フライ級12回戦

ゾウ・シミン対クワンピチット・ワンソンチャイジムの試合内容

中国ボクシングファンの期待を一身に背負うオリンピック金メダリストのゾウ・シミンが、上位ランカーのクワンピチット・ワンソンチャイジムと激突する世界前哨戦（ぜんしょうせん）。ゾウ・シミンは、タフなクワンピチット・ワンソンチャイジムを撃破し、IBF世界フライ級チャンピオンのアムナット・ルエンロエンに挑戦する理想的な流れを作ることができるでしょうか？

試合は、低い姿勢をキープしながらガードを固めて距離を詰め、強打を打ち込もうとするクワンピチット・ワンソンチャイジムに対して、ゾウ・シミンが距離をキープしながらコンパクトなパンチで応戦する展開で始まります。手数のゾウ・シミン、強打のクワンピチット・ワンソンチャイジム。ゾウ・シミンがディフェンスを大事にしながら、うまく戦っている印象です。

2ラウンドに入ると、クワンピチット・ワンソンチャイジムがプレッシャーを強めます。「狙っているボディブローが当たるとおもしろい展開になりそうだね。クワンピチットのボディから攻める作戦、必ず打ち返す作戦はいい感じだよ」と思っていると、2ラウンド中盤、ゾウ・シミンが鋭い右ストレートのカウンターを叩き込み、クワンピチット・ワンソンチャイジムが崩れ落ちます。

【Photo:HBO】

「絶妙！タフなクワンピチットじゃなかったら、終わってもおかしくないカウンターだよ。ダメージはどうだろう？」とクワンピチット・ワンソンチャイジムの状態を確認する管理人。ダウンからすぐに立ち上がったクワンピチット・ワンソンチャイジムですが、ダメージの影響で動きが鈍っている印象です。めちゃめちゃキレのある右ストレートでしたね。

距離感をつかんだゾウ・シミンは、2ラウンド残り30秒、今度は右フックのカウンターを叩き込み、2度目のダウンを奪います。さらに、試合が再開されると、ゾウ・シミンがフラフラのクワンピチット・ワンソンチャイジムに襲いかかり、回転の速いパンチを連打！2ラウンド終了のゴングに助けられたクワンピチット・ワンソンチャイジムですが、ダメージはめちゃめちゃ深いですね。

3ラウンド以降もペースは変わらず、ゾウ・シミンが試合を支配。6ラウンドに3度目のダウンを奪い、完全に主導権を握ります。ところが、8ラウンドに偶然のバッティングで、ゾウ・シミンが左目のまぶたをカット。しかも、左目の周りがめちゃめちゃ腫れてきました！ゾウ・シミンの左目は、ほとんど見えてないかもしれませんね。

【Photo:HBO】

逆転勝利を目指すクワンピチット・ワンソンチャイジムは右フックを中心に強烈なパンチを打ち込みますが、ゾウ・シミンがフットワークと回転の速いパンチを駆使して決定打を許しません。終盤は、左目の視界が完全にふさがった状態でしたが、ゾウ・シミンは最終ラウンド終了間際に4度目のダウンを奪い、試合終了のゴングが鳴り響きます。

勝敗は3人のジャッジにゆだねられ、採点の結果、3人のジャッジすべてが大差でゾウ・シミンを支持。ゾウ・シミンが12ラウンド判定勝ちを飾りました。素人ファンは「テクニシャンのアムナットに挑戦するのに、どうしてファイターのクワンピチットと戦ったんだろう？」という素朴な疑問が浮かんでしまったのですが、内容は、ゾウ・シミンの手数とスピードが目立つ快勝でしたね。

ゾウ・シミンはアマチュア時代にアムナット・ルエンロエンと戦った経験があります。ゾウ・シミンもアムナット・ルエンロエンも鋭い左ジャブを持っているテクニシャンです。今から「左ジャブの突き合いが楽しみだなあ」とワクワクする戦いですね。腫れ上がった左目の回復を待って、万全のコンディションで大舞台に上がってほしいです！

ゾウ・シミン対クワンピチット・ワンソンチャイジムの試合結果