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ウラディミール・クリチコとハシム・ラクマンのヘビー級豪腕対決

IBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ

チャンピオン ウラディミール・クリチコ(ウクライナ)
戦績:54戦51勝45KO3敗
挑戦者 ハシム・ラクマン(アメリカ)
戦績:54戦45勝36KO6敗2分1無判定

試合内容

IBF・WBOの2つのベルトを持つヘビー級チャンピオン、ウラディミール・クリチコと元ヘビー級チャンピオンのハシム・ラクマンが激突するIBF・WBO世界ヘビー級タイトルマッチ。右拳に強打を秘めたボクサー同士の対決で、KO決着必至の好カードです。

当初、IBF・WBO世界ヘビー級チャンピオンのウラディミール・クリチコはアレクサンデル・ポベトキンの挑戦を受ける予定だったのですが、アレクサンデル・ポベトキンが負傷し、リングに上がることができないため、急遽、挑戦者がハシム・ラクマンに変更されました。ハシム・ラクマンにとっては願ってもないチャンスで、勝てば3度目のヘビー級王座戴冠になります。

実はウラディミール・クリチコとハシム・ラクマンにはちょっとした縁があります。ハシム・ラクマンは2005年8月にWBC世界暫定ヘビー級タイトルを獲得し、当時の正チャンピオン、ビタリ・クリチコ(ウラディミール・クリチコの実兄)と対戦するはずだったのですが、ビタリ・クリチコが引退したため、両者の対戦は実現しなかったんです。3年の月日を経て、クリチコ兄弟の弟、ウラディミール・クリチコとハシム・ラクマンが激突するなんて、不思議な宿命ですね。

試合は序盤からチャンピオンのウラディミール・クリチコがハシム・ラクマンを懐に入れないよう、左ジャブを突いて距離を保つ予想通りの展開。ガードをガッチリ固めて何とか接近戦に持ち込みたいハシム・ラクマンですが、ウラディミール・クリチコがいつも以上に左ジャブを強く打ってくるので、ガードをするだけで精一杯です。

この試合のウラディミール・クリチコは体調が良いのか、1ラウンドから右ストレートを打ち込み、完全に試合の主導権を握ります。「速くて強い」左ジャブだけでなく、2メートルの長身から打ち下ろす右ストレートが飛んでくるのですから、ハシム・ラクマンとしてはたまったもんじゃありません。

試合前は「ウラディミール・クリチコの攻撃が左ジャブだけなら、ハシム・ラクマンにも一発で相手を仕留める必殺の右を出すチャンスがあるかな?」と思っていたのですが、ウラディミール・クリチコにこれだけ落ち着いたボクシングをされると厳しいですね。試合が進むにつれて、ハシム・ラクマンはウラディミール・クリチコの右ストレートを警戒するあまり、カードを固めて防戦一方になります。

6ラウンド開始直後には、ウラディミール・クリチコが左ジャブから左フックを3連打し、ハシム・ラクマンの体勢が崩れたところへ、ショートの右ストレートをテンプルへ打ち込み、ダウンを奪います。ハシム・ラクマンは何とか立ち上がりますが、ロープへ追い詰められて、左ジャブ、右ストレート、左フックを連打され、相当なダメージを受けてしまいます。

ガードを固めて何とか6ラウンドを耐えたハシム・ラクマンですが、すでに反撃する力は残ってなく、7ラウンド開始と同時に勝負に出たウラディミール・クリチコがハシム・ラクマンをコーナーへ詰めて左フックを打ち込んだところで、レフェリーのトニー・ウィークスさんが試合をストップ。ウラディミール・クリチコがハシム・ラクマンを全く寄せ付けず、改めて圧倒的な強さを証明しました。

この試合のウラディミール・クリチコは2008年最高の出来でしたね。いつもなら、序盤は左ジャブだけで様子を見て、相手の戦力を分析してから右ストレートを打ち込むことが多いウラディミール・クリチコですが、この試合は1ラウンドから右ストレートを打ち込み、ハシム・ラクマンに恐怖心を与えたことが勝因だと思います。

ウラディミール・クリチコが早々と右ストレートを打ち込んだことで、ハシム・ラクマンはガードを固めなくてはならない状態になり、得意の右ストレートを出すことができなくなりました。その結果、ウラディミール・クリチコが左ジャブだけでハシム・ラクマンにダメージを与え、完全に試合を支配しましたね。ウラディミール・クリチコは全くダメージを負わず、実力者のハシム・ラクマンに快勝するのですから、驚異的な強さとしか言いようがありません。

2009年のヘビー級は間違いなく、クリチコ兄弟が主役になると思います。クリチコ兄弟は主要4団体のうち、3つのベルトを保持していますが(兄のビタリがWBC、弟のウラディミールがIBFとWBO)、WBA世界ヘビー級チャンピオンのニコライ・ワルーエフと激突して、主要4団体のすべてのベルトを手に入れる瞬間は訪れるのでしょうか?2008年、ボクシング史上初めて兄弟同時世界ヘビー級チャンピオンに輝いたクリチコ兄弟が、2009年にボクシングの歴史に新しい1ページを加えるかもしれません。

試合結果

試合結果 ウラディミール・クリチコが7ラウンドTKO勝ちでタイトル防衛に成功。
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