打ち出したら止まらない連打が魅力の「デザート・ストーム(砂嵐)」
アメリカ出身のティモシー・ブラッドリーは、打ち出したら止まらない連打と巧みなディフェンスで対戦相手を自分のペースに巻き込みながら戦う攻撃と防御を兼ね備えたボクサーです。
ニックネームは「デザート・ストーム(砂嵐)」。ティモシー・ブラッドリーの「デザート・ストーム」に巻き込まれてしまうと、対戦相手は防戦一方となり、怒涛の連打を浴びることになります。まさに驚異のラッシュです。
管理人が初めて観戦したティモシー・ブラッドリーの試合は2008年5月に行われたジュニア・ウィッター戦でした。ナジーム・ハメドの後継者と称される変則ファイターのジュニア・ウィッターに挑み、敵地イギリスでタイトル奪取に成功。全勝で初の世界タイトル奪取に成功します。
ティモシー・ブラッドリーは身長168センチで決して大柄なボクサーではありません。でも、超合金のような強靭な体とグラディエーターのような勇敢なハートを持ち、手数で相手を圧倒してしまう強さがあります。
しかも、体重を乗せてパンチを放つため、一発一発のパンチが重いんです。一撃で相手を沈めるタイプではありませんが、KO率以上に攻撃力のある典型的なボクサーだと思います。
全勝のまま世界タイトルを獲得したティモシー・ブラッドリーは2009年4月にWBOチャンピオンのケンドール・ホルトと王座統一戦を行い、判定勝ちでタイトル統一に成功します。
その後、WBCタイトルは防衛戦をスキップしたため、はく奪されてしまいますが、2009年11月、WBO暫定チャンピオンのレイモント・ピーターソンと王座統一戦を行い、12ラウンド判定勝ち。ティモシー・ブラッドリーのスピードと手数が決め手になった圧勝劇でした。
破竹の快進撃を続けるティモシー・ブラッドリーは2011年1月、全勝WBCチャンピオンのデボン・アレキサンダーと王座統一戦で激突。世界中のボクシングファンが注目する大一番で、真価を発揮したティモシー・ブラッドリーがタイトルを統一し、激戦区スーパーライト級の覇権を握ることに成功しました。
ティモシー・ブラッドリーがタイトルを統一したことで、最大のライバルであるアミール・カーンとの頂上決戦の機運が一気に盛り上がります。しかし、将来、マニー・パッキャオとの対戦を希望するティモシー・ブラッドリーはリスクを回避し、商品価値を保つため、アミール・カーン戦を拒否。この結果、WBCタイトルの防衛戦を行うことができず、WBCタイトルをはく奪されてしまいます。
アミール・カーンから「ボクシングファンが期待するビッグマッチを台無しにした男」と酷評され、「逃げ腰チャンピオン」という厳しい世論にさらされたティモシー・ブラッドリー。しかし、自分の信念を貫き、ビッグマッチのチャンスを待ちます。
ティモシー・ブラッドリーは2011年11月、マニー・パッキャオ対ファン・マヌエル・マルケスのアンダーカードで、2階級制覇の実績を誇るホエル・カサマヨルと激突。ティモシー・ブラッドリーが自慢の連打で実力差をみせつけ、WBOタイトルの防衛に成功します。
自分の信念を貫き、ビッグマッチを待ち続けたティモシー・ブラッドリーは2012年6月、ついにマニー・パッキャオと対戦。世界中のボクサーが切望する「プラチナチケット」を手にしたティモシー・ブラッドリーは、圧倒的な攻撃力を誇るマニー・パッキャオにスピードと連打で対抗します。
結果は、世界中のボクシングファンを驚かせる12ラウンド判定勝ち。賛否両論が巻き起こるきわどい判定でしたが、7年間無敗の快進撃を続けてきたスーパースターのマニー・パッキャオに勝利を飾り、ボクシング界の中心に大きな一歩を踏み出します。
大金星を手にしたティモシー・ブラッドリーは2013年3月、ウェルター級タイトルの初防衛戦でルスラン・プロボドニコフと対戦。序盤からルスラン・プロボドニコフの強打を浴び、最終ラウンドにダウンを奪われる大苦戦でしたが、僅差の判定で逃げ切り、初防衛に成功します。フラフラになりながら打ち合うティモシー・ブラッドリーの姿が印象的な大激闘でした。
激闘を制したティモシー・ブラッドリーは2013年10月、4階級制覇の実績を誇るファン・マヌエル・マルケスと激突。立ち上がりこそ、ファン・マヌエル・マルケスのカウンターに苦しめられますが、試合が進むにつれて、スピードで圧倒し、12ラウンド判定勝ち。マニー・パッキャオに続き「レジェンド」の撃破に成功した2度目の防衛戦でした。
強豪を次々と撃破するティモシー・ブラッドリーは2014年4月、過去に勝利を飾ったマニー・パッキャオと再戦で激突します。しかし、結果は12ラウンド判定負け。序盤から完全決着を目指してパワフルなパンチを打ち込んだティモシー・ブラッドリーでしたが、マニー・パッキャオに連勝することはできず、無念のプロ初黒星を喫してしまいました。
復活を目指すティモシー・ブラッドリーは2014年12月、強打のディエゴ・チャベスと再起戦で激突します。結果は、三者三様のドロー。パワーで上回るディエゴ・チャベスに対して、ティモシー・ブラッドリーが序盤からアクセス全開で応戦しましたが、終盤、ポイントを許してしまい、再起戦で勝利を手にすることはできませんでした。
最強の称号「パウンド・フォー・パウンド」をほしいままにしてきたマニー・パッキャオを撃破し、一躍スポットライトを浴びることになったティモシー・ブラッドリー。吹き荒れる「デザート・ストーム(砂嵐)」の復活に期待しましょう。
ティモシー・ブラッドリーのプロフィール
ニックネーム | デザート・ストーム(砂嵐) |
誕生日 | 1983年8月29日 |
戦績 | 33戦31勝12KO1敗1分1無効試合 |
獲得タイトル |
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