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クリチコ対イブラギモフ!世界ヘビー級王座統一戦

IBF・WBO世界ヘビー級王座統一戦

IBF世界ヘビー級
チャンピオン
ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)
戦績:52戦49勝44KO3敗
WBO世界ヘビー級
チャンピオン
スルタン・イブラギモフ(ロシア)
戦績:23戦22勝18KO1分

試合内容

マイク・タイソン、レノックス・ルイスが引退し、柱を失ったヘビー級戦線。スーパースター不在が響き、2007年はヘビー級が話題になることはほとんどありませんでしたが、2008年は活性化されそうな気配です。

その第1弾が最強の呼び声高いIBF世界ヘビー級チャンピオン、ウラディミール・クリチコと無敗のテクニシャン、WBO世界ヘビー級チャンピオン、スルタン・イブラギモフの王座統一戦です。

この試合のオッズは3対1。ボクシングファンはクリチコ有利と予想していますが、ボクシング世界ヘビー級史上5人目のサウスポーチャンピオンとなったイブラギモフのテクニック、カウンターは超一級品。

初防衛戦で元3団体世界ヘビー級チャンピオン、イベンダー・ホリフィールドを退けたイブラギモフがクリチコ相手に王座を統一するのか?それとも、クリチコが下馬評通りの強さを証明するのか?世界中のボクシングファンが注目する王座統一戦のゴングが打ち鳴らされます。

序盤は両チャンピオンともお互いのパンチを警戒して、けん制し合う静かな立ち上がり。クリチコには一撃で試合を終わらせる右ストレートが、イブラギモフには絶妙のタイミングで放たれるカウンターの左ストレートがあるため、お互いにディフェンスを意識しながら戦います。

特に、クリチコの警戒心はすさまじく、イブラギモフの右ジャブを左シャビングで叩き落としながら、プレッシャーをかけます。しかし、イブラギモフの左カウンターを警戒しすぎるあまり、クリチコ自身も右ストレートがなかなか出せません。

ボクシングの戦術を大きく分けると、自分の長所を活かすか、相手の長所を消すかの2つの戦い方があります。自分の長所を活かせば、相手を打ち倒す(KOする)ことができるかもしれませんが、この試合のために数ヶ月間準備した相手の攻撃を受ける可能性も高まります。そのため、最近は相手の長所を消す戦術が好まれる傾向にあります。

しかし、両ボクサーが相手の長所を消す戦い方を選んだ場合、試合がつまらなくなってしまうことがよくあります。そして、残念なことに、クリチコとイブラギモフの統一戦がまさにそうでした。両ボクサーとも手数が少なく、中盤以降はブーイングを浴びる展開。

9ラウンドにクリチコがイブラギモフをコーナーへ追い込み、左ジャブ、右ストレート、左ジャブ、右ストレートの4連打。イブラギモフの腰が落ち、ロープにもたれかかります。ダウンにはなりませんでしたが、ロープがなければダウンしていたと思います。また、11ラウンド終了直前には、クリチコの右の2連打がイブラギモフのアゴをヒットしますが、こちらもダウンにはいたりません。結局、この試合の大きな盛り上がりはこの2つのシーンくらいでした。

試合全体を通して、お互いがリスクを回避しながら、ディフェンスを重視する慎重な戦い方で、一言で説明すると「退屈な試合」でした。管理人が21世紀に入って観戦した世界タイトルマッチで最もつまらない試合だったと思います。期待が大きかっただけに本当にガッカリです。

結果はリーチの差を活かし、終始イブラギモフを中に入らせなかったクリチコが大差の判定勝ちを収め、2つの世界ヘビー級タイトルを統一しましたが、久しぶりの統一世界ヘビー級チャンピオンに降り注がれたのは賞賛の拍手ではなく、失望のブーイングでした。

ボクシングは真剣勝負のスポーツなので、相性が合わなければ、どんなに良いボクサー同士が戦っても、つまらない試合になってしまうことがあります。しかし、リスクを回避しすぎることがプロボクサーとして正しい姿勢かどうか疑問です。

クリチコ、イブラギモフの両者に言えることですが、管理人が観たかったのは「タイトルを守る戦い方」ではなく、「勝ちに行く姿勢」、「相手のタイトルを奪って統一してやるという意気込み」でした。そして、この試合に対する両者の姿勢こそが、全世界のボクシングファンが期待した久しぶりのヘビー級王座統一戦をつまらないものにしてしまった原因ではないでしょうか?

試合結果

試合結果 ウラディミール・クリチコが12ラウンド判定勝ちで王座統一
【公式ジャッジの採点結果】
  • 119-110
  • 118-110
  • 117-111
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