勇敢なハートと一撃強打を兼ね備えた屈強なボクサー

アメリカ出身のダニー・ガルシアは、どんな強豪にも屈しない勇敢なハートとワンパンチで相手をリングに沈める強打を兼ね備えたタフなボクサーです。左右のフックを上下に打ち分けて主導権を握るボクシングを得意としています。

ニックネームは「スウィフト」。日本語で「素早いヤツ」という異名を持つダニー・ガルシアですが、フロイド・メイウェザーやエイドリアン・ブローナーのように「動きが速くて捕まえきれない」という印象ではありません。どちらかと言うと、スピードよりタイミングで勝負するタイプだと思います。

ダニー・ガルシアのボクシングを支える最大の武器は、迷いなく、体重を乗せて打ち込む強烈な左右のフックです。捨てパンチがなく、一発一発のパンチがめちゃめちゃ重いんです！しかも、強烈な連打を上下に打ち分けることができるので、対戦相手からすると本当に厄介だと思います。

また、フィジカルもメンタルもタフで、接戦や苦戦に慣れているところもダニー・ガルシアの大きな強みです。相手が優勢に思える展開でも、必ずパンチを打ち返して応戦し、簡単に主導権を渡しません。粘りに粘って主導権を引き寄せる強さがあるんです。

真っ向からパワーでねじ伏せようとする正直なボクシングなので、対戦相手からすると「戦いやすい」ように思えるかもしれません。ところが、実際にリングで戦うと、ラウンドを重ねるごとにプレッシャーを感じ、追い詰められる感じがする典型的なボクサーだと思います。

10歳から父で元プロボクサーのアンヘル・ガルシアの指導を受け、ボクシングのトレーニングに励んできたダニー・ガルシアは2007年11月に19歳でプロデビュー。1ラウンドKO勝ちで白星を手にすると、ここから怒涛の20連勝を記録します。

ジワリジワリとスーパーライト級のトップ戦線へ浮上してきたダニー・ガルシアは2011年4月に元3団体統一世界ライト級チャンピオンのネイト・キャンベルと対戦。10ラウンド大差の判定勝ちを飾り、実力をアピールします。

2011年10月には、元WBO世界スーパーライト級チャンピオンのケンドール・ホルトに10ラウンド判定勝ちをおさめ、世界前哨戦で勝利を手にします。デビューから22連勝で迎えた2012年3月、初の世界タイトル挑戦をかけて「恐怖の男」エリック・モラレスに挑戦します。

結果は、全勝の快進撃を続けるダニー・ガルシアが4階級制覇の実績を誇るエリック・モラレスに12ラウンド判定勝ちを飾り、全勝のままWBC世界スーパーライト級タイトル奪取に成功します。11ラウンドにダウンを奪うなど、ダニー・ガルシアの勢いがエリック・モラレスの経験を上回った試合でした。

勢いに乗るダニー・ガルシアは2012年7月、WBA世界スーパーライト級チャンピオンのアミール・カーンと王座統一をかけて激突。1対5のオッズが示すように「ガルシアが圧倒的に不利」と予想された試合でしたが、結果は4ラウンドTKO勝ちで王座統一に成功します。

アミール・カーンに衝撃のTKO勝ちをおさめ、世界中のボクシングファンを驚かせたダニー・ガルシアは2012年10月にエリック・モラレスと再戦。リベンジに燃える「恐怖の男」を4ラウンドに完璧な左フックで豪快に沈め、圧倒的な存在感をアピールします。新旧交代を強烈に印象付けた快勝でした。

メキシコの「戦う伝説」に引導を渡したダニー・ガルシアは2013年4月、ベテランのザブ・ジュダーと対戦。スピード豊かなサウスポーのザブ・ジュダーに連打を封じ込まれる苦しい展開でしたが、結果は12ラウンド判定勝ち。新旧対決に勝利し、全勝をキープしました。

ベテランを撃破したダニー・ガルシアは2013年9月、WBC暫定チャンピオンのルーカス・マティセと激突。再び「ガルシア不利」の予想が多い「格下扱い」でしたが、11ラウンドに奪ったダウンのポイント差が勝敗を分ける大熱戦の末、12ラウンド判定勝ちで王座統一に成功します。

強打のルーカス・マティセに対して、パワーとテクニックを使い分けて応戦し、底力を強烈にアピールした「進撃のシンデレラボーイ」。世界中のボクシングファンが注目した「スーパーライト級頂上対決」で再び世界を驚かせる白星を手にしました。

ルーカス・マティセを撃破し「スーパーライト級最強」の称号を勝ち取ったダニー・ガルシアは2014年3月、両親が生まれたプエルトリコへ乗り込み、マウリシオ・ヘレーラと対戦。結果は、ダニー・ガルシアの僅差の判定勝ち。マウリシオ・ヘレーラのコンパクトなパンチと巧みな試合運びに手を焼き、何とか勝利を手にした、ほろ苦い「プエルトリコ凱旋防衛」でした。

予想外の大苦戦で評価を落としてしまったダニー・ガルシアは2014年8月、ノンタイトルマッチでロッド・サルカと対戦します。結果は、豪快な2ラウンドTKO勝ち。実力者と戦い続けてきたダニー・ガルシアが「スーパーライト級の第一人者」の強さをアピールした「テストマッチ」でした。

ロッド・サルカに快勝したダニー・ガルシアは2015年5月にIBF世界スーパーライト級チャンピオンのレイモント・ピーターソンとキャッチウエイトのノンタイトルマッチで対戦します。結果は、ダニー・ガルシアの12ラウンド判定勝ち。レイモント・ピーターソンのカウンターとディフェンスに苦しめられましたが、ギリギリのところで勝利を引き寄せ、全勝をキープしました。

一歩ずつ着実に実績と実力を積み重ね、待ちに待ったビッグマッチで強烈に存在感をアピールしたダニー・ガルシア。一躍スターダムにのし上がった屈強なボクサーは、好戦的なボクシングを貫き、どこまで連勝を伸ばすことができるでしょうか？勢いだけでなく、強打とテクニックを兼ね備えた人気ボクサーです！

ダニー・ガルシアのプロフィール