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ビック・ダルチニャン

軽量級屈指の破壊力を誇る「レイジングブル」

アルメニア出身のビック・ダルチニャンは強打を振り回すボクシングでKO勝ちを続ける軽量級屈指のハードパンチャーです。シドニーオリンピックに出場後、プロに転向したビック・ダルチニャン。アマチュア出身とは思えない変則的なボクシングが大きな特徴です。

上半身を小刻みに動かし、いきなり飛び込んで強烈な一撃を放ちます。しかも、サウスポーなんです。独特の間合いとタイミングから繰り出される強打は対戦相手にとって脅威ですね。攻撃が大好きなボクサーで、一番打ちやすい構えを追求した結果、変則的なボクシングに行き着いたのだと思います。

変則的なスタイルですが、ビック・ダルチニャンのボクシングはとても理にかなっています。基本は、右ジャブを突きながら、相手との距離を測り、飛び込んで強烈な左ストレートを打ち込むボクシング。ただ、普通のボクサーの3倍くらいフェイントを入れるので、変則的に感じるのだと思います。

チャンスが訪れると、顔面、ボディー、ストレート、フック、すべてのパンチを使って相手をリングに沈めます。パンチはフォロースルーがしっかりしていて、「打ち抜く」という表現がぴったりです。このフォロースルーがビック・ダルチニャンの高いKO率を生み出している秘密だと思います。

軽量級と思えない迫力満点のボクシングをするビック・ダルチニャンが初の世界タイトルを奪取したのは2004年12月。IBF世界フライ級チャンピオンのイレーネ・パチェコを11ラウンドTKOで撃破し、全勝のまま世界チャンピオンに輝きます。

その後、6度の防衛に成功。「迫力がフライ級のボクサーじゃないよ」という試合ばかりで、「タイトルを返上するまで負けないんじゃないかな?」というインパクトを世界中のボクシングファンに与えました。

ところが、7度目の防衛戦でプロ初黒星を喫してしまいます。2007年7月、ノニト・ドネアにまさかのTKO負け。攻撃に行ったところへカウンターの左フックをもらいマットに沈んでしまいました。ビック・ダルチニャンの敗戦は本当に衝撃的で「2007年最大の番狂わせ」と呼ばれた試合です。

その後は、減量苦もあり、階級をひとつ上げて、スーパーフライ級でカムバックします。スーパーフライ級でもビック・ダルチニャンのパンチは猛威を振い、2008年8月、2階級制覇をかけて、IBF世界スーパーフライ級チャンピオンのディミトリー・キリロフに挑戦。圧倒的な攻撃力を武器に、5ラウンドKO勝ちでタイトル奪取に成功し、2階級制覇を成し遂げます。

さらに、2008年11月には、WBA・WBCチャンピオンのクリスチャン・ミハレスと3団体統一戦を行い、9ラウンドKO勝ちで3本のベルトを統一。「テクニシャンのミハレスがダルチニャンの強打をかわして判定勝ちするんじゃないかな?」という管理人の予想を覆す完璧なボクシングでした。

2009年9月には、メキシコが誇る人気ボクサーのホルヘ・アルセと激突。真っ向勝負を挑んでくる暫定チャンピオンのホルヘ・アルセに対して、真っ向からパワーで応戦し、11ラウンド終了TKO勝ちでタイトル統一に成功します。

スーパーフライ級を制圧したビック・ダルチニャンは2009年7月、バンタム級へ階級を上げ、3階級制覇をかけてジョセフ・アグベコと激突。しかし、結果は12ラウンド判定負けで3階級制覇に失敗します。軽量級屈指のタフネスを誇るジョセフ・アグベコの前に、ビック・ダルチニャンが初めてパワー負けした試合でした。

その後、スーパーフライ級へ階級を戻したビック・ダルチニャンは、トマス・ロハスに2ラウンドKO勝ち、ロドリゴ・ゲレロに12ラウンド判定勝ちをおさめ、タイトル防衛に成功。2010年10月、「バンタム級最強」を決めるトーナメントに出場するため、再びバンタム級参戦を表明します。

しかし、新鋭のアブネル・マレスに僅差の判定負けを喫し、バンタム級トーナメント準決勝で敗退。またしても、バンタム級の壁がビック・ダルチニャンの前に立ちふさがった試合でした。

「激戦のバンタム級は、ダルチニャンにパワー負けしないボクサーがたくさんいるもんね。バンタム級だと体の小さいダルチニャンは厳しいのかな?」と思ったボクシングファンは管理人だけではないと思います。

しかし、2011年4月に行われたバンタム級トーナメント3位決定戦で、その不安を一蹴します。抜群のタフネスとパワーを誇るヨニー・ペレスを圧倒して5ラウンド負傷判定勝ち。「当たれば勝てる」と世界中のボクシングファンに再び印象付けたビック・ダルチニャンらしい試合でした。

復活を果たしたビック・ダルチニャンは2011年12月、3階級制覇をかけてアンセルモ・モレノの持つWBA世界バンタム級タイトルに挑戦。しかし、結果はアンセルモ・モレノのテクニックに自慢の強打を封じ込まれ、3階級制覇の野望はまたしても失敗に終わりました。

悲願の3階級制覇へ執念を燃やすビック・ダルチニャンは2012年4月、山中慎介選手が持つWBC世界バンタム級タイトルに挑戦するため来日。しかし、結果は12ラウンド判定負け。山中慎介選手に距離を支配され、またしてもバンタム級の壁を越えることができませんでした。

黒星が続くビック・ダルチニャンですが、攻撃的なボクシングが評価され、人気は健在。2013年11月にプロ初黒星を喫したノニト・ドネアと再戦するチャンスを手にします。結果は9ラウンドTKO負け。6年ぶりのリマッチで再びリングに沈んだビック・ダルチニャンですが、最後まで「KOリベンジ」を狙った姿に世界中のボクシングファンが惜しみない拍手が降り注いだ名勝負でした。

ノニト・ドネア再戦の内容が評価され、再び3階級制覇のチャンスをつかんだビック・ダルチニャンは2014年5月、WBA世界フェザー級チャンピオンのニコラス・ウォルタースに挑戦します。しかし、結果は無念の5ラウンドTKO負け。ニコラス・ウォルタースのパワーとテクニックに3階級制覇の夢を打ち砕かれてしまった完敗でした。

軽量級屈指の強打を武器に対戦相手をリングに沈めてきたビック・ダルチニャン。サウスポーから放たれる一撃強打で世界中のボクシングファンを魅了する「レイジングブル」は悲願の3階級制覇を達成し、再び世界チャンピオンに返り咲くことができるでしょうか?ビック・ダルチニャンの最終章に注目です。

ビック・ダルチニャンのプロフィール

誕生日 1976年1月7日
ニックネーム レイジングブル(怒れる猛牛)
戦績 47戦39勝28KO7敗1分
獲得タイトル
  • IBF世界フライ級タイトル
  • IBF世界スーパーフライ級タイトル
  • WBA世界スーパーフライ級タイトル
  • WBC世界スーパーフライ級タイトル
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