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マスカエフ対ピーターが激突!KO必死の王座統一戦

WBC世界ヘビー級王座統一戦

正チャンピオン オレグ・マスカエフ(カザフスタン)
戦績:39戦34勝26KO5敗
暫定チャンピオン サミュエル・ピーター(ナイジェリア)
戦績:30戦29勝22KO1敗

試合内容

20世紀終わりから21世紀はじめにかけてヘビー級戦線を引っ張ってきたレノックス・ルイスとマイク・タイソンが引退して以来、ヘビー級は圧倒的な存在感と強さを備えたボクサーを失い、混迷の時代へ突入しました。絶対的な柱を失った影響か、ヘビー級の人気は下降線をたどり、ボクシングファンの興味はオスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー、ミゲール・コットなどパワーとスピードを備えたボクサーが集まる中量級へ移って行ったのです。

全17階級で最も重いヘビー級は、迫力で他の階級を圧倒し、衝撃的なKOでボクシングファンのハートを熱くしてきました。ロッキー・マルシアーノ、モハメド・アリ、ジョー・ルイスなど数多くの名チャンピオンが誕生し、ボクシングファンは彼らの戦いに酔いしれたのです。ボクシングの歴史はヘビー級の歴史と言っても過言ではありません。ボクシングの象徴とも言えるヘビー級が盛り上がらないのは、やっぱり寂しいですよね。

今回登場するWBC世界暫定ヘビー級チャンピオン、サミュエル・ピーターはヘビー級を統一するだけの可能性を秘めています。ニックネームは「ナイジェリアの悪夢」。唯一の黒星はIBF・WBO世界ヘビー級チャンピオン、ウラディミール・クリチコに判定負けしたものですが、ヘビー級最強と言われるクリチコを3度もダウンさせています。打たれ弱さやスタミナ不足など不安な面もありますが、豪腕を振り回し、「昔ながらのファイトスタイル」を貫く正統派のヘビー級チャンピオンです。

一方、正チャンピオンのオレグ・マスカエフは強烈な右ストレートと左フックで勝ち残ってきたベテランチャンピオン。スピードがあるとは言えませんが、かつてハシム・ラクマンをリング下に突き落とすなど、破壊的なKOを生み出した右ストレートは相手にとって脅威です。

正チャンピオンのマスカエフがベテランの上手さを発揮するのか、パンチ力とスピードで上回るピーターが一気に試合を決めるのか、不器用なチャンピオン同士の王座統一戦は、ボクシングを初めて観る人にもわかりやすい内容となりました。

試合は序盤から両者がKOを狙う予想通りの展開。マスカエフは右ストレートを、ピーターは左右のフックを叩き込んでやろうという気迫が全身からみなぎっていて、お互いに手数は少ないのですが、リング上は緊張感でいっぱいです。一発で試合が終わってしまうヘビー級ならではの緊張感で、最近増えてきた「器用なヘビー級チャンピオン」の試合では観られない展開です。

マスカエフ、ピーターとも手数が少なく、「にらめっこ状態」で試合が進むにも関わらず、お客さんがブーイングをしないのは、一瞬で試合が終わるかもしれないという緊迫感がお客さんに伝わっているからでしょう。こんな緊張感は久しぶりです。

王座が統一されたのは6ラウンド。突然訪れる幕切れがヘビー級の試合の醍醐味なんですよね。残り40秒、マスカエフの左ジャブの戻り際を狙ったピーターのオーバーハンドライトがマスカエフの顔面をヒット。一瞬ぐらついたマスタエフに対してピーターが左右の連打を繰り出し、ロープへ追い詰めます。

ガードを上げて必死に耐えようとするマスカエフですが、「ナイジェリアの悪夢」と称されるピーターの豪腕がマスカエフを襲います。右フックでガードをこじ開け、ラストは左フック、右フック、左フック、右フックのクリーンヒット4連打。

マスカエフの巨体がバランスを失い、コーナーポストめがけてよろめいたところで、レフェリーが試合をストップ。もしレフェリーが試合を止めなかったら、マスカエフは意識を失うほどの強打を打ち込まれていたでしょう。マスカエフにとっては、ピーターのあだ名通り「悪夢」のような試合でした。。

攻撃に転じた時のピーターは本当に強いです。突進力と破壊力はヘビー級で一番だと思います。不器用ですが、初めて観る人にもわかりやすいボクシングスタイルで、ボクシングファンが期待する「パワーで相手を圧倒するヘビー級チャンピオン」こそ、サミュエル・ピーターなんです。

ピーターは一度負けているクリチコにリベンジしたい気持ちがあるでしょうし、両者の再戦はそう遠くないと思います。ボクシングの歴史を見ると、ヘビー級タイトルは統一へ向かう傾向が強いですからね。

管理人の個人的な意見ですが、ヘビー級チャンピオンはチャンピオンであることに満足せず、最強を証明するため王座を統一してほしいです。なぜなら、単純に考えて、全17階級で一番パワーのあるヘビー級チャンピオンが全ボクサーの中で一番強いのですから。

ルスラン・チャガエフ、ウラディミール・クリチコ、サミュエル・ピーター。3人に絞られた「最強決定戦」。誰が一番強いのか?もしかすると、2008年の終わりには、その答えが出ているかもしれません。

試合結果

試合結果 サミュエル・ピーターが6ラウンドTKO勝ちで王座統一に成功
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