が落ちていることも事実だと思います。
【Photo:Top Rank】
でも、キューバ出身のボクサーが「プロに不向きか」と言われたら、違う気がします。エリスランディ・ララのように、試合を重ねながら評価を高め、ファンを獲得しているボクサーもいますからね。最終的に、リングで戦うボクサーの美学に委ねられるので、結局は「何を最優先するか」「どこで線引きするか」で大きく進むべき道が変わってくると思います。
迷いながら「引いた線」の「こっちとあっち」で、理想と現実に苦悩しながらリングで戦い、ファンを熱狂させ、勝利を追い求める勇姿に、プロボクシングの美しさや厳しさが隠れています。答えはなく「進む道」は無限にあります。でも、ひとりのボクサーが「進むべき道」はひとつが理想です。ファンは、ボクサーの「個性」「情熱」「信念」に熱狂するのですから。
なかなか試合の決まらなかったギジェルモ・リゴンドーですが、12月にジョセフ・アグベコと防衛戦を行うことが発表されました。ノニト・ドネアに快勝しながら、苦難の道を歩むことになった「キューバのジャッカル」は新しい一歩を踏み出すことができるでしょうか?ギジェルモ・リゴンドーの未来を左右する注目の防衛戦です!