ビッグマッチで連続発生!ボクシングの美しさを台無しにする不可解な採点
ボクシングの採点基準に見えない変化が起きているのでしょうか?トップランクを率いるボブ・アラムが、論議を呼んでいるフリオ・セサール・チャベス・ジュニア対ブライアン・ベラの採点結果についてコメントを発表。ボクシングの採点基準を踏まえながら、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアの勝利を支持しました。
「ジャッジの結果は正しかったと思う。結婚式に参加していたので、チャベス・ジュニア対ベラをライブで観戦することはできなかったが、VTRをチェックして、私の採点は96対94でチャベス・ジュニアの勝ちだった。決して間違った採点結果ではないよ」
「ボクシングの採点基準は明らかだ。手数が多いボクサーではなく、大きなダメージを与えたボクサーが評価される。ベラは確かにパンチをよく放っていた。クリーンヒットした回数も多かったかもしれない。でも、チャベス・ジュニアのパンチのほうが大きなダメージを与えていたね」
【Photo:Top Rank】
試合から1か月が経過した今もなお、ファンの間で激しい議論が続いているフリオ・セサール・チャベス・ジュニア対ブライアン・ベラの採点結果。3人のジャッジが98対92、97対93、96対94でフリオ・セサール・チャベス・ジュニアの勝利を支持しましたが、アメリカ国内を中心に「チャベス・ジュニアが負けていた」の声が多かった接戦でした。
管理人の本音は「チャベス・ジュニアを98対92で支持した採点は理解できないけど、アラムが言うように、チャベス・ジュニアが勝っても不思議じゃない試合だったと思うなあ」です。ちなみに、管理人の採点は95対95の引き分けで、友人13人の採点結果は、チャベス・ジュニアの勝ちが4人、ブライアン・ベラの勝ちが6人、引き分けが3人。いずれも接戦でした。
問題は、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアが勝ったことではなく、接戦にも関わらず、フリオ・セサール・チャベス・ジュニアを98対92で支持したジャッジが勝敗を握っていることです。管理人を含め、試合を観戦したファンが「え?そんな大差になるの?」と思ってしまう採点結果が、ボクサーの未来や家族の生活を左右していることは、致命的な問題だと思うんです。
2012年のマニー・パッキャオ対ティモシー・ブラッドリーに続き、2013年もフロイド・メイウェザー対サウル・アルバレス、ティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケスで「うそーん」と叫んでしまう採点結果がありました。完敗した感覚や接戦だった感覚は、リングで戦っているボクサーが一番よくわかっていると思うんですよ。
【Photo:Top Rank】
でも、ジャッジが不可解な大差の採点で支持したことにより、勝ったフリオ・セサール・チャベス・ジュニアのイメージが悪くなりました。3人のジャッジ全員が僅差の採点でフリオ・セサール・チャベス・ジュニアを支持していたら、必要以上の激しい論争や裏読みを回避できたと思います。
また、採点前に完敗だったと自覚した表情を浮かべていたサウル・アルバレスやファン・マヌエル・マルケスの「心の傷に塩をぬるような採点結果」が読み上げられることはなく、全力を尽くして敗れたボクサーのプライドを必要以上に傷つけることもなかったはずです。
ここ数年のビッグマッチで、不可解な採点が一気に増えた気がしませんか?完敗が完敗で、接戦が接戦で終わらない試合は、戦ったボクサーにとってもファンにとっても後味がめちゃめちゃ悪く、健闘を称え合う大きな弊害になってしまいます。
人間が人間を判断する作業なので、難しいことは間違いないと思うんですけど、バラバラ感が強くなってしまったジャッジの採点基準をきちんと意思統一する時期が今なのかもしれないですね。不可解な採点は、ボクサーの評価を下げ、ボクシングの美しさを台無しにしちゃうので「早めに改善してほしいなあ」と強く願っています。