スーパーミドル級10回戦
元WBC・WBO世界 ミドル級チャンピオン |
ケリー・パブリック(アメリカ) 戦績:41戦39勝34KO2敗 |
アメリカ同級 | ウィル・ロジンスキー(アメリカ) 戦績:17戦16勝9KO1敗 |
ケリー・パブリック対ウィル・ロジンスキーの試合内容
アルコール依存症から立ち直りをみせている「ゴースト」ケリー・パブリックが、変則的なボクシングを得意とするタフなウィル・ロジンスキーと激突します。ケリー・パブリックは曲者のウィル・ロジンスキーを撃破して復活を印象付けることができるでしょうか?
試合は、左右に動きながら飛び込んで左右のフックを狙うウィル・ロジンスキーに対して、ケリー・パブリックが左ジャブを突きながら右ストレートで突き放そうとする展開で始まります。どちらも力を込めてパンチを打ち込むスリリングな立ち上がりですね。
【Photo:The Ring Magazine】
積極的なパンチの交換が続き、迎えた2ラウンド中盤。試合が動きます。ケリー・パブリックが接近戦でショートの右フックをウィル・ロジンスキーの顔面に叩き込み、ダウンを奪います。
「おおお、パブリックはパワーあるなあ。それほど効いたパンチじゃないと思うけど、ロジンスキーのダメージはどうかな?」とウィル・ロジンスキーのダメージに注目する管理人。
ダウンから立ち上がったウィル・ロジンスキーは、ケリー・パブリックに追撃させないよう、自分から距離を詰めて積極的にパンチを打ち込みます。ダウンを奪ったケリー・パブリックも自慢の強打で応戦。ダウンをきっかけに、激しい打撃戦になってきました。
3ラウンドに入ると、ウィル・ロジンスキーが一転して距離を取り、打っては離れるボクシングで、ダメージの回復に努めます。あまり器用な印象を受けないウィル・ロジンスキーですが、クレバーな戦いでピンチを脱出しましたね。
【Photo:The Ring Magazine】
4ラウンドに入ると、ケリー・パブリックがプレッシャーを強め、主導権を握ろうとします。序盤は顔面へのパンチが目立ったケリー・パブリックですが、4ラウンドは積極的にボディーを狙っています。
「パブリックがロジンスキーの足を止めにきたね。パブリックはガードを固めて距離を詰めているけど、もう少し左ジャブを突きながら前進できると、右ストレートや左ボディーブローが打ちやすくなると思うんだけどなあ。パブリックはこのままペースを握れるかな?」と両者の作戦に注目する管理人。
中盤以降は、ウィル・ロジンスキーが足を使って打ち合いを避ける展開を選択し、ケリー・パブリックのパンチがなかなかクリーンヒットしなくなります。ウィル・ロジンスキーはケリー・パブリックが嫌がるボクシングに徹していますね。
ケリー・パブリックは強いパンチを打ち込もうとする意識が強すぎるのか、左ジャブを省略して、いきなり右ストレートや左右のフックを振り回す場面が目立ちます。しかし、左右に大きく動くウィル・ロジンスキーをなかなかとらえることができません。
【Photo:The Ring Magazine】
終盤は、ケリー・パブリックが前進してパンチを連打し、ウィル・ロジンスキーが打ち終わりを狙う展開が続きます。ケリー・パブリックは最後までKOを狙って打ち合おうとしますが、最後までウィル・ロジンスキーを捕まえることはできず、終了のゴングが鳴り響きます。
勝敗は3人のジャッジに委ねられ、3人のジャッジすべてがケリー・パブリックを支持。2階級制覇を目指すケリー・パブリックが曲者のウィル・ロジンスキーに10ラウンド判定勝ちを飾り、再起からの連勝を4に伸ばしました。
攻撃姿勢を貫いたケリー・パブリックが変則的なウィル・ロジンスキーを退けた試合でしたね。ダウンを奪われたウィル・ロジンスキーが打ち合いを避ける展開になったので、ケリー・パブリックの良さが消された印象は否めませんが、自信を取り戻そうとしている段階の勝利は大きな収穫だと思います。
ただ、ミドル級で圧倒的な強さを誇っていた頃に比べて、左ジャブと左ボディーブローがまだまだ少ないので、パンチが大振りになりやすく、相手にボクシングを読まれやすいという弱点は克服できていない印象を受けました。
特に、左ジャブの数が少ないと、空回りしやすい傾向にあるようです。また、ミドル級で快進撃を続けていた頃と比較して、相手のボクシングに合わせてしまっている印象が強く、ボクシングに迷いがあるように感じました。
良くも悪くも、ケリー・パブリックは真っ正直なボクサーで、大きくスタイルチェンジをすることは難しいはずなので、「いかにして得意の右ストレートを生かすためのボクシングを昇華できるか」が復活のカギになると思います。
底力のあるボクサーなので、ワンツーに徹する本来のボクシングと失った自信を取り戻すことができれば、もっともっと活躍できるボクサーだと思います。完全復活までもう少し時間がかかるかな?トレーナーを務めるロバート・ガルシアの手腕にも注目ですね。
ケリー・パブリック対ウィル・ロジンスキーの試合結果
試合結果 | ケリー・パブリックが10ラウンド3-0の判定勝ち。 【公式ジャッジの採点結果】
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