ボクシング界の王様は沈まず!チーム・メイウェザーがチーム・パッキャオを撃破
世界中のファンが見守った伝説の36分間。ボクシング界の頂点に君臨する2人のスーパースターは2015年5月2日(日本時間5月3日)に夢の舞台で拳を交えました。47戦全勝の快進撃を続ける「天才」フロイド・メイウェザー。史上2人目の6階級制覇を達成した「英雄」マニー・パッキャオ。息詰まる攻防の末、フロイド・メイウェザーが「最強伝説のラストピース」を埋めました。
世論は「ピープルズ・チャンピオン」マニー・パッキャオの味方。しかし「パウンド・フォー・パウンド・キング」フロイド・メイウェザーは巧みな作戦を駆使してマニー・パッキャオのリズムと手数を奪い、決定打を許しませんでした。沈まぬ王様。待ちに待った究極のドリームマッチを観戦した第一印象は「チーム・メイウェザーがチーム・パッキャオに勝ったね」でした。
フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオを観戦して、改めて感じたフロイド・メイウェザーの強さが3つあります。まずは「メンタルの強さ」。とてつもない数の取材をこなし、ホーム開催で大ブーイングを浴び、いつもと変わらない戦いができるボクサーが地球上にどれくらい存在するのでしょうか?普通のボクサーなら、リングに上がれる状態ではない気がします。
【沈まぬ王様!世界が注目した夢の舞台で新たな白星を積み重ねました】
Showtimeのテレビ番組で、フロイド・メイウェザーが「また、メディアの取材?もう勘弁してくれよ」とタイトな取材スケジュールに弱気になっているシーンが放送されていました。番組をチェックしながら「顔が疲れてるよ。メイウェザー、大丈夫かな?試合に影響したら、嫌だなあ」とちょっぴり心配。でも、再び「最強のメンタル」を見せつけられる結果になりました。
続いて「試合中に最良の選択肢を選べる強さ」。立ち上がり、フロイド・メイウェザーはマニー・パッキャオのリズムを奪うため、先手で攻撃を仕掛けました。驚くべきは、フロイド・メイウェザーができるだけ小さく動くことで、マニー・パッキャオの躍動感を封じ込めたことです。
フロイド・メイウェザーのスピードがあれば、おそらく、相手がマニー・パッキャオでも大きく左右に動くことができたと思います。でも、フロイド・メイウェザーが大きく動くと、マニー・パッキャオが追い続け、リズムが生まれ、フロイド・メイウェザーのスピードと動きに慣れる時間が早まる可能性があります。さらに、大きく動くと、スタミナの消耗も激しいはずです。
素人ファンは、フロイド・メイウェザーの序盤の作戦を目にしながら「いやー、完璧な作戦。パッキャオ、今すぐ攻撃して!逆に、メイウェザーがパッキャオの動きに慣れちゃう。エンジンのかかりが遅くなると、盛り返せなくなっちゃうよ」とマニー・パッキャオの先制攻撃を期待しながら、フロイド・メイウェザーの試合運びのうまさに心を奪われてしまいました。
最後は「絆の強さ」。フロイド・メイウェザー対マニー・パッキャオに限って言うと、チーム・メイウェザーの結束力と集中力が、チーム・パッキャオを完全に上回っていた印象でした。入場のとき、トレーナーのフレディ・ローチがマニー・パッキャオと一緒に写真を撮影したシーンを見ながら「え?紙一重の頂上対決で、集中力は大丈夫かな?」とめちゃめちゃ驚いてしまいました。
一方、フロイド・メイウェザー陣営は「究極のドリームマッチですら、48試合のうちの1試合」という感じで、いつもと変わりなくリングイン。トレーナーのフロイド・メイウェザー・シニアは試合中、めずらしく声を荒らげて、息子を叱咤激励(しったげきれい)していました。断片的な結果論になっちゃうんですけど、両陣営の「勝ちたい気持ちの差」が見えたシーンだったと思います。
もちろん、マニー・パッキャオがスーパースターであることに変わりはありません。でも「現代のボクシング界の頂点に立つ、最強のスーパースターはどっち?」の答えが明確に出た頂上対決だったと思います。夢の舞台で最強を証明した「孤高の王様」フロイド・メイウェザー。最初で最後の「1試合で1億ドルを稼ぐディフェンスマスター」なのかもしれませんね。