WBC米大陸スーパーミドル級王座決定戦
2階級制覇 チャンピオン |
リカルド・マヨルガ(ニカラグア) 戦績:35戦27勝22KO6敗1分1無効試合 |
元WBA・IBF世界 スーパーウェルター級 チャンピオン |
フェルナンド・バルガス(アメリカ) 30戦26勝22KO4敗 |
試合内容
リカルド・マヨルガ、フェルナンド・バルガスともに元チャンピオン、そして人気の高い悪童タイプのボクサーです。実は、この両者、オスカー・デラホーヤ、フェリックス・トリニダードという中量級のスーパースターと戦って、いずれもKOで敗れています。
共通点の多い2人の元チャンピオン同士の激突は試合前の記者会見、減量からヒートアップし、試合前のリング上では数人のセキュリティが両者の間に入る異様な雰囲気の中で始まりました。
序盤試合を制したのはリカルド・マヨルガ。試合が始まると同時に持ち前の強打をバルガスに叩き込みます。マヨルガの強打を警戒し、いつも以上にガードの高いバルガスも必死にブロック。しかし、1ラウンド残り30秒、左フックを放ったバルガスの体が流れたところをマヨルガが見逃しません。左右の連打を叩き込み、ダウンを奪います。
2ラウンドもフリッカー気味の左ジャブでバルガスを揺さぶり、右のストレートを顔面、ボディーに上手く散らしながら試合を支配します。マヨルガは荒っぽいボクシングやリング外のパフォーマンスが有名ですが、攻撃の技術はとても高いと思います。特にワンツーの速さは超一級品でワンからツーを打つ間隔がとても短く、最短距離で相手を打ち抜きます。
3ラウンドには、マヨルガが左右の連打でラッシュをかけ、バルガスはこのラッシュで左目じりをカットしてしまう嫌な展開。並みのボクサーなら、一気にKOで試合が終わったと思いますが、さすがは、数々の修羅場をくぐり抜けているバルガス。接近戦は不利と感じたのか、すかさず距離を取り、左ジャブや左フックをマヨルガのボディーへ集め、試合の流れを上手く引き寄せます。
4ラウンドに入ると、バルガスは距離感を完全につかんだのか、左ジャブと右ストレートで突き放しながら、チャンスと見るや、インサイドに飛び込み、左右のフックとアッパーを的確に打ち込みます。
一方、序盤の打ち疲れが出たのか、少し手数が減ったマヨルガですが、7ラウンドには、ワンツーと右アッパーを多用し、本来のリズムを取り戻します。1分過ぎには、マヨルガの強烈なワンツーがバルガスの顔面をクリーンヒット。一瞬バルガスの動きが止まるほどの威力でポイントを取り返します。
しかし、8ラウンドに入ると、バルガスが反撃の狼煙をあげます。的確なコンビネーションブローを徹底的にボディーへ集め、残り10秒、左ボディーから右ショートを顔面へ叩き込みます。コンビネーションの上手さと当て感はさすがバルガスです。
序盤はマヨルガ、中盤は一進一退の攻防が続きましたが、8ラウンドを期に試合は少しずつですが、確実にバルガスのペースへ。バルガスはガードを高く構え、マヨルガの攻撃を防ぎきったら、的確なパンチを顔面、ボディーへと散らす上手い戦い方を見せます。
確実にダメージが蓄積されていくマヨルガですが、11ラウンド残り5秒で放った右ストレートがバルガスの顔面をヒット。足がそろい、後ろに体重が残っていたバルガスはそのまま後ろに倒れ、この試合2度目のダウン。ダメージはあまりないようですが、痛恨のダウンです。
最終ラウンド、バルガスが必死にポイントを取り返そうとしますが、思うように体が動かず、決着は3人のジャッジの判定に委ねられます。結果は2-0のきわどい判定でマヨルガの勝利(管理人の判定はドローでした)。バルガスは試合前の公言通り、現役を引退しました。
プロのリングでバルガスが敗れた相手は、オスカー・デラホーヤ、フェリックス・トリニダード、シェーン・モズリー(2度敗戦)、そして今回戦ったマヨルガといずれも強豪なんです。
どんなときも、強豪相手に逃げずに戦ったバルガスは「フェローシャス(獰猛な)」のニックネーム通り、スリリングな試合を好み、数々の深く記憶に刻まれる試合を戦い抜いたボクサーでした。長い間、たくさんの好勝負をありがとう。本当にお疲れ様でした。
試合結果
試合結果 | リカルド・マヨルガが2-0のきわどい判定勝ちでタイトル奪取(管理人の判定は113-113のドローでした)。試合後、フェルナンド・バルガスは現役引退を発表しました。 【公式ジャッジの採点結果】
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