WBA世界ヘビー級タイトルマッチ
チャンピオン | ルスラン・チャガエフ(ウズベキスタン) 戦績:24戦23勝17KO1分 |
挑戦者 | マット・スケルトン(イギリス) 戦績:22戦21勝18KO1敗 |
試合内容
「ロシアの大巨人」、ニコライ・ワルーエフに判定勝ちをおさめ、見事WBA世界ヘビー級チャンピオンに君臨したルスラン・チャガエフ。当時「誰も勝てないのでは?」と思われていたワルーエフを、サウスポースタイルを活かした持ち前のテクニックとスピード豊かなフットワークで翻弄したタイトルマッチは見事でした。
チャガエフの初防衛戦の相手は、世界初挑戦のマット・スケルトンです。元K-1ファイターで、35歳でプロボクシングデビューを果たした異色のボクサー。現在40歳で、デビューからわずか5年でボクシング主要4団体のひとつ、WBAの世界ヘビー級タイトルに挑戦です。K-1の創世記を支えたマイク・ベルナルド選手がマイナー団体のWBF世界ヘビー級タイトルに挑戦し、タイトルを獲得したことはありましたが、主要4団体に挑戦するK-1出身者は初めてです。
純粋ボクサーのチャガエフが防衛するのか、異色ボクサーのスケルトンがタイトルを奪取するのか、ボクシングファンだけでなく、K-1ファンの注目も集めた試合は静かな立ち上がりで始まります。
試合前の管理人の予想では、チャンピオンのチャガエフが序盤からスピードを活かした出入りの激しいボクシングで、ペースを握るのかな?と思ったのですが、スケルトンの強打を警戒してか、ディフェンスを大切にした戦い方を選びます。
対するスケルトンも手を出すと、チャガエフのカウンターを打ち込まれる予感がしたのか、思った以上に慎重な戦い方です。中盤に入ると、ディフェンスを大事にした戦い方ではチャガエフに分があると感じたのか、チャガエフより大きな体を預けて接近戦で勝負を挑みます。接近戦ならサウスポーもオーソドックス(右構え)も関係ないですからね。
前チャンピオンのワルーエフは試さなかったのですが、チャガエフはヘビー級では決して大柄なボクサーではないので、体格的なアドバンテージを持つ大柄なボクサーが接近戦で体を預けると、チャガエフにとっては、体力は消耗するし、サウスポーの良さは消されるしと意外にやりにくいのではないでしょうか?
試合の後半以降は、スケルトンがバテてしまい、チャガエフのペースになりましたが、もしスケルトンに接近戦での打ち合いの上手さと体力があれば、チャガエフは結構危なかったと思います。結果はチャガエフの大差の判定勝ちで、スケルトンがK-1ファンの夢をかなえることはできませんでしたが、何かと話題の多いタイトルマッチでした。
初防衛戦ということもあり、チャガエフはいつも以上に慎重に戦い、防衛成功に重きを置いた印象です。テクニックはさすがですし、ヘビー級の中ではスピードも豊かでどんな対戦相手にも適応できるチャンピオンですね。また、同じサウスポーで元世界ヘビー級チャンピオンのクリス・バードと比較して攻撃的で、ポイントの取り方を知っているボクサーだと思います。
前チャンピオンのワルーエフは何としてもチャガエフにリベンジしたいようで、もしリターンマッチが決まれば大きな話題となることは間違いないので、リターンマッチが実現する可能性は高いと思います。
現在(2008年2月24日)の世界ヘビー級戦線は、IBF世界ヘビー級チャンピオン、ウラディミール・クリチコが引っ張っていることは誰もが認めるところでしょう。来週、ウラディミール・クリチコとWBO世界ヘビー級チャンピオン、スルタン・イブラギモフの統一戦が行われ、2007年混迷を極めたヘビー級で、いよいよ最強ボクサーを決めるゴングが打ち鳴らされます。
チャガエフはクリチコ対抗の一番手となれるでしょうか?ワルーエフとのリターンマッチを選ぶのか、他団体のチャンピオンとの統一戦を選ぶのか、いずれにしてもチャガエフにとって厳しい戦いが待ち受けているのは間違いありません。
試合結果
試合結果 | ルスラン・チャガエフが12ラウンド判定勝ちで初防衛に成功 【公式ジャッジの採点結果】
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