WBA世界クルーザー級タイトルマッチ
チャンピオン | フィラット・アルスラン(ドイツ) 戦績:33戦29勝18KO3敗1分 |
挑戦者 | ギレルモ・ジョーンズ(パナマ) 戦績:40戦35勝27KO3敗2分 |
試合内容
WBA世界クルーザー級チャンピオン、フィラット・アルスランが地元ドイツにランキング1位の挑戦者、ギレルモ・ジョーンズを迎えて3度目の防衛戦に挑みます。アルスランが37歳、ジョーンズが36歳というベテランボクサー同士の対決ですが、両者とも好調を維持しています。
アルスランは2007年6月に空位のWBA暫定世界クルーザー級タイトル獲得後、2007年11月に正チャンピオンのバージル・ヒルに12ラウンド判定勝ちを収めて、WBA世界クルーザー級タイトルを統一。ガードをガッチリと固めて、相手が打ち終わると連打する攻防分離のサウスポーです。地元ドイツで凱旋防衛といきたいところですね。
一方のジョーンズは過去に3度の世界タイトルマッチを経験した実力者。結果は1敗2分で世界タイトルにあと一歩届かない状態が続いていますが、いずれも接戦で身長193センチの体格を活かしたボクシングは相手にとって脅威です。ちなみに、ジョーンズのデビュー当時の階級はウェルター級(リミットは66.67キロ)。デビューから5階級上のクルーザー級で悲願の初戴冠を狙います。
試合は序盤から激しい我慢比べが続きます。1ラウンドからものすごい手数で打ち込んでくる挑戦者のジョーンズに対して、チャンピオンのアルスランはガードを高く構えて、じっと我慢します。アルスランはブロッキングでジョーンズのパンチを防いで、打ち終わったところを反撃にいく作戦ですね。
チャンピオンのアルスランがジョーンズの連打をしのいで、スタミナが切れたところを反撃できるか?それとも、挑戦者のジョーンズがガードを固めて耐えるアルスランにパンチを打ち続けてストップできるか?究極の我慢比べです。
2ラウンドに入ると、ジョーンズが右ストレート、左右のフックに加えて、アルスランのガードの隙間を下から突き上げるアッパーを打ち始めます。このアッパーが効果てきめん。おもしろいようにジョーンズのアッパーが決まり、みるみるうちにアルスランの顔面が赤く腫れあがります。
その後も試合はジョーンズの一方的なペース。「いくらアルスランが攻防分離のボクサーだと言っても、これだけパンチをもらったら倒れちゃうよ」と心配になるほどアルスランはガード一辺倒です。反対にジョーンズは全く手数が減らず、理想的な展開。
アルスランとしては体格で有利なジョーンズに対して、「打ち合っては自分のパンチが届かず、相手のパンチをもらい続けてしまう」と思ったのでしょう。それで、必要以上にガードを固める作戦に出たのだと思いますが、ジョーンズの手数、スタミナは予想外でしたね。
試合はこのままジョーンズの一方的なペースで進み、迎えた10ラウンド。ラウンド開始からジョーンズが上下にパンチを打ち分けて、残り1分でラッシュします。最後はアルスランをロープへ追い詰めて連打したところで、レフェリーが試合をストップ。デビューから15年、ジョーンズが36歳で初の世界タイトルを獲得に成功しました。
この試合のジョーンズは理想的なボクシングで、アルスランを全く寄せ付けませんでしたね。序盤のジョーンズの攻撃を観て「オーバーペースだけど大丈夫かな」と心配したのですが、クルーザー級に階級を上げたことでジョーンズ本来の戦い方ができたようです。
身長193センチと言えば、クルーザー級でも大きいですから、今後も体格を活かしたボクシングが期待できそうです。身長、リーチともに193センチで、手数が多く、パンチ力もあるので、対戦相手は嫌ですよ。36歳のジョーンズですが、長期政権を築く可能性もありますね。
試合結果
試合結果 | ギレルモ・ジョーンズが10ラウンドTKO勝ちで初の世界タイトル奪取。 |