IBF世界スーパーミドル級タイトルマッチ
チャンピオン | アレハンドロ・ベリオ(コロンビア) 戦績:30戦26勝25KO4敗 |
挑戦者 | ルシアン・ビュテ(ルーマニア) 戦績:20戦全勝16KO |
試合内容
チャンピオンのアレハンドロ・ベリオは、26勝のうち、25KOという攻撃的な強打のボクサー。一方、今回が世界初挑戦となる全勝のルシアン・ビュテは、ディフェンスを大事に戦う技巧派のサウスポー。
正反対のスタイルを持つ両者の戦いは、お互いがジャブで様子を見る静かな展開で始まります。1ラウンド、ビュテが相手を見ながら戦うのは想定内ですが、チャンピオンのベリオが静かな立ち上がりを見せたのは意外でした。チャンピオンのベリオは、戦いにくいのか、頻繁にスイッチしながら、ビュテとの距離を測ります。
2ラウンドに入ると、我慢しきれなくなったチャンピオンが強引に前に出て仕掛けますが、ビュテはフットワークを使って上手く距離を保ちながら、的確にカウンターパンチを決めてポイントを奪取。
この後も、挑戦者のビュテは、余分な力を抜いて、パンチを当てることに重点を置く「省エネ」ボクシングを展開します。一発、一発の威力はチャンピオンに比べて劣りますが、カウンターのタイミングと上下の打ち分けの上手さは絶品です。
すべてのパンチを強振するチャンピオンのベリオに対して、ビュテのパンチは最短距離で放たれるため、一瞬早く相手に届きます。スーパーミドル級ほどの重いクラスになると、コツコツとパンチを当て続けるだけで、相手にダメージを与えることができるんですね。
チャンピオン、ベリオも必死に手を出し、ペースを変えようとするのですが、ボディワークとフットワークで上手にかわされ、逆にカウンターをもらう悪循環。
チャンピオンが空回りする展開で試合は進み、迎えた11ラウンド1分。ビュテの右フックがベリオのアゴをクリーンヒット!一瞬、チャンピオン、ベリオの動きが止まり、ヨタヨタと後ろへ下がります。今まで大事に戦ってきたビュテも手応えがあったのでしょう。
チャンスと見るや、一気に追いかけ、左右のフックで深いダメージを負ったチャンピオン、ベリオをコーナーに詰めます。そして、右フック、左ストレート、左ストレート、左アッパーの4連打を顔面にクリーンヒットさせたところでレフェリーが試合をストップ!最後は、ベリオがダウンこそしませんでしたが、立ったまま少し意識を失うほどの強烈で、的確なコンビネーションでした。
ビュテの勝負どころを嗅ぎ分ける能力と、冷静な戦い方は見事です。この勝利で、ビュテはIBF世界スーパーミドル級タイトルを獲得し、ルーマニア出身のボクサーとして3人目の世界チャンピオンになりました。ジョー・カルザゲが圧倒的な存在感を見せつけるスーパーミドル級でカルザゲと同じサウスポーのビュテはおもしろい存在になりそうです。
試合結果
試合結果 | ルシアン・ビュテが11ラウンドTKO勝ちでタイトル奪取 |