エリスランディ・ララはサウル・アルバレス戦でアメリカンドリームを実現できるか？

ニックネームは「アメリカンドリーム」。アマチュア王国で育った「キューバの芸術」エリスランディ・ララが7月12日（日本時間7月13日）夢に描いたビッグマッチのリングに上がります。決戦の舞台は「欲望の都」ラスベガス。幾千もの夢が実現し、幾千もの夢が散った「アメリカンドリーム」を象徴する都市は、エリスランディ・ララが最高の輝きを放つステージとなるのでしょうか？

エリスランディ・ララが拳を交えるボクサーは、絶大な人気を誇る「メキシコの至宝」サウル・アルバレスです。7月18日に24歳の誕生日を迎える若きスーパースターは、エリスランディ・ララが1年前から対戦を切望していた「夢をかなえるためのターゲット」。亡命に失敗した2007年7月から7年、サウル・アルバレス戦は「プロボクサー」エリスランディ・ララの真価が問われる大一番です。

アマチュア最強のボクシング王国キューバでエリート街道を歩んでいたエリスランディ・ララ。しかし、2007年7月に亡命に失敗し、キューバ代表から外され、練習する機会さえ奪われてしまいます。翌年、再び亡命にチャレンジ。亡命を夢見る25人の仲間とボートに乗り込み、荒波に耐えながら海を渡り切った18時間が「プロボクサー」エリスランディ・ララの原点です。

「キューバにいるときの私は、飼っているハトと同じだった。いつもケージの中に閉じ込められていたんだ。自由に何かをするチャンスなんて、一度も与えてもらえなかったよ。でも、今の私は自由を手に入れた。あとは、自分の力で空高く羽ばたくだけだ」

エリスランディ・ララの趣味は、飼っているハトと遊ぶこと。初めてエリスランディ・ララの趣味を知ったとき「なんて地味な世界チャンピオンなんだ。あれ？そう言えば、マイク・タイソンも世話していたハトがボクシングの才能に気付くきっかけだったような。強いボクサーと平和の象徴に意外な接点があるって、地味におもしろいなあ」と思わず笑ってしまいました。

エリスランディ・ララにとって、サウル・アルバレス戦は、文字通り「真価」を証明する試合になると考えています。人気を考えると、サウル・アルバレスがエリスランディ・ララを圧倒していることは間違いありません。そんなわけで、エリスランディ・ララにとって、精神的に戦いやすい試合かもしれません。でも、サウル・アルバレス戦に限れば「勝てばOK」じゃないはずです。

エリスランディ・ララがフロイド・メイウェザーと同じように、サウル・アルバレスをポイントアウトして、12ラウンド判定勝ちを飾ると仮定しましょう。でも、試合内容がエキサイティングじゃなければ、エリスランディ・ララの評価は「一時的に急騰するだけ」と予想しています。ファン目線で言うと、エリスランディ・ララとサウル・アルバレスのどちらもつぶれてしまう最悪のパターンです。

もちろん、エリスランディ・ララは、ノニト・ドネアに勝利しながら「プロボクサー」としての評価を下げてしまった同じキューバ出身のギジェルモ・リゴンドーの歩みを目にしているので、チャンスがあれば、必ずフィニッシュを狙うはずです。そんなこんなで、サウル・アルバレス戦は「プロボクサー」エリスランディ・ララの「真の価値」を知る絶好のチャンスだと考えています。

「最初の4ラウンドは、カネロ（サウル・アルバレス）が攻め込む場面もあるだろうね。でも、5ラウンド以降、カネロは失速することになるよ。私は、カネロより優れたボクサーで、ハートも強い。しかも、カネロよりハングリーだ。私は、未来を切り開くためにリングに上がる。愛する家族の未来を切り開くためにね。手を伸ばせばアメリカンドリームを実現できる。必ず夢を実現するよ」

不利な判定に泣かされながら、あきらめることなく、プロのキャリアを積み重ねてきたエリスランディ・ララ。抜群のテクニックを誇る「キューバの芸術」は世界中のボクシングファンが注目するビッグマッチで「メキシコの至宝」を撃破し「アメリカンドリーム」を実現することができるでしょうか？エリスランディ・ララがどんな作戦で主導権を握ろうとするのか、めっちゃ楽しみです！