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ヘビー級の革命児!アメリカを主戦場にしないウラディミール・クリチコの美学

ヘビー級最強のボス!ウラディミール・クリチコのボクシングは本当に退屈なのか?

ヘビー級の3本のベルトを保持する3団体統一世界ヘビー級チャンスのウラディミール・クリチコ。2014年11月、悲願の世界タイトル奪取に意気込む挑戦者のクブラト・プーレフをリングに沈め、改めて「ヘビー級最強」の実力を見せつけました。圧倒的な強さで頂点に君臨するウラディミール・クリチコが全勝のクブラト・プーレフの夢を打ち砕いた試合でしたね。

ウラディミール・クリチコ対クブラト・プーレフの試合を観戦した次の日、ボクシングを愛する友人たちと食事をする機会がありました。普段と変わらない「クリチコ、強かったね」という「あいさつ」に続き「クリチコのバランスの悪さが久しぶりに目立ったね」という本題がスタート。確かに、バランスを崩す場面が多く「珍しく大味なボクシングだなあ」と感じました。

でも、全勝の指名挑戦者から4度のダウンを奪い、3本のベルトを死守したわけですから「クリチコ、強いなあ」が正当な評価だと思います。個人的な印象は「パンチのスピードも動きのスピードもクリチコにアドバンテージがあるんで、左ジャブの突き合いより、左フックを多用するほうが勝てる確率が高いと判断したのかな?評価が分かれそうな試合内容だったね」でした。


【強くて賢い最強チャンピオン!3本のベルトを保持するウラディミール・クリチコです】

実際、アメリカやイギリスのメディアのウラディミール・クリチコに対する評価が分かれていました。一方は「4度のダウンを奪う快勝で防衛に成功」。もう一方は「4度のダウンを奪うが、被弾が目立った防衛戦」。どちらも正論で、個人的に「視点の置き方によって、評価が変わるところがおもしろいなあ」と思いながら、改めて「ヘビー級のボスの存在の大きさ」を実感しました。

ウクライナ出身のウラディミール・クリチコは、ドイツを主戦場にしています。ヘビー級と言えば、長くアメリカが中心でしたが、クリチコ兄弟(兄のビタリ・クリチコと弟のウラディミール・クリチコ)の登場で、勢力図が大きく塗り替えられることになりました。ヘビー級の覇権はアメリカからヨーロッパへ完全に移ってしまったのです。

同時に、ボクシングのスタイルにも大きな変化の波が到来します。ヨーロッパのヘビー級スタイルは、攻撃的なボクシングで豪快なKO勝利を積み重ねるアメリカのヘビー級スタイルと違い、体の大きさを最大限に生かした「きれいに勝つボクシング」です。ヘビー級のリングから「荒々しく豪快に勝つムード」が消えるにつれて「ヘビー級が退屈になった」という声が増えるようになります。

ウラディミール・クリチコのボクシングは、マイク・タイソンのような「闘争本能をむき出しにしてKOで勝つボクシング」の対極に位置します。単純な「エキサイティング指数」や「興奮度」を基準に考えると、ウラディミール・クリチコのボクシングは退屈に見えてしまうかもしれません。

でも、ウラディミール・クリチコのボクシングが退屈に見えてしまう原因は、ウラディミール・クリチコのボクシングスタイルだけでなく「匹敵するライバルがいない圧倒的な強さ」によるところが大きい気がします。言い換えると「単純に、ウラディミール・クリチコが強すぎる」わけです。

個人的に「プロボクサー」ウラディミール・クリチコの評価は史上最高レベルだと考えています。3本のベルトを統一し「ヘビー級最強」を証明しています。試合をすれば、1万5000席のキャパシティを誇る会場が満員になります。しかも「アスリートの年収ランキング」でトップ100に入っています。実力と人気を兼ね備えた、大成功したプロボクサーであることを疑う余地はありません。

過去にウラディミール・クリチコより成功したヘビー級のボクサーが何人いるでしょうか?年間数十億円のファイトマネーを稼ぐウラディミール・クリチコのボクシングは本当に退屈なのでしょうか?もしウラディミール・クリチコのボクシングが本当に退屈なら、数十億円のファイトマネーを稼ぐことは絶対にできないはずです。

プロボクサーの評価は市場(需要)によって決定されます。ほかの業界と何ひとつ違いはありません。ヘビー級の覇権をアメリカからヨーロッパへ移したウラディミール・クリチコは将来「アメリカを主戦場にしない、最も成功した偉大なチャンピオン」として、ボクシングの歴史に名前を刻むかもしれません。静かに新しい道を切り開いた勇敢なパイオニアです!

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4階級制覇の実績を誇る「プエルトリコの英雄」ミゲール・コットと2階級制覇を目指す「メキシコの至宝」サウル・アルバレスがついに激突。絶大な人気を誇る新旧スーパースター対決です!

WBC世界スーパーフェザー級チャンピオンの三浦隆司選手も同じイベントに登場します。

テレビ放送日時 11月21日(土)HBOでPPVライブ中継(アメリカ)
11月22日(日)WOWOWで11時から生中継(日本)
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