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ウラディミール・クリチコ

恵まれた体格から自慢の強打を打ち込むクリチコ兄弟の弟

ウラディミール・クリチコは、2メートル近い長身から振り下ろす強烈な右ストレートを武器にヘビー級の3団体を統一したスーパースターです。

ニックネームは「ドクター・スティールハンマー」。得意の右ストレートがクリーンヒットすると、試合が終わってしまう典型的な強打者ですね。

同じく強打者で「ヘビー級のボス」と呼ばれる兄のビタリ・クリチコと比較すると、弟のウラディミール・クリチコのほうが慎重に戦うタイプだと思います。ウラディミール・クリチコは「もう反撃する余力が残っていない」と判断するまで中間距離でパンチを叩き込む自分のボクシングを崩しません。

慎重なボクシングを貫いているので、兄のビタリ・クリチコと比較して、パンチを被弾するケースが少ないんです。自分のボクシングを貫き、勝負に徹する強さこそ、ウラディミール・クリチコが「ヘビー級最強」と呼ばれる理由だと思います。

クレバーなボクシングを得意とするウラディミール・クリチコは体育学の博士号を取得している秀才。ボクサーとして異色の経歴の持ち主は「ドクター」と呼ばれ「ドクター・スティールハンマー」のニックネームの由来となっています。ちなみに、兄のビタリ・クリチコも体育学の博士号を取得しています。「強くて、賢いボクサー」の代表ですね。

「ボクシング史上最強の兄弟ボクサー」と呼ばれるクリチコ兄弟の弟であるウラディミール・クリチコが初の世界タイトルを獲得したのは2000年。ヘビー級としては珍しいサウスポーの技巧派チャンピオンのクリス・バードに12ラウンド判定勝ちを飾り、WBO世界ヘビー級タイトルを奪取します。

初の世界タイトル奪取を成し遂げた試合で、ウラディミール・クリチコは2つの強さを証明しました。ひとつは「ヘビー級の醍醐味であるパワー」、もうひとつは「ヘビー級らしからぬ鋭い左ジャブの連打」です。王座戴冠をきっかけに、2つの強さを兼ね備えたウラディミール・クリチコは一気にヘビー級戦線のトップに躍り出ます。

王座獲得後、着実に防衛を重ねるウラディミール・クリチコ。マイク・タイソンに完璧なKO勝利を飾り、ヘビー級を席巻していたレノックス・ルイスを倒せるボクサーは「ウラディミール・クリチコとビタリ・クリチコのクリチコ兄弟しかいない」と言われるほどの世界的な評価を獲得します。

しかし、「ルイス対クリチコ兄弟の実現が近い」と期待された2003年。ウラディミール・クリチコはコーリー・サンダースを迎えた6度目の防衛戦でまさかの2ラウンドKO負け。WBO世界ヘビー級タイトルを失ってしまいます。

さらに、2004年4月には当時空位だったWBO世界ヘビー級タイトルをレイモン・ブリュスターと争いますが、結果は衝撃の5ラウンドTKO負け。世界戦で2連続KO負けを喫したことで、ウラディミール・クリチコの打たれ弱さやスタミナ不足を指摘するボクシング評論家が増え、それらの指摘は、それから数年間、根強く残ることになります。

管理人が考えるウラディミール・クリチコの弱点は、打たれ弱さやスタミナ不足ではなく、勝負勘の悪さです。ウラディミール・クリチコは慎重に慎重を重ねて試合を運んでいくタイプのボクサーなので、試合を決められる場面で勝負せず、逆転で敗れてしまったことが評価を下げた原因だと思います。

しかし、2006年4月、IBF世界ヘビー級チャンピオンのクリス・バードに勝って再び世界チャンピオンに返り咲くと、試合を重ねるごとに勝負どころで仕掛ける姿勢が出始めます。一気に試合を決める強さを身につけたウラディミール・クリチコは挑戦者にとって脅威の存在となったのです。

2007年7月に行われた3度目の防衛戦では、TKO負けを喫したレイモン・ブリュスターにTKO勝ちを飾り、リベンジに成功。絶対的な強さと安定感を身につけたウラディミール・クリチコは2008年2月、王座統一をかけてWBOチャンピオンのスルタン・イブラギモフと拳を交えます。

結果は、ウラディミール・クリチコの12ラウンド判定勝ちで王座統一に成功。王座を統一したウラディミール・クリチコは、ハシム・ラクマン、ルスラン・チャガエフ、エディ・チャンバース、サミュエル・ピーターなどの強豪を次々とKOで撃破し、完璧な内容でタイトルを防衛し続けます。

圧巻の防衛を重ねるウラディミール・クリチコは2011年7月「ヘビー級最強」の称号をかけてWBAチャンピオンのデビッド・ヘイと激突。世界中のボクシングファンが待ち望んだ3団体統一世界ヘビー級タイトルマッチで、ウラディミール・クリチコはデビッド・ヘイをシャットアウト。12ラウンド判定勝ちを飾ります。

ウラディミール・クリチコがWBA、IBF、WBOの3本のベルトの獲得に成功し、WBCチャンピオンのビタリ・クリチコと合わせて4本のベルトを奪取。クリチコ兄弟がヘビー級主要4団体の世界ヘビー級チャンピオンベルトを独占するというボクシングの歴史に残る大偉業が達成された瞬間でした。

「ヘビー級最強」の称号をほしいままにするウラディミール・クリチコは2012年3月、2階級制覇を目指すジャン・マルク・モルメクと激突。結果は、ウラディミール・クリチコの4ラウンドKO勝ち。世界中のボクシングファンに圧巻の強さを誇示し、50回目のKO勝ちを飾った記念すべき試合でした。

挑戦者を全く寄せ付けない強さを誇るウラディミール・クリチコは2012年7月、過去に一度勝っているトニー・トンプソンを指名挑戦者に迎え、スイスで防衛戦を行います。結果は圧巻の6ラウンドTKO勝ち。攻撃的なボクシングで3つのヘビー級タイトルを防衛しました。

圧倒的な強さで防衛を重ねるウラディミール・クリチコは2012年11月、全勝のマリウス・ワフと激突。202センチの身長を誇るタフなマリウス・ワフに手を焼く場面もありましたが、結果は12ラウンド大差の判定勝ち。ウラディミール・クリチコの頭脳的なボクシングが印象に残った防衛戦でした。

圧巻の強さを見せつけるウラディミール・クリチコは2013年5月、無敗のフランチェスコ・ピアネタと激突。結果は、3度のダウンを奪う圧勝劇で、6ラウンドKO勝ち。女優のヘイデン・パネッティーアさんと婚約後、初の防衛戦で「ヘビー級最強」を改めて証明する快勝でした。

「敵なし状態」のウラディミール・クリチコは2013年10月、クリチコ兄弟の唯一の対抗王者であるアレクサンデル・ポベトキンと王座統一戦で激突。結果は12ラウンド大差の判定勝ち。敵地ロシアへ乗り込んだウラディミール・クリチコがプロでダウン経験のないアレクサンデル・ポベトキンから合計4度のダウンを奪った圧勝でした。

完璧なボクシングで王座統一に成功したウラディミール・クリチコは2014年4月、アレックス・リーパイと激突します。結果は、3度のダウンを奪う5ラウンドTKO勝ち。サモア出身のタフな挑戦者を全く寄せつけることなく、自慢の強打を叩き込むワンサイドな防衛戦でした。

ワンサイドの防衛戦を重ねるウラディミール・クリチコは2014年11月、全勝のクブラト・プーレフを迎えて防衛戦を行います。結果は、合計4度のダウンを奪う5ラウンドKO勝ち。すべてのダウンが左フックという珍しい試合運びで、クブラト・プーレフの「ブルガリア初の世界チャンピオン」という夢を打ち砕いた勝利でした。

王座返り咲きをきっかけに「頭脳的なボクサー」から「頭脳的で攻撃的なボクサー」に変貌を遂げたウラディミール・クリチコ。かつての打たれ弱さやスタミナ不足、勝負勘を悪さを払しょくしたウラディミール・クリチコは自信に満ちあふれ、アグレッシブな戦いでヘビー級の絶対王者に君臨し続けています。ボクシングの歴史に名を刻むクレバーなスーパースターです!

ウラディミール・クリチコのプロフィール

誕生日 1976年03月25日
ニックネーム ドクター・スティールハンマー
戦績 66戦63勝52KO3敗
獲得タイトル
  • アトランタ五輪スーパーヘビー級金メダル
  • WBO世界ヘビー級タイトル
  • IBF世界ヘビー級タイトル
  • WBA世界ヘビー級タイトル
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