3団体統一世界クルーザー級タイトルマッチ
WBA・WBC チャンピオン |
デビッド・ヘイ(イギリス) 戦績:21戦20勝19KO1敗 |
WBOチャンピオン | エンゾ・マカリネリ(イギリス) 戦績:29戦28勝21KO1敗 |
デビッド・ヘイ対エンゾ・マカリネリの試合内容
クルーザー級で最も注目を集めるボクサーと言えば、WBA・WBC世界クルーザー級チャンピオンのデビッド・ヘイ。KO率9割を超えるハードパンチとモデルとして活躍するほどの端正なマスクで人気急上昇中です。体の柔らかさとバネを活かした攻撃的なボクシングで、得意の右ストレートを武器にKOを積み重ねていますね。
一方、WBO世界クルーザー級チャンピオンのエンゾ・マカリネリは7年間無敗の安定チャンピオン。エンゾ・マカリネリも右ストレートを得意とする攻撃的なボクサーですが、デビッド・ヘイと比較してディフェンスを大事にするタイプです。
今回の王座統一戦は同じイギリス人の人気チャンピオン対決、そして、ハードパンチャー同士の対決です。地元イギリスはもちろん、世界中のボクシングファンが注目するKO必至の王座統一戦は期待通り、スリリングな展開となりました。
先制攻撃を仕掛けたのはデビッド・ヘイ。左ジャブで距離を測定しながらプレッシャーをかけ、得意の右ストレートを狙う普段通りの戦い方です。エンゾ・マカリネリは普段よりガードを高く構え、デビッド・ヘイの攻撃を防ぐ作戦。隙あらば、右ストレートを打ち込もうという慎重な立ち上がりです。
両者を比較すると、デビッド・ヘイの体格がいかに恵まれているかがよくわかります。筋肉の付き方、体の柔らかさ、膝のバネ、どれを取ってもボクサーに向きで、特に驚いたのが出入りのスピードです。クルーザー級でこれほど速く動けるボクサーは観たことがありません。エンゾ・マカリネリがワンテンポ遅れて観えるほど、デビッド・ヘイのスピードは優れています。
そして、そのスピード差がデビッド・ヘイに勝利を呼び込みます。2ラウンド、エンゾ・マカリネリの左ジャブの帰り際を狙って、デビッド・ヘイが右ストレートを打ち込みます。顔面にクリーンヒットしましたが、さすがはエンゾ・マカリネリ。この強烈なパンチをもらいながらも何とか耐えます。
しかし、このパンチでタイミングを掴んだデビッド・ヘイからエンゾ・マカリネリが逃げ切ることはできませんでした。結局、デビッド・ヘイがエンゾ・マカリネリをロープに詰め、ワンツーでエンゾ・マカリネリの腰が落ちたところに、右フックを叩き込んで勝負あり。デビッド・ヘイが圧倒的な強さで3本のベルトを手にした王座統一戦でした。
デビッド・ヘイは試合前から公言していた通り、この試合を最後にヘビー級転向を発表しました。「ヘビー級タイトルを奪取し、最終的にヘビー級のエース、ウラディミール・クリチコを撃破する」と豪語したデビッド・ヘイ。ウラディミール・クリチコに勝てるかはどうかは別として、ヘビー級で革命を起こせるほどの資質を持っているボクサーだと思います。
デビッド・ヘイはパンチ力だけでなく、スピードを武器に戦えるボクサーなので、12ラウンド動いて戦えるスタミナをつけることができれば、ミドル級出身者として106年ぶりにヘビー級タイトルを獲得したロイ・ジョーンズのように、スピードとパンチのタイミングを武器にヘビー級タイトルを獲得するチャンスは十分にあるはずです。
ただし、今すぐデビッド・ヘイのボクシングがヘビー級で通用するかと言えば、ディフェンスとスタミナに難点があるので「時期尚早かな?」と思います。逆に言えば、かつてイベンダー・ホリフィールドがクルーザー級からヘビー級に転向したときのように、ヘビー級で戦うためのしっかりした準備さえできれば、ヘビー級チャンピオンになれる可能性は高いと思います。
安定チャンピオンが存在しない群雄割拠のヘビー級戦線で活躍すれば、一気にスーパースターの階段を駆け上がること間違いなしです。デビッド・ヘイのボクシングは好戦的で、しかもモデルをするほどのルックスの持ち主なので、イギリスだけでなく、世界中で人気が出ると思います。今後のヘビー級戦線の行方を左右する注目のボクサーですね。
デビッド・ヘイ対エンゾ・マカリネリの試合結果
試合結果 | デビッド・ヘイが2ラウンドTKO勝ちでタイトル統一に成功。 |