WBC世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | バーノン・フォレスト(アメリカ) 戦績:42戦39勝28KO2敗1無効試合 |
挑戦者 | ミケーレ・ピッチリッロ(イタリア) 戦績:52戦48勝29KO3敗1無効試合 |
試合内容
2階級制覇を達成したチャンピオンのバーノン・フォレストは、「シュガー」、シェーン・モズリーに初黒星を付け、再戦でも勝利している右ストレートに爆発的な破壊力を誇る長身のボクサーです。一方、挑戦者のミケーレ・ピッチリッロはガードをしっかり固めて戦う、攻防兼備のテクニシャン。この一戦に勝てば、2階級制覇を達成します。
両者は1991年に開かれた世界選手権で拳を交えています。結果はフォレストの判定勝ち。16年の月日を経た因縁の再戦でピッチリッロがリベンジを果たすのか?それとも、フォレストが返り討ちにするのか?時代を越えた宿命の対決ははフォレストのラッシュで始まります。
1ラウンドから左ジャブ、右ストレートで積極的に仕掛けるフォレスト。これに対して、ピッチリッロは、左右のガードをしっかりと固めますが、フォレストのパンチはガードを打ち破るほどの威力を見せます。
1ラウンドの流れをそのままに、2ラウンドの残り30秒には、フォレストの右ストレートがピッチリッロの顔面をクリーンヒット。残り10秒にも同じように右ストレートが顔面をとらえます。この試合のフォレストの右ストレートの伸びは驚異的です。
3ラウンドに入ると、フォレストのスピードに少し慣れてきたのか、ピッチリッロが前に出て反撃しますが、ポイントを取るまでにはいたりません。チャンピオン、フォレストのパワーが挑戦者のテクニックを完全に圧倒する展開で試合が進み、6ラウンド残り15秒、フォレストの右フックがダッキングしたピッチリッロの後頭部に当たり、この試合最初のダウンを奪います。
さらに、中盤以降も、フォレストが試合を有利に進め、右ストレートに加えて、ボディーブローで挑戦者の体力を奪う展開。9ラウンドには、決死の反撃を試みるピッチリッロの左ジャブにフォレストが右ストレートをかぶせ、前のめりに倒れる挑戦者。「このダウンで決まりかな」と思ったのですが、2階級制覇がかかる挑戦者、ピッチリッロは必死で立ち上がります。しかし、16年越しのリベンジは夢と終わります。
11ラウンド残り40秒、フォレストがピッチリッロをロープに追い詰め、強烈なストレートが顔面にクリーンヒット。そのままロープにたたきつけられた挑戦者に待っていたのは、レフェリーストップという悪夢の結果でした。
この試合のフォレストは完璧な出来だったと思います。シェーン・モズリーが2度負けたのが納得できる快勝です。この試合を観ると、こんなに強いフォレストが2度もリカルド・マヨルガに負けたことが信じられません。
フォレストは強引に入ってくるタイプに弱いのかもしれませんが、この調子ならマヨルガに勝てるだけでなく、KOできると思います。フォレストは、距離を取って戦ったら、本当に強いボクサーだということを改めて認識させられる完璧な初防衛戦でした。
試合結果
試合結果 | バーノン・フォレストが11ラウンドTKO勝利で初防衛に成功 |