メイウェザー対カネロの余波!ティモシー・ブラッドリー対マルケス兄は10月開催へ
世紀の新旧スーパースター対決の影響を受け、もうひとつの新旧スーパースター対決が試合日程を変更です。2階級制覇チャンピオンのティモシー・ブラッドリーと4階級制覇チャンピオンのファン・マヌエル・マルケスの試合が、フロイド・メイウェザー対サウル・アルバレスの決定を受け、9月開催から10月開催へ変更になりました。
当初、ティモシー・ブラッドリーとファン・マヌエル・マルケスをプロモートするトップランクは9月14日(日本時間9月15日)に、ティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケスのWBO世界ウェルター級タイトルマッチを開催する予定でした。
ところが、ライバルプロモーターのゴールデンボーイ・プロモーションズがフロイド・メイウェザー対サウル・アルバレスのドリームマッチを同じ日に開催することを宣言。トップランクはティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケスを10月12日(日本時間10月13日)にスライドすることを決定しました。
【Photo:The Ring Magazine】
「メキシコ独立記念日」にあたる9月は、毎年、ビッグマッチが開催されます。2012年は、ゴールデンボーイ・プロモーションズがサウル・アルバレス対ホセシト・ロペス、トップランクがセルヒオ・マルチネス対フリオ・セサール・チャベス・ジュニアを同日開催し、激しい火花を散らしました。
しかし、2013年は、トップランクを率いるボブ・アラムが「メイウェザーが9月に戦うなら、ブラッドリー対マルケス兄は10月へスライドする」と公言していた通り、ゴールデンボーイ・プロモーションズのマッチメイクに対抗することを回避しました。
ここからは管理人の予想ですが、おそらく、フロイド・メイウェザー対サウル・アルバレスの新旧スーパースター対決は、ボクシングのあらゆる興行的な記録を打ち破り、1日換算のイベントとして考えるなら、オリンピックとワールドカップに匹敵するようなビッグイベントになるはずです。
一見すると、トップランクはゴールデンボーイ・プロモーションズとの「プロモーター競争」から逃げ出した格好に見えます。しかし、リングで戦うティモシー・ブラッドリーとファン・マヌエル・マルケスの利益を守る意味では「勇気ある撤退」だったと思います。
プロモーターの勢力が世界タイトルの権威を上回り始めたボクシング界。正直なところ、21世紀に入り「世界レベルのスポーツのはずのボクシングが、グループの競争」になってしまっている感じは否めません。もしかすると、プロレスの団体が分裂したときの空気に少し似ているかもしれませんね。
北中米に限れば、今後、プロモーター間の亀裂はますます深まり、プロモーターの垣根を越えたビッグマッチを実現することは困難になると予想しています。プロモーターだけでなく、テレビ局の二大構造も、対立に拍車をかける原因となっています。
スポーツビジネスの側面から考えると、これから3年で、ボクシング界を取り巻く環境は大きく変化するはずです。プロモーターの影響力は拡大し「プロボクサーの格差」はますます広がるでしょう。
長い目で見ると、ティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケスの開催日の変更決定は、ボクサーの利益を守るためのケース・スタディになるかもしれません。勝負の世界と同じく、スポーツビジネスの世界も時として残酷ですが、リングで戦うボクサーの利益は守ることは結果的にボクシング界の利益、スポーツビジネス界の利益につながると考えています。
個人的に、リングで戦うボクサーの利益につながるマッチメイクこそ、結果的にファンが喜ぶマッチメイクだと信じています。ボクシング界の転換期だからこそ、リングで戦うボクサーの希望がもっともっとかなうマッチメイクを期待したいです。
フロイド・メイウェザー対サウル・アルバレス、ティモシー・ブラッドリー対ファン・マヌエル・マルケス、ボクサーにとってもボクシングファンにとってたまらないメガファイト。試合を観戦した少年がいつの日か、彼らに憧れてリングに上がるような名勝負になるかもしれませんね。
大きな感動を世界中のファンに与えられるポテンシャルを秘めたメガファイトが同じ日にぶつからなくて本当によかったです。ナンバーワンはひとりが理想的ですが、スーパースターはたくさんいたほうが夢がありますから。