WBOラテンアメリカスーパーフェザー級王座決定戦
元WBO世界スーパー フェザー級チャンピオン |
ホルヘ・バリオス(アルゼンチン) 戦績:52戦47勝34KO3敗1分1無判定 |
元WBC米大陸 フェザー級チャンピオン |
リカルド・フアレス(アメリカ) 戦績:31戦27勝19KO4敗 |
試合内容
元WBO世界スーパーフェザー級チャンピオンのホルヘ・バリオスとシドニーオリンピックの銀メダリスト、リカルド・フアレスがスーパーフェザー級トップ戦線の生き残りをかけてWBOラテンアメリカスーパーフェザー級タイトルを争います。
バリオスは手数が多い好戦的なボクサーで、2005年4月にWBO世界スーパーフェザー級タイトルを獲得した経験を持つ元チャンピオン。パンチを振り回しながらガンガン攻めて、相手を仕留める典型的なファイターです。
一方、フアレスは輝かしいアマチュアの戦績をひっさげてプロに転向したテクニシャン。4度世界タイトルに挑戦した経験を持っていますが、いずれも12ラウンド判定で敗れています。負けられない実力者同士のサバイバルマッチは、お互いの持ち味が発揮される素晴らしい展開となりました。
立ち上がりは元チャンピオン、バリオスのペース。試合開始からドンドン前へ出てパンチを打ち込みます。手数の多さ、上体の振り、左右のフットワークの3点がバリオスの調子の良さをチェックする目安になるのですが、この試合のバリオスは体の動きが軽やかで手数も多く、調子が良さそうです。
一方のフアレスは元オリンピアンらしく綺麗なボクシングを得意としています。左ジャブから右ストレートのコンビネーションと、コンパクトでキレのある左フックがフアレスの武器。バリオスのペースに巻き込まれないよう、自分のボクシングを貫いてカウンターを合わせる作戦のようです。
試合が動いたのは4ラウンド。ラウンドの序盤はバリオスが左右のフックを振り回し、フアレスを押し込む場面が多かったのですが、残り1分、フアレスがコンパクトな左右のワンツーをクリーンヒットさせ、さらに左フックでダメージを与えます。ラウンドの終了間際にも右ストレートを顔面にクリーンヒットさせるなど、徐々にタイミングを掴んできたようです。
試合前、管理人は「バリオスの馬力がフアレスのテクニックを上回るんじゃないかな?」と思っていたのですが、ガンガン前へ出てくるバリオスに対して、フアレスがコンパクトなパンチの連打やカウンターで応戦する一進一退の素晴らしい展開です。バリオスの突進に対して、フアレスがガードを固めて守るのではなく、打ち返して突進を止めようとしているのがいいですね。
お互いにポイントを取り合う展開が続き、迎えた10ラウンド、バリオスが勝負に出ます。バリオスは3ラウンドと9ラウンドにローブローで1点ずつ減点を取られたこともあり、バリオス陣営は「判定決着になったら際どいぞ」と思ったのでしょう。
体力的に苦しい中、前へ出てパンチを打ち続けるバリオス。一方のフアレスはガードを固めて、バリオスの猛攻を懸命に防ぎます。「フアレス危ないかも?」と思っていると、1分を過ぎた頃からバリオスの動きが急に鈍り、パンチの打ち終わりに体が流れ始めるようになります。
すると、ラウンドの中盤、フアレスがバリオスの顔面に強烈な左フックをカウンターで打ち込み、動きを止めると、そのまま打ち合いに持ち込み、10ラウンド終了。バリオス、フアレスともに疲労の色が濃いのですが、パンチによるダメージはバリオスのほうが深そうです。
バリオスの馬力が上回るのか?フアレスのテクニックが上回るのか?その答えは11ラウンドの終わりに訪れました。11ラウンド開始から最後の力を振り絞って攻撃するバリオスに対して、ガードを固めて耐え続けたフアレスが残り30秒で反撃を開始。左ボディーから右フック、左フックの連打で動きを止めて、上下のコンビネーションで追撃。そして、残り20秒、左フックから右ストレートでついにダウンを奪います。
深いダメージを負いながらも、何とか立ち上がるバリオス。バリオスの口からはものすごい量の血が流れています。レフェリーがドクターを呼んでバリオスのケガの状態をチェックするよう指示したところ、ケガを確認したドクターが首を横に振り、このまま試合終了。勝利の女神はフアレスに微笑みました。
フアレス、バリオスともお互いの持ち味を存分に発揮し、見ごたえのある試合でした。念願の世界タイトル獲得へ向けて最大の難関を突破したフアレスですが、実力は誰もが認めるところ。あとは、どのチャンピオンに挑戦するかですね。
この試合の勝利でWBOの世界ランキングがアップし、順調なら、WBO世界スーパーフェザー級チャンピオンのニッキー・クックへの挑戦が濃厚です。クックが相手ならフアレスが悲願の世界チャンピオンベルトを獲得する可能性は高いと思いますよ。
試合結果
試合結果 | リカルド・フアレスが11ラウンド勝ちでタイトル奪取。 |