世界の強豪ボクサーを次々と飲み込んで頂点を手にした「パックマン」
フィリピン出身のマニー・パッキャオはボクシング史上2人目、アジア出身のボクサー初の6階級制覇を達成したスーパースターです。
ボクシングの本場アメリカで絶大な人気を誇るマニー・パッキャオの魅力は決して逃げないボクシングスタイル。思い切りの良いステップインから繰り出す左ストレートは、世界中のボクサーが恐れるマニー・パッキャオの代名詞です。
マニー・パッキャオが初の世界タイトルを獲得した階級はフライ級。1998年にWBC世界フライ級タイトルを獲得したマニー・パッキャオですが、当時は減量苦との戦いでした。結局、減量失敗が原因で、1999年にタイトルを失ってしまいます。
この敗戦の後、マニー・パッキャオはアメリカへ渡り、一気に3階級上げてスーパーバンタム級で戦うことを決意。この決断がボクシングの歴史に名を刻むスーパースター誕生の第一歩になります。
若いボクサーの体が大きくなり、減量に苦しむことはよくあります。ただ、階級を上げれば、減量から開放されますが、対戦相手の耐久力も上がるので、それをためらって階級を上げることを断念するボクサーは少なくありません。
しかし、マニー・パッキャオは上の階級で通用するパンチ力と耐久力、そして抜群の瞬発力を兼ね備えていたのです。アメリカへ渡ったマニー・パッキャオのボクシング人生は劇的な変化を遂げることになります。
2001年6月、リーロ・レジャバが持つIBF世界スーパーバンタム級タイトルに挑戦。下馬評を覆す6回TKO勝ちで2階級制覇を達成します。そして、迎えた2003年11月。マニー・パッキャオのボクシング人生を左右するマルコ・アントニオ・バレラとのビッグマッチを迎えます。
軽量級を代表するスーパースターのマルコ・アントニオ・バレラが圧倒的に有利という予想で試合開始のゴングが鳴りますが、結果は世界中のボクシングファンが驚くマニー・パッキャオのTKO勝ちでした。
テレビでマニー・パッキャオの勇姿を観戦しながら「バレラがTKOで負けるなんて信じられない」と思うと同時に「強くて速いボクサーがアジアにもいるんだなあ」と心から感動しました。
マルコ・アントニオ・バレラに快勝したマニー・パッキャオは、アジア人ボクサー初の3階級制覇をかけて、2004年5月、IBF世界フェザー級チャンピオンのファン・マヌエル・マルケスに挑戦します。
1ラウンドに3度のダウンを奪ったマニー・パッキャオ。しかし、中盤以降はファン・マヌエル・マルケスの猛攻を受け、結果は引き分け。アジア人ボクサー初の3階級制覇は夢と終わりましたが、「パッキャオ強し」を強烈にアピールした試合でした。
メキシコの強豪と対戦を重ねるマニー・パッキャオは2005年3月、メキシカンボクサーのエースとして絶大な人気を誇る「恐怖の男」エリック・モラレスと拳を交えます。
マニー・パッキャオは持ち味のスピードを生かしながら打ち合いを展開しますが、結果は僅差の判定負け。しかし、2006年1月の再戦で、エリック・モラレスから10ラウンドTKO勝ちを飾り、マルコ・アントニオ・バレラとエリック・モラレスの「メキシコ2大スター」の撃破に成功します。
ビッグネームを撃破し、軽量級のスーパースターとなったマニー・パッキャオは1試合で数億円、やがて数十億円のファイトマネーを稼ぐ人気ボクサーとしての地位を確立します。これほどの大金を稼ぐアジア出身ボクサーは後にも先にもマニー・パッキャオだけではないでしょうか?
ボクシングの本場アメリカでファンの心をつかんだマニー・パッキャオは2006年11月、エリック・モラレスとラバーマッチを行い、3ラウンドKO勝ちで完全決着。さらに2007年10月には、マルコ・アントニオ・バレラと再戦し、12ラウンド判定勝ちで引導を渡します。
2008年3月、再びアジア出身のボクサー初の3階級制覇をかけて、WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンのファン・マヌエル・マルケスに挑戦。3ラウンドに左フックでダウンを奪いますが、技巧派ボクサーのファン・マヌエル・マルケスに大苦戦します。
しかし、結果は僅差の判定勝ちで見事に3階級制覇に達成。2004年に3階級制覇の夢を打ち砕かれたファン・マヌエル・マルケスと再び拳を交え、3階級制覇を成し遂げたマニー・パッキャオ。「宿命のライバル対決」はその後、さらに過熱することになります。
偉業を達成したマニー・パッキャオは2008年6月、WBC世界ライト級チャンピオンのデビッド・ディアスに挑戦。「スピードと手数で圧倒する完璧なボクシング」でデビッド・ディアスにKO勝利を飾り、見事に4階級制覇を達成します。マニー・パッキャオのスタイルチェンジがとても印象的な試合でした。
全階級最強の「パウンド・フォー・パウンド」の称号に近づいたマニー・パッキャオは2008年12月、ボクシング史上初の6階級制覇を成し遂げた「ゴールデンボーイ」オスカー・デラホーヤと対戦。結果は衝撃の8ラウンドTKO勝ち。体格差を全く苦にすることなく、禁断のスーパースター対決に勝利し、オスカー・デラホーヤに引導を渡しました。
ボクシング界のスーパースターを撃破し、世代交代を印象付けたマニー・パッキャオは2009年5月、リッキー・ハットンに2ラウンド豪快なKO勝ち。2009年11月には、ミゲール・コットに12ラウンドTKO勝ちを飾り、5階級制覇に成功します。世界中のボクシングファンが酔いしれる圧巻の強さでした。
ビッグネームを撃破し続けるマニー・パッキャオは2010年11月、空位のWBC世界スーパーウェルター級タイトルをかけてアントニオ・マルガリートと激突。結果は12ラウンド大差の判定勝ちで、オスカー・デラホーヤに続く6階級制覇を成し遂げます。
名立たるスーパースターに圧倒的な勝利を重ね「パッキャオこそ、ボクシング史上最強のパウンド・フォー・パウンド」の声は頂点に達します。世界のボクシングファンがマニー・パッキャオの強さに目を奪われていました。
「敵なし状態」のマニー・パッキャオは2011年5月、3階級制覇の実績を誇るスピードスターのシェーン・モズリーと対戦。接戦が予想された試合でしたが、マニー・パッキャオの圧力を感じたシェーン・モズリーが逃げ腰のボクシングに終始し、12ラウンド大差の判定勝ちを飾ります。
圧倒的な強さを証明し続けるマニー・パッキャオは2011年11月、宿命のライバルと決着をつけるため、最終決戦の舞台へあがることを決意します。
ライバルの名前はファン・マヌエル・マルケス。誇り高きメキシカンが「打倒パックマン」の挑戦状を叩きつけ、「パックマン」が挑戦を真っ向から受けて立つビッグマッチに世界中のボクシングファンの視線が釘付けになりました。
試合前、世界中のボクシングファンとボクシング関係者が「ウェルター級チャンピオンのパッキャオがライト級チャンピオンのマルケスを圧倒するはず」と予想しました。しかし、3度目の対戦で悲願の初勝利に執念を燃やすファン・マヌエル・マルケスがマニー・パッキャオの攻撃を空回りさせ、過去2戦と同じく接戦に持ち込んだのです。
宿命のライバルがプライドをかけて力の限り戦った第3戦。結果はマニー・パッキャオがファン・マヌエル・マルケスに僅差の判定勝ちを飾り、苦戦しながらも宿命のライバル対決に連勝しました。
ライバルに再び勝利したマニー・パッキャオは2012年6月、無敗のティモシー・ブラッドリーを迎えて4度目の防衛戦を行います。夢のフロイド・メイウェザー戦へ向けて、マニー・パッキャオの快勝を期待した試合でした。
試合は、序盤からパワーで上回るマニー・パッキャオがティモシー・ブラッドリーに襲いかかります。一方のティモシー・ブラッドリーはスピードと手数で対抗。クリーンヒットこそ少なかったマニー・パッキャオですが、主導権を握り、試合終了のゴングを迎えます。
「マルケス戦に続いて苦戦したけど、パッキャオの勝ちだろうなあ」と思ったボクシングファンがたくさんいたのではないでしょうか?管理人もそのひとりで、マニー・パッキャオの勝利を確信していました。しかし、判定の結果、勝利を手にしたボクサーはティモシー・ブラッドリーでした。
世界の強豪を飲み込み、ボクシング界を代表するスーパースターの道を切り開いたマニー・パッキャオ。快進撃を続けてきた「パックマン」が喫した7年ぶりの黒星は世界中のボクシングファンが同情する敗北でした。
7年ぶりの敗戦を喫したマニー・パッキャオは復帰戦の相手にティモシー・ブラッドリーではなく、ファン・マヌエル・マルケスを指名。世界中のボクシングファンが期待する「完全決着」を掲げ、2012年12月、ファン・マヌエル・マルケスと禁断の第4戦を行います。
結果は、世界中のボクシングファンが言葉を失う6ラウンドTKO負け。「KO勝利」を最優先し、勝負に出たマニー・パッキャオですが、ファン・マヌエル・マルケスのカウンターを浴び、意識を失ったままリングに沈んでしまいました。
世界中のボクシングファンが期待する「KO勝利」を追い求めた結果、衝撃のKO負けを喫した「パックマン」マニー・パッキャオ。頂点に君臨し続けるスーパースターだけが背負う重責を乗り越え、再び輝きを放つことができるか?それとも、このままゲームオーバーか?
世界中のファンが注目するマニー・パッキャオの再起戦は2013年11月に中国のマカオで開催されます。対戦相手は「新時代の激闘王」ブランドン・リオス。立ち上がりこそ、ブランドン・リオスの粘り強い攻撃に手を焼いたマニー・パッキャオですが、ラウンドが進むにつれて、試合を完璧にコントロール。12ラウンド大差の判定勝ちで「ゲームオーバー」を回避しました。
復活をアピールしたマニー・パッキャオは2014年4月「予期せぬ転落」のきっかけとなったティモシー・ブラッドリーと再戦で激突します。結果は、12ラウンド判定勝ちでリベンジに成功。素早いフットワークとパンチの連打で無敗のティモシー・ブラッドリーを撃破し、失った勝利と栄光を取り戻しました。
世界チャンピオンに返り咲いたマニー・パッキャオは2014年11月、中国のマカオで全勝のクリス・アルジェリと対戦します。結果は、6度のダウンを奪う12ラウンド大差の判定勝ち。マニー・パッキャオが強打と連打を融合させた攻撃でクリス・アルジェリを圧倒し、健在ぶりをアピールしました。
復活をアピールしたマニー・パッキャオは2015年5月「最強の称号」をかけてフロイド・メイウェザーと対戦します。4ラウンドに左ストレートを叩き込み、見せ場を作りましたが、フロイド・メイウェザーのディフェンスと駆け引きに持ち味を消されてしまい、無念の12ラウンド判定負け。試合後のインタビューで「私が勝っていた」とめずらしく不満を口にする姿が印象的な黒星でした。
ボクシング人生最大のピンチを乗り切り、新しいステージに進んだ「パックマン」マニー・パッキャオ。復活を果たし、次なるステージへ進んだ「パックマン」を待ち受ける新たなる強敵は誰でしょうか?ボクシング界の頂点を走り続けてきたスーパースターの最終章から目が離せませんね!
テレビ視聴の詳細 |
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マニー・パッキャオのプロフィール
誕生日 | 1978年12月17日 |
ニックネーム | パックマン |
戦績 | 65戦57勝38KO6敗2分 |
獲得タイトル |
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