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ビタリ・クリチコ

圧巻の強さでヘビー級を席巻する「史上最強の兄弟ボクサー」クリチコ兄弟の兄

2004年12月、WBC世界ヘビー級チャンピオンベルトを保持したまま、ひとりのボクサーが引退を表明しました。

チャンピオンの名前はビタリ・クリチコレノックス・ルイスマイク・タイソンが去ったヘビー級戦線で「最強」の称号をほしいままにしたボクサーも度重なるケガには勝てなかったのです。

「ヘビー級のボス」と呼ばれたボクサーのプロ通算戦績は37戦35勝34KO2敗。ビタリ・クリチコがプロのリングで喫した2つの黒星はいずれも負傷が絡んだTKO負けでした。

ウクライナ出身(生まれた場所はキルギス共和国)のビタリ・クリチコが、初めて世界ヘビー級タイトルを獲得したのは1999年6月。WBO世界ヘビー級チャンピオンのハービー・ハイドに挑戦し、2ラウンド豪快なKO勝ちで無敗のまま世界タイトルを奪取します。

このタイトル奪取で、ビタリ・クリチコは、ウクライナ出身のボクサーとして初の世界チャンピオン、旧ソ連出身のボクサーとして初の世界ヘビー級チャンピオンとなり、世界中のボクシングファンから注目されるアイコンになります。

ビタリ・クリチコは、アトランタオリンピックでスーパーヘビー級の金メダルを獲得したウラディミール・クリチコの実兄で、乱暴な言い方をすると「でかいけど、動けるボクサー」です。管理人は、2メートルを超える身長を誇り、これだけ動けるボクサーを初めて目にしました。

左ジャブが生命線で、左ジャブだけで相手にダメージを与えるだけの破壊力を持っています。左ジャブで距離を測って、フィニッシュブローの「2メートルを超える身長から打ち下ろす右ストレート」で対戦相手をリングに沈めるハードパンチャーです。

「レノックス・ルイス、マイク・タイソン、イベンダー・ホリフィールドと戦ったら、おもしろい試合になるだろうなあ。レノックス・ルイス追撃の一番手だね」と久しぶりに現れた「強いヘビー級チャンピオン」にワクワクしました。

「これからのヘビー級はレノックス・ルイスとクリチコ兄弟(ビタリ・クリチコとウラディミール・クリチコ)が引っ張っていくんだろうなあ」と期待したボクシングファンは管理人だけではないと思います。

ところが、2000年4月、ビタリ・クリチコはクリス・バードを迎えた3度目の防衛戦でプロ初黒星を喫してしまいます。試合序盤に肩を負傷しながらも、試合を優勢に進めたのですが、9ラウンド終了時に試合を放棄し、王座陥落となったのです。

その後、すぐに復帰を果たし、連勝を重ねますが、2003年6月、レノックス・ルイスの持つWBC世界ヘビー級タイトルに挑戦し、今度はパンチによる出血で6ラウンド終了TKO負け。

ビタリ・クリチコ対レノックス・ルイスは事実上の「ヘビー級最強決定戦」で、一進一退の攻防だっただけに残念な結果に思ってしまいました。

2004年4月、レノックス・ルイスが引退を表明。ビタリ・クリチコは空位となったWBC世界ヘビー級タイトルをコリー・サンダースと争い、8回TKO勝ちで見事にタイトル奪取に成功します。

再び世界チャンピオンに返り咲きますが、弟のウラディミール・クリチコと同時期に兄弟そろって世界チャンピオンになることはできず、2004年12月、ケガのため、世界チャンピオンのまま引退を決意します。

ビタリ・クリチコの引退で、クリチコ兄弟によるボクシング史上初の兄弟同時世界ヘビー級チャンピオンの夢は途絶えたかに思われました。ところが、2008年10月、4年のブランクを経て、「ヘビー級のボス」がリングへ戻ってきたのです。

復帰戦の相手は、WBC世界ヘビー級チャンピオンのサミュエル・ピーター。4年ぶりの復帰戦がいきなりの世界タイトルマッチです。

試合前の時点で、弟のウラディミール・クリチコはIBFとWBOの2つの世界ヘビー級タイトルを保持しています。つまり、ビタリ・クリチコが復帰戦に勝利すれば「ボクシング史上初の兄弟同時世界ヘビー級チャンピオン誕生」という快挙を達成する注目の大一番です。

結果は、ビタリ・クリチコが一方的にパンチを浴びせ、サミュエル・ピーターに8ラウンド終了TKO勝ち。この瞬間、クリチコ兄弟は「ボクシング史上初の快挙」を達成し、ボクシングの歴史に「クリチコ兄弟」の名前を刻みました。

「ビタリの王座返り咲きでヘビー級戦線は間違いなくクリチコ兄弟が中心になるよ。対戦相手は大変。もしクリチコ兄弟のどちらかひとりに勝っても、もうひとりが必ずリベンジを表明するはずだもん」と「クリチコ兄弟時代」の到来を目の当たりにした管理人。

盤石の強さを発揮するビタリ・クリチコは、ファン・カルロス・ゴメス、クリス・アレオーラ、アルバート・ソスノウスキー、シャノン・ブリッグス、トマス・アダメク、ディレック・チゾラなどを相手に8度の防衛を重ねます。「ヘビー級のボス」から覇権を奪おうとする挑戦者を次々と撃破します。

ビタリ・クリチコがWBCタイトルを盤石の強さで防衛し続ける一方で、2011年7月、弟のウラディミール・クリチコがデビッド・ヘイの持つWBAタイトル奪取に成功。ボクシング史上初の「兄弟ボクサーによる主要四団体の世界タイトル独占」という信じられない快挙を達成したのです。

圧巻の強さを誇るビタリ・クリチコは2012年9月、全勝のマヌエル・チャーと対戦。4ラウンドTKO勝ちでマヌエル・チャーを退け、9度目の防衛に成功します。政界進出を目指し、引退が噂される「ラストマッチ」を勝利で飾ります。

唯一無二の「最強の兄弟ボクサー」の兄としてヘビー級の頂点に君臨するビタリ・クリチコ。ヘビー級の覇権をアメリカからヨーロッパへ完全移行させた「ヘビー級のボス」は、深みのあるボクシングで世界中のボクシングファンを魅了しています。

ヘビー級の歴史を塗り替えたビタリ・クリチコは、近づく2度目の引退も世界タイトルを保持したままリングを去るのでしょうか?「うーん、勝てそうなボクサーが見当たらない」と悩んでしまうくらい強い「最強のお兄ちゃん」です!

ビタリ・クリチコのプロフィール

誕生日 1971年7月19日
ニックネーム ドクター・アイアンフィスト
戦績 47戦45勝41KO2敗
獲得タイトル
  • WBO世界ヘビー級タイトル
  • WBC世界ヘビー級タイトル
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