日本代表の世界チャンピオンとして戦い続けた西岡利晃選手の功績
ボクシングファンにとって忘れられない1日になった2012年10月14日。日本が誇る「スピードキング」西岡利晃選手が4階級制覇の実績を誇る「フィリピンの閃光」ノニト・ドネアとボクシングの本場アメリカで「最強」の称号をかけて拳を交えました。
結果は、無念の9ラウンドTKO負け。しかし、最後まで誇り高く戦った西岡利晃選手の姿が印象的でした。逆転勝利を目指して勝負に行った結果、ノニト・ドネアのカウンターを浴び、リングに沈んでしまいましたが、「勝ちたい」という気迫が伝わってくる戦いぶりだったと思います。
「逆転勝利を目指した結果のKO負け」のほうが「倒されることを恐れて逃げた末の判定負け」より美しいことを改めて教えてくれました。「孤高の王者」西岡利晃選手らしい決断に胸が熱くなったボクシングファンはたくさんいると思います。
結果的に「西岡選手がドネアに9ラウンドTKO負けを喫した」という記録だけがボクシングの歴史に刻まれます。西岡利晃選手の誇り高き戦いぶりが数字に残ることはありません。しかし、西岡利晃選手の勇姿はボクシングファンの記憶に刻まれたはずです。
世界中のボクシングファンが注目したノニト・ドネア戦のスーパーファイトやラファエル・マルケス戦のラスベガス防衛をはじめ、西岡利晃選手は日本人ボクサーが誰も開けることのなかった前人未到の扉をこじ開け、ボクシングファンに大きな感動をプレゼントしてくれました。
日本ボクシングの歴史を動かし続けた西岡利晃選手。偉大な功績がいつまでも輝き続けることは間違いありません。なぜなら、歴史に名前が刻まれるのは、最初に道を切り開いた先駆者と先駆者の記録を塗り替えるニューヒーローのわずか2人だけなのですから。ボクシングの美学をありがとう！
スーパーファイトを実現させるボクシング新時代の意識革命
西岡利晃選手が足を踏み入れた前人未到のスーパーファイト。日本中のボクシングファンが心待ちにした「スーパーバンタム級最強決定戦」は「日本最強」と「軽量級最強」の壁を突きつけられる結果に終わりました。
西岡利晃選手がノニト・ドネアに負けた瞬間、本当に悔しかった。「パウンド・フォー・パウンド（全階級最強）のトップ10に入るボクサーと日本最強の世界チャンピオンの差」を突きつけられ、現実を受け止めるのに、しばらく時間が必要でした。
どうすれば、ノニト・ドネアのようなスーパースターに勝てるのでしょうか？考えても考えても答えが見つからないのですが、デビュー当初、または早い段階から世界チャンピオンを超えるスーパースターを意識することは大切だと思います。
ボクシングの技術的なトレーニングだけでなく、メンタルのトレーニング、メディア対策を含め、早い段階で世界のスーパースターと世界の檜舞台で戦うことを意識した心構えと準備が、日本人のスーパースターを誕生させるカギになると思います。
将来、西岡利晃選手の偉業を超える日本人ボクサーが現れるとしたら「いつか西岡選手の偉業を超えて、世界のスーパースターを撃破してやる」と普段から強く意識しながらボクシング人生を送っているボクサーだと思うんです。
客観的に考えて、日本人の世界チャンピオンのレベルは高いと思います。攻守にまとまりのあるチャンピオンがたくさんいます。ただ、西岡利晃選手のように「国内外を問わず強豪と戦い、世界に向けて強さを証明し続けてきたボクサーが少ないこと」は事実です。
手が届きそうで届かなかった「頂点を超えた頂点」。いつの日か、西岡利晃選手の偉業を塗り替え、「頂点を超えた頂点」をつかみ取る「新しいパイオニア」が登場しますように。やっぱり、ボクシングが大好きだなあ。
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