ゴールデンボーイ・プロモーションズの大躍進を支えたリチャード・シェイファーが辞任
躍進の立役者がCEOを辞任です!2013年の最優秀プロモーターに選ばれ、ゴールデンボーイ・プロモーションズの大躍進を支えていたリチャード・シェイファーが正式にCEOの辞任を表明。リチャード・シェイファーが去ったゴールデンボーイ・プロモーションズは変革を迎えることになり、ボクシングのマッチメイクに大きな影響を与えることになりそうです。
ゴールデンボーイ・プロモーションズCEOを辞任したリチャード・シェイファーは「私のキャリアは新しいステージに突入する。銀行家として、ボクシングのプロモーターとして、成功できたことは大きな誇りだよ。私は成長を続けている会社で働くことが大好きなんだ。新しい挑戦を楽しみにしているよ」とコメントを発表。ゴールデンボーイ・プロモーションズに別れを告げました。
ボクシングファンの皆さんがご存知のように、ゴールデンボーイ・プロモーションズは代表のオスカー・デラホーヤとCEOのリチャード・シェイファーが「分業システム」を確立し、短期間で劇的な成功を手にしました。ところが、2013年の年末に、リチャード・シェイファーの解任の可能性が浮上。マッチメイクをめぐり、オスカー・デラホーヤと意見が食い違う回数が増えたのです。
【Photo:Showtime】
スイス銀行出身のリチャード・シェイファーは、ボクシング界の頂点に君臨する「パウンド・フォー・パウンド・キング」フロイド・メイウェザーから「世界最高のプロモーター」と賞賛される「華麗な転身族」です。一方で「ゴールデンボーイ・プロモーションズのマッチメイクにボブ・アラムの名前は必要ない」とライバルを閉め出すビジネスライクな姿勢を貫いてきました。
ゴールデンボーイ・プロモーションズ、メイウェザー・プロモーションズ、テレビ局のShowtime。強固なトライアングルを形成することで、ボクシング史上最大のイベント「The One」を成功させた立役者として、ボクシングの歴史に名前を刻むことになったリチャード・シェイファー。しかし、代表のオスカー・デラホーヤは「ファンが希望する試合を最優先すべき」という主張を譲りません。
オスカー・デラホーヤが目指すゴールは「ゴールデンボーイ・プロモーションズとトップランクの冷戦に終止符を打ち、ファンが希望するマッチメイクを可能な限り実現すること」です。一方、リチャード・シェイファーが目指すゴールは「ファンの希望するマッチメイクを実現しながら、所属ボクサー、スポンサー、プロモーターの利益を最大化すること」です。
正直なところ、どちらも正論なので、確かな答えは見つかりません。ただひとつ確かなことがあるとすれば、リチャード・シェイファーがゴールデンボーイ・プロモーションズを離れ、リチャード・シェイファーが離れたゴールデンボーイ・プロモーションズと今後仕事をしないスーパースターが確実に出てくることです。2014年の秋以降のマッチメイクから少しずつ影響が出てくるかな?
もちろん、リチャード・シェイファーがボクシング界を去ったとしても、アル・ヘイモンをはじめ、絶大な影響力を持つアドバイザーがたくさんいるので、短期間でマッチメイクに大きな変化が生まれるかどうかは微妙なところです。でも、長期的な視点で考えたとき、リチャード・シェイファーの辞任は、ボクシング界のマッチメイクを大きく変える転機になるかもしれません。
リチャード・シェイファーの気になる今後の動向ですが、NBAのクリッパーズを買収した前マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマーのチームに加わるというウワサやメイウェザー・プロモーションズが破格の条件でラブコールを送り続けているというウワサが浮上しています。ちなみに、リチャード・シェイファーは次の仕事だけでなく、次の業界も明らかにしていません。
アメリカに限って言うと、ボクシングは、NFLやNBA、MLB、NHLに比べて「素人の転身組」が少ない閉鎖的な業界です。そんなこんなで、リチャード・シェイファーが突き詰めた「試合を観戦する9割以上は素人の理論」はめちゃくちゃインパクトがありました。明確なビジョンとストレートな回答でメガマッチを実現させた敏腕プロモーター。「頭いいなあ」とビシバシ感じる偉大なCEOでした。