IBF世界ウェルター級王座決定戦
IBF世界 ウェルター1位 |
ジョシュア・クロッティ(ガーナ) 戦績:37戦34勝21KO2敗1無効試合 |
IBF世界 ウェルター3位 |
ザブ・ジュダー(アメリカ) 戦績:43戦36勝25KO5敗2無効試合 |
試合内容
前IBF世界ウェルター級チャンピオンのアントニオ・マルガリートが返上したタイトルを、ランキング1位のジョシュア・クロッティと3位のザブ・ジュダーで争います。激戦のウェルター級において、マルガリートと並ぶタフネスを誇るクロッティが勝てば、初の世界タイトル獲得。ジュダーが勝てば、2006年4月以来の世界タイトル奪取になります。実力者同士の豪華なカードですね。
試合前、管理人が驚いたのは計量時のジュダーの体重。ジュダーはなんと、ウェルター級のリミットより4パウンド(約1.8キロ)も軽かったんです。ウェルター級のボクサーとして、決して体が大きいほうではないジュダーですが、いくらなんでも軽すぎる気がします。しかも、対戦相手は試合後半にめっぽう強いクロッティなので、「スタミナは大丈夫かな?」と少し心配。持ち味のスピードを最大限に活かす作戦が吉と出るのか?凶と出るのか?試合は序盤から両者譲らぬ、一進一退の攻防となりました。
1ラウンドまずペースを握ったのはサウスポーのジュダー。ガードを高く構えて様子を見るクロッティに対して、右回りに動き、ガードの上から右ジャブ、右フックを打ち込みます。ときどき放つ得意の左アッパーも切れ味十分。ジュダーの生命線であるフットワークも健在で、調子は良さそうです。
一方、悲願の世界タイトル奪取を狙うクロッティも黙っていません。2ラウンドに入ると、プレッシャーを強め、右へ動くジュダーに対して、左フックで動きを止めて、ボディーブローを中心にジワジワと攻め込みます。相変わらずガードは固いですね。同じガーナ出身のアイク・クォーティーを思い出せる構えです。
ガードを固めて接近戦で戦いたいクロッティに対して、右へ回りながらサウスポーの利点を活かして戦いたいジュダーという構図で試合は進み、迎えた9ラウンド。試合は思わぬ結末を迎えます。クロッティがジュダーをロープへ詰めて、両者がクリンチしたところで、レフェリーが試合を中断。「あれ?」と思っていると、レフェリーがドクターを呼び、ジュダーの右目付近の傷をチェックするよう指示します。
ジュダーの顔の前で指を2本立て、「この指が何本かわかるか?」とジュダーに尋ねるドクター。しかし、ジュダーはその指をカウントすることができず、そのまま試合終了。パンチのダメージによる続行不可能ならクロッティの勝ちですが、レフェリーは偶然の負傷による続行不可能と判断したため、結果は採点に委ねられ、3-0でクロッティの勝ちとなりました。
一進一退の攻防だっただけに、もう少し試合を続けてほしい気はしましたが、ジュダーの目が見えない以上、しょうがないですね。2006年にマルガリート対クロッティ戦を観た時は「クロッティは身体能力が素晴らしいのに、不器用なボクサーだな」と思ったのですが、この試合はいきなりの右ストレート、左ボディーブローから左アッパーのコンビネーションなど「相手が嫌がる攻撃を覚えたんだなあ」と感心しました。派手さはないですが、鉄壁のガード、スタミナ、打たれ強さ、回復力は脅威的です。もしクロッティが左ジャブを覚えると、もっと楽に戦えてポイントも取りやすくなり、相手にとっては厄介ですね。
試合結果
試合結果 | ジョシュア・クロッティが3-0の9ラウンド負傷判定勝ちで念願の世界タイトル獲得。管理人の採点は87-84でクロッティの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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