ミドル級10回戦
元WBC米大陸スーパー ウェルター級チャンピオン |
フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ) 戦績:37戦36勝29KO無敗1分 |
元IBA米大陸スーパー ウェルター級チャンピオン |
マット・バンダ(アメリカ) 戦績:44戦38勝21KO6敗 |
試合内容
伝説のボクサー、フリオ・セサール・チャベスを父に持つフリオ・セサール・チャベス・ジュニアが地元メキシコにマット・バンダを迎えたミドル級10回戦。チャベス・ジュニアはWBCで5位、WBOで12位にランクされており、来年以降、初の世界タイトル挑戦を視野に入れた戦いが続いています。
今回戦うバンダは元IBF世界スーパーウェルター級チャンピオン、ヨリ・ボーイ・カンパスに勝ったことがある実力者。オッズは17対1で「英雄の息子」チャベス・ジュニア有利と出ていますが、その通りとなるのでしょうか?チャベス・ジュニアの真価が問われる一戦は思わぬ展開となりました。
序盤ペースを握ったのはチャベス・ジュニア。地元の声援を背に、左右のフックを上下に打ち分けながら試合を支配します。特に左右のボディーブローが効果的です。ボディーブローの上手さは父親譲りといったところでしょうか。
序盤を観る限り、「この展開なら早いラウンドでチャベス・ジュニアがバンダを仕留めるかも」と思ったのですが、ラウンドを重ねるごとに劣勢と思われたバンダが反撃します。バンダはチャベス・ジュニアが今まで戦ったボクサーで一番タフな相手だと思います。ヨリ・ボーイ・カンパスの連打に12ラウンド耐えた経験は大きな武器ですね。
チャベス・ジュニアが打っても打っても、バンダがすぐに打ち返してくるので、少しずつチャベス・ジュニアのボクシングが荒っぽくなり、ラウンドが進むにつれて両者の距離が近づきます。すると、今まで届かなかったバンダのパンチが届くようになり、次第に苦しそうな表情を浮かべるチャベス・ジュニア。6ラウンドに入ると、疲れが見え始め、終了間際にはバンダのラッシュを浴びてしまいます。
8ラウンド以降はチャベス・ジュニアの口が開き、全身から力が抜けているような状態。体力的に苦しいのか、ガードを下げる場面が目立ち、相打ちながらバンダのパンチをまともにもらってしまう場面が増えます。一気に窮地に追い込まれるチャベス・ジュニア。そのピンチを察してか、リングサイドで観戦していた父親のフリオ・セサール・チャベスが8ラウンドの途中でリング下へ移動し、8ラウンド終了時には自ら息子にゲキを飛ばす場面も。伝説のボクサーも直感的に「ヤバい」と感じたのでしょうね。
父親のゲキのおかげか、9ラウンド中盤には左フックでバンダをふら付かせますが、ダメージと疲労の蓄積がチャベス・ジュニアから本来の動きを奪います。そして迎えた最終ラウンド。最後の力を振り絞り何とか前へ出るチャベス・ジュニアですが、ベテランのバンダに打ち合いを挑まれ、ラスト1分は防戦一方になってしまいます。
「ストレートでもフックでもアッパーでも何でもいいので、パンチがクリーンヒットすればバンダの勝ち。チャベス・ジュニアは気力で立っているけど、倒れたら起き上がれないよ」と思いながら試合を観戦する管理人のラッパきよし。残り30秒がめちゃめちゃ長く感じます。結局、フラフラになりながらもチャベス・ジュニアが何とか耐えて、2-1の判定で辛くもバンダを下しましたが、試合後はリング上に物が投げ込まれるなど、地元ファンが不満を抱く試合内容でした。
10ラウンド試合終了のゴングが鳴って、コーナーへ戻るチャベス・ジュニアはフラフラでしたね。本当に「何とか勝った」という表現がピッタリの勝利です。現在の力では世界タイトルに挑戦しても8ラウンド以内でKO負けすると思います。挑戦するチャンピオンのボクシングスタイルにもよりますが、「前半のペース争いでスタミナを使い果たし、後半足が止まったところに連打を浴びてTKO負け」というパターンが頭に浮かびます。
チャベス・ジュニアが世界タイトルに挑戦するためには、まずはスタミナとディフェンスの強化が必要ですね。焦ることはないので、まずはスタミナ強化、次にディフェンスの強化と徐々に積み上げて、「12ラウンド打たせずに勝つボクシング」を覚えてほしいです。「攻撃はそれからでも遅くはない」と思わせるほど、スタミナ不足は深刻ですよ。管理人は2010年がチャベス・ジュニアにとって勝負の年だと思っています。今はじっくりと力を蓄えてほしいですね。
試合結果
試合結果 | フリオ・セサール・チャベス・ジュニアが苦戦しながらも2-1の判定で勝利。管理人の採点は96-64でフリオ・セサール・チャベス・ジュニアの勝ちでした。チャベス・ジュニアにフルマークを付けているジャッジがいますが、さすがにそれはないですよね。 【公式ジャッジの採点結果】
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