WBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ

試合内容

次世代のスーパースター候補、チャド・ドーソンがベテランの元世界チャンピオン、グレンコフ・ジョンソンを迎えたWBC世界ライトヘビー級タイトルマッチ。無敗のチャド・ドーソンが、ロイ・ジョーンズにKO勝ちを収めた経験を持つグレンコフ・ジョンソン相手にどんな試合を展開するのか注目です。

序盤から前に出てプレッシャーをかけ続けるグレンコフ・ジョンソンに対して、チャド・ドーソンは長いリーチを活かして離れた距離で勝負する作戦。グレンコフ・ジョンソンは接近戦でめっぽう強いので、チャド・ドーソンの作戦は王道と言えるのですが、グレンコフ・ジョンソンのプレッシャーが予想外に強く、ガードを固めながらグイグイ中に入られてしまいます。

管理人はチャド・ドーソンがもっと足を使いながら、右ジャブで突き放すと思っていたので、予想外の展開です。これまで、ロイ・ジョーンズやアントニオ・ターバーなど、名立たるボクサーを撃破しているグレンコフ・ジョンソンにとって、チャド・ドーソンのパンチ力なら、ガードしながら接近戦に持ち込めると判断したのでしょう。

もしチャド・ドーソンにインファイター用の左アッパーがあれば、展開は変わっていたと思うのですが、チャド・ドーソンの嫌がるボクシングを展開するところは、さすがグレンコフ・ジョンソンですね。

試合序盤を観る限り、チャド・ドーソンは戦い方に少し迷いがあったようです。接近戦で打ち合うならボディー中心、それができなければ、すぐにアウトボクシングに切り替えたほうが良かったと思いますが、グレンコフ・ジョンソンのボクシングに付き合ってしまった感じです。

ふた桁の黒星があるグレンコフ・ジョンソンは、戦績だけを見ると、魅力的なボクサーとは言えないかもしれませんが、誰と戦っても好勝負を展開する粘り強いボクサーなので、中途半端な距離で戦うと危険ですね。

試合はチャド・ドーソンがペースをつかめないまま終盤を迎え、10ラウンドにはグレンコフ・ジョンソンの強烈な右フックをもらい、ふらつく場面もありましたが、グレンコフ・ジョンソンも最後はスタミナが切れ、勝負を決めきれないまま12ラウンド終了のゴング。結局、3人のジャッジがいずれも116-112でチャド・ドーソンを支持し、苦戦しながらも防衛に成功しました。

ライトヘビー級は重量級にも関わらず、チャド・ドーソン、アントニオ・ターバー、ロイ・ジョーンズなど、スマートなボクサーが多い階級。その中で今回敗れはしましたが、グレンコフ・ジョンソンの存在はおもしろいですね。誰と戦っても好試合が期待できます。今回の試合は際どい判定だったので、もしかすると、再戦の話が出るかもしれません（管理人の採点は115-113でグレンコフ・ジョンソンの勝ちでした）。

勝ったチャド・ドーソンは苦しい試合を何とかモノにし、タイトル防衛に成功しましたが、今後はグレンコフ・ジョンソンのようなガードを固めて中に入ってくるファイター対策が必要だと思います。重量級なので、右ジャブだけでは、止まらないボクサーも多いと思います。いきなりの左ストレートや左アッパーをマスターしたいですね。何はともあれ、苦しい試合をモノにするあたりはスーパースター候補生。25歳とまだまだ若いので、将来が楽しみな無敗チャンピオンです。

試合結果