WBC米大陸スーパーウェルター級王座決定戦
WBC世界 ウェルター級5位 |
フリオ・セサール・チャベス・ジュニア(メキシコ) 戦績:35戦34勝27KO1分 |
元WBO世界 ウェルター級1位 |
ホセ・セラヤ(アメリカ) 戦績:34戦31勝16KO3敗 |
試合内容
地元メキシコで絶大な人気を誇るフリオ・セサール・チャベス・ジュニア。偉大なボクサー、フリオ・セサール・チャベスを父に持つ2世ボクサーは確実にプロのキャリアを積み上げ、今回はWBC米大陸スーパーウェルター級王座決定戦に挑みます。
人気が後押ししてか、チャベス・ジュニア圧倒的な有利が伝えられますが、対戦相手のホセ・セラヤは決して侮ることのできない強敵です。スイッチヒッターのセラヤの変則的なボクシングスタイルは、正統派のチャベス・ジュニアのボクシングを惑わす可能性が十分あります。実績のあるセラヤを相手にチャベス・ジュニアがどんなボクシングを披露するのか?次世代を担うスーパースター候補、チャベス・ジュニアの戦い方に注目が集まります。
序盤はチャベス・ジュニアのペース。左ジャブ、左フックを中心に、フットワークを使いながら手数でセラヤを上回ります。2ラウンドには、左ジャブの軌道から左フックへ切り替えるフェイントパンチでダウンを奪い、「チャベス・ジュニア、強くなっているなあ」と実感。相手が強敵、セラヤであることを考えると、満点に近い立ち上がりと言えます。
「このままだと3ラウンドで勝負が決まりそうだな」と思っていたのですが、ここからセラヤが粘りのボクシングを展開。中距離で頻繁にスイッチを繰り返しながら、チャンスと見るやチャベス・ジュニアの懐に飛び込み、接近戦で勝負を挑みます。そして、ボディーブローを中心にコツコツとパンチを集めます。2ラウンドでダウンを奪って、一気に勝負をかけたいチャベス・ジュニアでしたが、ダウンを奪ったことが影響してか、一発狙いの雑なボクシングになり、セラヤのパンチをまともにもらう場面が目立つようになります。
しかし、そこは地元メキシコの大声援を背に戦うスーパースター候補、チャベス・ジュニア。セラヤのパンチをもらいながらも打ち合いを演じ、8ラウンド、左ボディーブローから右ストレートのコンビネーションブローで、この試合2度目のダウンを奪います。さらに、立ち上がったセラヤに追い討ちをかけ、結局、左目を大きく腫らしたセラヤが試合放棄。苦戦しながらもチャベス・ジュニアがWBC米大陸スーパーウェルター級タイトルを獲得しました。
試合に勝ったチャベス・ジュニアですが、もしセラヤが連打で相手を倒すボクサーでなく、一発で相手をKOできるパンチ力を持つボクサーだったら、負けていたかもしれません。それほど、チャベス・ジュニアのボクシングは荒削りで、集中力も散漫で、世界タイトルに挑戦するにはまだまだ早いなと思わざるをえない内容でした。
パンチ力、ディフェンス力、スタミナはもちろん、勝負どころを見極める目を養わないと、強敵が集まるウェルター級、スーパーウェルター級で世界チャンピオンになることは難しいと思います。将来のスーパースター候補だけに、じっくりと育てて、父、フリオ・セサール・チャベスを越えるような、ボクシング界を代表するボクサーになってほしいですね。
試合結果
試合結果 | チャベス・ジュニアが8ラウンドTKO勝ちでタイトル獲得 |