IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ
チャンピオン | ディミトリー・キリロフ(ロシア) 戦績:33戦29勝10KO3敗1分 |
挑戦者 | ビック・ダルチニャン(オーストラリア・アルメニア出身) 戦績:31戦29勝23KO1敗1分 |
試合内容
2007年7月、ノニト・ドネアにまさかのTKO負けを喫し、IBF世界フライ級タイトルを失ったビック・ダルチニャンが2階級制覇をかけて、IBF世界スーパーフライ級チャンピオンのディミトリー・キリロフに挑みます。チャンピオンのキリロフはタフネスがウリの粘り強いボクシングが持ち味。これに対して、挑戦者のダルチニャンは超攻撃スタイルが魅力のサウスポーです。
チャンピオンのキリロフとしては、ダルチニャンの強打をブロックではなく、空振りでかわして体力勝負に持ち込みたいところです。スーパーフライ級に階級アップして減量苦が軽減されたダルチニャンとしては、持ち味の左ストレートを強振して一気にペースを奪いたいですね。フライ級時代最強の名をほしいままにしていたダルチニャンが2階級制覇を達成するのか?注目のタイトルマッチは予想通りの展開となりました。
序盤から攻勢に出たのは挑戦者のダルチニャン。右ジャブで距離を測りながら左ストレートを打ち込むタイミングをうかがいます。一方、チャンピオンのキリロフはダルチニャンの強打を警戒してか、ディフェンス重視の静かな立ち上がりです。
試合が動いたのは2ラウンド。距離を取るチャンピオンのキリロフに対して、ダルチニャンが強烈な左ボディーブローを叩き込みます。一瞬、腰が落ちるキリロフ。ダルチニャンにとってはキリロフの足を止める理想的な攻撃ですね。
「ダルチニャンの攻撃を守りだけで12ラウンド凌ぎ切るのは難しいんじゃないかな?」と思っていると、3ラウンド開始直後、キリロフが攻撃に移ります。フットワークを活かして左右に動きながら、右ストレートのカウンターを狙うのですが、減量苦から解放されたダルチニャンのパワーとスピードの前に押し返され、1分30秒すぎにはダルチニャンの左ストレートがキリロフのアゴを直撃。一瞬動きが止まったキリロフに対してダルチニャンが猛攻を仕掛け、一気に試合のペースを握ります。
そして、迎えた5ラウンド。ゴングが鳴ると同時にダルチニャンが勝負に出ます。左ストレートで威嚇しながら、キリロフをロープへ追い詰めると、左ストレートの3連打から右フックの返し、そして左ストレートを顔面へ叩き込み、ダウンを奪います。
鼻から出血しながらも立ちあがるキリロフ。しかし、一気に勝負を決めようとするダルチニャンが左右のフックを連打し、最後は左ストレートをキリロフの顔面に叩き込み、この試合2度目のダウンを奪います。キリロフは何とか立ち上がろうとしますが、ダメージを受けた体は立ち上がることができず、そのまま10カウントで試合終了。ダルチニャンが見事なKO勝利で2階級制覇に成功しました。
この試合はパワー、スピード、スタミナのどれを取ってもダルチニャンがキリロフを上回っていたと思います。おそらく、何度戦ってもキリロフはダルチニャンに勝つことができないでしょう。それほど、両者の力の差は歴然としていました。スーパーフライ級に階級を上げたダルチニャンですが、全く問題がないどろこか、フライ級以上の力を出せそうな感じです。キリロフとの相性もあると思いますが、のびのびボクシングをしていましたね。
さて、タイトル奪取に成功したダルチニャンですが、今後はWBA、WBC世界スーパーフライ級チャンピオンのクリスチャン・ミハレスと統一戦を行う計画があるようです。これは見ごたえのある好カードですよ。スーパーフライ級ナンバーワンの攻撃力を誇るダルチニャンとスーパーフライ級ナンバーワンの技巧派ミハレス。どちらが勝ってもKO勝利になりそうですね。
試合結果
試合結果 | ビック・ダルチニャンが5ラウンドKO勝ちでタイトル奪取に成功。2階級制覇を達成。 |