ライトヘビー級12回戦
元4階級制覇 チャンピオン |
ロイ・ジョーンズ(アメリカ) 戦績:55戦51勝38KO4敗 |
元3階級制覇 チャンピオン |
フェリックス・トリニダード(プエルトリコ) 戦績:44戦42勝35KO2敗 |
試合内容
一体誰がこのカードの実現を予想したでしょうか?20世紀の終わりから21世紀の始めにかけて「パウンド・フォー・パウンド」の名を欲しいままにした天才ボクサー、ロイ・ジョーンズと驚異的なKO率でKOの山を築いたプエルトリコの天才ハードパンチャー、フェリックス・トリニダード。
ロイ・ジョーンズはミドル級、スーパーミドル級、ライトヘビー級チャンピオン、そしてヘビー級の4階級を制覇し、トリニダードはウェルター級、スーパーウェルター級、ミドル級の3階級を制覇した元チャンピオンですが、階級が全く違う両者の対決が実現することを予想したボクシングファンはほとんどいないと思います。まして、トリニダードは2年8ヶ月ぶりの復帰戦で、いきなりロイ・ジョーンズと対戦するのです。
この一戦が決まったとき、正直に言いますと、管理人は「伝説のボクサー同士の対決だけど、元スーパースター同士の対決だよな」と思いました。両者のネームバリューはボクシング界でずば抜けていますが、ロイ・ジョーンズは最近あまり活動的でなく、引退していたトリニダードはこの試合が復帰戦です。そのため、あまり期待していなかったのですが、「さすがは伝説のチャンピオン同士の激突だ」と納得できる内容でした。
序盤はプエルトリコの英雄、トリニダードのペースで試合が進みます。トリニダードは2年8ヶ月ぶりの復帰戦とは思えないほど、積極的に左ジャブ、左フックを放ち、ロイ・ジョーンズがガードを固めて耐える場面が目立ちます。
この試合で一番驚いたのは、トリニダードの左の使い方が全盛期と遜色ない出来だったことです。特に、顔面、ボディーへの左フックは圧巻で、ロイ・ジョーンズも想像以上にパンチのキレを感じていたと思います。
しかし、そこは天才ロイ・ジョーンズ。鉄壁のブロックでトリニダードの強打を防ぎ、クリーンヒットをもらうことはありません。試合が進むにつれて、少しずつトリニダードに疲れが見えはじめ、流れはロイ・ジョーンズへ傾きます。
7ラウンドには、ロイ・ジョーンズの右フックがトリニダードのテンプルをとらえ、ダウンを奪います。こうなると、試合は完全にロイ・ジョーンズのペース。トリニダードのパンチにも慣れてきたのか、ガードを下げて持ち前のスピードを武器にフットワークを活かした戦法に切り替えます。10ラウンドには、左ジャブから右ストレートのワンツーでこの試合2回目のダウンを奪います(最初の左ジャブだけでダウンしていたと思います)。
試合はこのまま12ラウンド判定でロイ・ジョーンズの勝利。全体的に手数が少なかったように思いますが、アメリカの新鋭、チャド・ドーソンが君臨するライトヘビー級戦線に「ロイ・ジョーンズ健在」をアピールした試合になりました。
また、敗れはしましたが、トリニダードは全盛期を彷彿とさせるパンチのキレを見せ、このまま戦い続ければ、もう一度チャンピオンに返り咲くのも夢じゃないと思わせてくれる試合内容でした。この日は、戦い続けていたロイ・ジョーンズが引退していたトリニダードを上回りましたが、もしリターンマッチが実現すれば、違う結果も考えられると思います。
いずれにしても、伝説のチャンピオン二人が世界のトップ戦線に帰ってきたことは、ひとりのボクシングファンとして大変嬉しく、今後、ロイ・ジョーンズとフェリックス・トリニダードが誰と戦うのか、目が離せません。
試合結果
試合結果 | ロイ・ジョーンズが2度のダウンを奪う判定勝ち 【公式ジャッジの採点結果】
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