WBC世界スーパーフライ級王座決定戦
WBC世界スーパー フライ級1位 |
ホルヘ・アルセ(メキシコ) 戦績:53戦48勝37KO4敗1分 |
WBC世界スーパー フライ級2位 |
デビッド・ナコンルアンプロモーション(タイ) 戦績:19戦18勝9KO1敗 |
ホルヘ・アルセ対デビッド・ナコンルアンプロモーションの試合内容
圧倒的な手数を武器に豪快なボクシングを披露するホルヘ・アルセ。ライトフライ級、フライ級の2階級制覇を達成したホルヘ・アルセにとって、今回の挑戦者決定戦に勝てば、2007年4月に一度負けているWBC世界スーパーフライ級チャンピオンのクリスチャン・ミハレスへの挑戦権を獲得し、再び3階級制覇への道が開かれてくる大事な一戦です。
タイ出身のサウスポー、デビッド・ナコンルアンプロモーションを地元メキシコに迎えて、豪快な勝利で弾みをつけたいホルヘ・アルセ。3階級制覇を目指す「やんちゃ坊主」の試合は意外な展開となりました。
序盤、試合の主導権を握ったのはホルヘ・アルセ。得意の左ボディーブロー、左フックを中心にパンチを集めて、デビッド・ナコンルアンプロモーションからポイントを奪います。
ところが、4ラウンドに思わぬ展開が待っていました。果敢に前に出るホルヘ・アルセに対し、残り20秒でデビッド・ナコンルアンプロモーションが放った左ストレートのカウンターがクリーンヒット。ゴングに救われたホルヘ・アルセですが、ダメージは深く、ここから試合のペースは徐々にデビッド・ナコンルアンプロモーションへと傾きます。
デビッド・ナコンルアンプロモーションは特別パンチ力やスピードがあるボクサーではありませんが、攻撃防御ともしっかりした技術を持つボクサーで、特に左ストレートを当てるタイミングは見事です。
7ラウンドこそ、ホルヘ・アルセが繰り出した左フック、右ストレート、左アッパーのコンビネーションでダウンを奪われたデビッド・ナコンルアンプロモーションですが、試合後半は完全に主導権を握り、メキシコで絶大な人気を誇るホルヘ・アルセを相手に、完全アウェイの状況で、これだけ戦えるアジア人ボクサーはほとんどいないと思います。
この試合はWBCの挑戦者決定戦なので、オープン・スコアリング・システムが採用されています。8ラウンドが終わった時点で、ホルヘ・アルセが3ポイント、4ポイント、6ポイントのリード。つまり、デビッド・ナコンルアンプロモーションが勝利するためにはダウンを奪うか、KOするしかありません。
しかし、ラスト3ラウンドはホルヘ・アルセが完全に逃げきり態勢に入り、結局、ホルヘ・アルセが2-0の本当にきわどい判定で、WBC世界スーパーフライ級チャンピオン、クリスチャン・ミハレスへの挑戦権を獲得しました。
管理人の採点はデビッド・ナコンルアンプロモーションの2ポイントリードで、ホルヘ・アルセの勝利を支持できる試合内容ではなかった気がします。敵地メキシコで本当に堂々と戦ったデビッド・ナコンルアンプロモーションにとってはかわいそうな採点となりましたが、こればかりはしょうがないですね。
クリスチャン・ミハレスへの挑戦権を獲得したホルヘ・アルセですが、前途多難と言わざるを得ないでしょう。デビッドはデビッド・ナコンルアンプロモーションが挑戦権を獲得した、チャンピオンのクリスチャン・ミハレスと同じサウスポーなのですが、ダウンを奪ったものの、ホルヘ・アルセの良さはほとんど出ていませんでした。簡単に言えば、ホルヘ・アルセはサウスポーが苦手なようです。
左ボディーブローと左フックを得意とするホルヘ・アルセは、基本的に相手の正面に立って戦います。相手がサウスポーだと、ホルヘ・アルセが得意とする左ボディーブローと左フックを当てやすい反面、相手の左ストレートが当たりやすいポジションで戦わなければなりません。
実際、この試合でホルヘ・アルセがデビッド・ナコンルアンプロモーションから受けたパンチのほとんどは左ストレートで、しかもクリーンヒットが多かったのは、大きな不安材料です。クリスチャン・ミハレスは左ストレートだけでなく、右ジャブがよく出るボクサーなので、リーチ差があるホルヘ・アルセにとって、クリスチャン・ミハレスとのリベンジ戦はかなり厳しい試合となりそうです。
ホルヘ・アルセ対デビッド・ナコンルアンプロモーションの試合結果
試合結果 | ホルヘ・アルセが2-0のきわどい判定勝ちで王座挑戦権を獲得。管理人の採点は115-113でデビッド・ナコンルアンプロモーションの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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