マニー・パッキャオ撃破なるか？クリス・アルジェリのスタイルが生み出す希望

鋭い左ジャブと軽快なフットワークを駆使して、WBO世界スーパーライト級タイトルを手にいれたクリス・アルジェリ。激戦区スーパーライト級の世界タイトルをルスラン・プロボドニコフから奪い去った全勝チャンピオンは技術と勢いを高く評価され、11月23日、中国のマカオでWBO世界ウェルター級チャンピオンのマニー・パッキャオに挑戦することになりました。

クリス・アルジェリ本人が「誰も1年前に予想できなかったカードだよね？」と語るドリームマッチは、クリス・アルジェリの実力を世界中のファンにアピールする絶好のチャンスであると同時に、クリス・アルジェリのボクシングスタイルが市民権を獲得できるかの大一番です。

左ジャブとフットワークを駆使するクリス・アルジェリのボクシングは、どちらかと言えば、玄人好みです。一方、ボクシング界の頂点を走り続ける6階級制覇チャンピオンのマニー・パッキャオは目の前の強豪をリングに沈めて最強を証明してきたスーパースター。世界中のファンがマニー・パッキャオの両拳が生み出すドラマに熱狂し、マニー・パッキャオは不動の地位を築きました。

ボクシングファンの多くは「ボクシングの華」と言われるKOを期待して試合を観戦します。しかし、すべてのボクサーが「天賦（てんぷ）の才」に左右されるパンチ力を備えているわけではありません。クリス・アルジェリとマニー・パッキャオを比較すると、単純なパンチのパワーは、マニー・パッキャオに大きなアドバンテージがあります。

でも、ボクシングの勝敗は「パンチのパワー」で決まるわけではありません。クリス・アルジェリがマニー・パッキャオを手数で圧倒する展開も十分に考えられます。もしクリス・アルジェリがマニー・パッキャオを手数とテクニックで圧倒し、2階級制覇を達成すると「アクションの多い手数とテクニックのボクシング」が見直される可能性があるかもしれません。

ボクシング界の頂点に君臨する2大スーパースターのマニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーは正反対のボクシングスタイルを貫いています。爆発的な攻撃でファンを熱狂させるマニー・パッキャオ。芸術的なディフェンスでファンを魅了するフロイド・メイウェザー。ファイトスタイルこそ違えど、どちらも「天賦の才と努力」で頂点に君臨するスーパースターです。

一方、クリス・アルジェリは「マニー・パッキャオとフロイド・メイウェザーの中間のような存在」です。マニー・パッキャオのように手数の多いボクサーですが、マニー・パッキャオのようなパワーはありません。フロイド・メイウェザーのように間合いをキープする能力に優れていますが、フロイド・メイウェザーのような鉄壁のディフェンス技術はありません。

でも、クリス・アルジェリはマニー・パッキャオより縦横無尽に動けて、フロイド・メイウェザーよりアクションが多いボクサーです。どちらかと言えば、KOの期待値は低いボクサーですが、決して退屈なボクサーではありません。知名度が高まれば、クリス・アルジェリの「アクションの多いボクシング」が「新しいスタイル」として認められる可能性は十分にあります。

ファン目線で言うと、フロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオのボクシングをマネすることは不可能に近いと考えています。でも「アルジェリのボクシングなら、マネできる可能性があるんじゃないかな？もしアルジェリがパッキャオに勝って、アルジェリのボクシングが認められたら、パワーに恵まれないボクサーの希望になるかもしれないね」と考えています。

もちろん、クリス・アルジェリのような「パワーはないけど、アクションの多いボクシング」が世界的に通用するかどうかは別問題です。例えば「アメリカに乗り込んでアメリカンドリームをつかみたい」と考えている海外出身のボクサーは、アメリカ人のボクサーよりアピールする必要があるので「アクションの多いボクシング」だけでは厳しいかもしれません。

でも、クリス・アルジェリはすでに「アクションの多いボクサー」として関係者やメディアから認められている存在なので、マニー・パッキャオ戦もアウトボクシングに徹して、手数で圧倒するボクシングで勝負できる立場です。クリス・アルジェリがビッグネームのマニー・パッキャオに勝つと、新しい時代の変化が生まれるかもしれないので、両雄の対戦をめちゃめちゃ楽しみにしています。

将来のメガマッチを考えると、本音はマニー・パッキャオに勝ってほしいです。でも、クリス・アルジェリが大金星を獲得して、未来図を大きく塗り替える可能性はゼロじゃない気がします。激動のマカオで、ボクシング界の新しい変化は生まれるのでしょうか？クリス・アルジェリ対マニー・パッキャオはボクシングの奥深さが詰まった熱戦になるかもしれないですね。