倒し倒されの激闘!ゴールデンボーイ対バズーカの名勝負
「ゴールデンボーイ」、オスカー・デラホーヤに前WBA世界ウェルター級チャンピオン、無敗のアイク・クォーティーが挑むWBC世界ウェルター級タイトルマッチ。WBA世界ウェルター級タイトルを保持していたクォーティが、そのタイトルを剥奪されても実現したかったカードがデラホーヤ戦です。
このタイトルマッチは実質的な統一戦。世界中のボクシングファンの間で大きな話題を呼びましたが、クォーティーにとって、タイトル自体は問題じゃなかったはずです。クォーティーの頭の中にあったのはデラホーヤに勝つことだけ。フリオ・セサール・チャベス、パーネル・ウィテカーなどのスーパースターを次々と打ち破り、ボクシング界で絶対的な人気と地位を築きつつあるデラホーヤに勝つことが、ボクシング界にどれだけ大きな影響力を与えるかはデラホーヤについて少しでも知っている人なら誰でもわかりますからね。
この試合が決まったとき、管理人は「デラホーヤはどうしてクォーティーを選んだんだろう?」と疑問に思いました。鉄壁のガードを誇るクォーティーより、攻撃力はあるが、ディフェンスの甘いIBFチャンピオンのフェリックス・トリニダードのほうがデラホーヤにとって戦いやすい相手だと思ったからです。クォーティーには鉄壁のガードに加えて、「バズーカー」と呼ばれる破壊力抜群の右ストレートがあります。試合前、デラホーヤがクォーティーのガードを打ち破れず、疲れが出始めたところに「バズーカー」をもらう最悪のパターンが管理人の頭をよぎります。
試合は予想通りのスリリングな展開。スピードを活かした回転の速い連打を武器に戦うデラホーヤに対して、クォーティーはしっかりとガードを固め、チャンスと見るや「バズーカー」を打ち込みます。これだけ緊張感のある試合は久しぶりです。両者の戦術は正反対。特に左ジャブの使い方は対照的ですね。デラホーヤのジャブはまるで速射砲。手数が多く速いジャブです。一方、クォーティーのジャブは一発一発が重そう。左ジャブも「バズーカー」ですね。
両者が素晴らしい左ジャブの突き合いを展開しながら、迎えた6ラウンド。試合が大きく動きます。デラホーヤの左フックがクォーティーの顔面をクリーンヒット。試合の流れを決定付けるダウンのように思えましたが、勝負に出たデラホーヤに対して、クォーティーが会心の左フックを叩き込みます。今度はデラホーヤがダウン。両者のダウンのダメージを比較すると、デラホーヤのほうがダメージが深そうです。猛攻を仕掛けるクォーティーの反撃を何とか耐え忍んだデラホーヤ。今まで観た試合で一番危ない場面でした。
7ラウンド以降はお互いダメージを抱える中、ディフェンスを大事に戦う展開。一進一退の攻防が続き、どちらが勝っているのかわからないまま、最終ラウンドを迎えます。管理人は生涯、この最終ラウンドに起きた出来事を忘れることはないでしょう。それほどインパクトのある最終ラウンドがデラホーヤとクォーティーを待っていたのです。
最終ラウンド、ゴングが鳴ると同時に飛び出したクォーティー。「あ、やばいかも」とデラホーヤを心配する管理人の目の前に現れた光景は「尻餅をついたクォーティー」でした。デラホーヤの左フックがクォーティーにクリーンヒットし、この試合2度目のダウンを奪ったのです。
一気に勝負を決めるため、追い討ちをかけるデラホーヤ。クォーティーをロープに詰め、すさまじい連打を集めます。力なくロープにもたれかかるクォーティーに対して、デラホーヤは持てる力のすべてを出し切ってパンチを打ち込みます。歯をくいしばりながら連打するデラホーヤ。ギリギリの状態で何とか耐えるクォーティー。連打が終わると、デラホーヤもクォーティーもフラフラです。両者とも立っているのがやっとの状態。決着は3人のジャッジに委ねられ、結局、2対1の判定でデラホーヤが防衛に成功しました。
序盤は素晴らしい左ジャブの突き合い。中盤は倒し倒されの攻防。そしてドラマチックな最終ラウンド。まさにボクシングの魅力が凝縮された名勝負です。ライバル同士がお互いの力を最大限に引き出すと、これだけの名勝負が生まれるんですね。体力的、精神的に限界に追い込まれた最終ラウンドで、究極のファイティングスピリッツを見せたデラホーヤ。やはり、あなたは「ゴールデンボーイ」です。


