亀田兄弟の実力は正当に評価され、報道されているのか？

移籍問題でますます注目を集める亀田兄弟。良くも悪くも日本でボクシングがこれほど話題になることは珍しいですね。単純に考えて、亀田兄弟に人気がなければ、これだけ話題になることはありません。現在の日本ボクシング界の人気を支えているのは、WBC世界フライ級チャンピオンの内藤大助選手と亀田兄弟だと言っても過言ではないと思います。

実際、内藤選手や亀田兄弟がリングに上がれば、チケットが売れます。彼らの試合はテレビの視聴率も高く、興行として大きな成功を期待できるのです。内藤選手も亀田兄弟もプロボクサーなので、ファイトマネーやテレビ出演料、CM出演料に直接結びつく「人気」は欠かせない要素です。ですから、人気作りのために、大口を叩いたり、過激なパフォーマンスをしたり、メディアにたくさん露出したりすることは「プロボクサーの営業活動」として当たり前の仕事です。選手生命が短いプロボクサーにとって、1試合でいかに多くのファイトマネーを稼げるかは死活問題ですからね。

最近、気付いたのですが、テレビ局をはじめとする日本のメディアは「プロボクサーの営業活動」に慣れていないためか、単純に「プロボクサーの営業活動」の好き嫌いで「ヒーロー役とヒール役」を作り上げて、試合を煽る傾向が強いような気がします。そのため、ボクサーの実力を分析して試合を盛り上げるより、インパクトが強いパフォーマンスを撮影して試合を盛り上げるという間違った努力が流行しているのではないでしょうか？この事実は、2007年10月に行われた内藤選手と亀田大毅選手の世界戦以降、一層鮮明になったと思います。

日本には昔から重んじられてきた「武道の精神」があります。そのため、日本人には「礼に始まり、礼に終わる」格闘家の姿勢が染み付いているので、「プロボクサーの過剰な営業活動」が受け入れられないことは理解できますし、管理人も行き過ぎたパフォーマンスや言動は慎むべきだと思います。しかし、パフォーマンスや言動だけを取り上げ、そのスポーツ選手が好きだから、嫌いだからだけで、偏った報道をしたり、選手生命の危機に追いやったりするのは「報道の精神」から逸脱しているではないでしょうか？

今回、亀田兄弟のジム移籍問題が浮上したとき、一部のメディアで「亀田兄弟引退」の文字が躍りました。管理人はひとりのボクシングファンとして、今回の報道姿勢が本当に悲しかったです。

管理人は特別、亀田兄弟を応援しているわけではありませんが、長男の亀田興毅選手のボクシングに取り組む姿勢は高く評価しています。亀田興毅選手はまだまだ発展途上のボクサーで、世界的に考えてパンチ力があるとは言えませんが、スピードやパンチを当てるタイミング（いわゆる当て勘）は素晴らしいものを持っていると思います。日本人で初めて3階級制覇を成し遂げる可能性を持つ意欲あるボクサーが簡単に引退するはずがないことは、報道のスペシャリストであるメディア関係者の方が一番よくわかっているはずです。

管理人がメディア関係者の方に期待することはボクシングファンを育てる報道姿勢です。ボクサーとボクシング関係者の努力に加えて、プロジャーナリストの的確な指摘があれば、日本ボクシング界はもっともっと元気になると思います。2007年10月の内藤選手と亀田大毅選手の世界タイトルマッチ以降、急速に浸透している「つぶす」報道ではなく「育てる」報道姿勢を取り戻してほしいと願うボクシングファンは管理人だけではないはずです。