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世界王者、内藤大助に日本王者、清水智信が挑んだ日本人対決!

WBC世界フライ級タイトルマッチ

チャンピオン 内藤大助(日本・宮田ジム)
戦績:37戦32勝20KO2敗3分
挑戦者 清水智信(日本・金子ジム)
戦績:15戦13勝5KO2敗

試合内容

日本を代表するボクサーとして国民的な人気を誇る、WBC世界フライ級チャンピオンの内藤大助選手。変則的なボクシングで、2008年3月に最大のライバル、ポンサクレック・ウォンジョンカム(前WBC世界フライ級チャンピオン)をドロー防衛で退け、今回が3度目の防衛戦になります。

ボクシング界のみならず、多くのファンから愛される内藤選手が今回対戦する相手は、日本フライ級チャンピオンの清水智信選手。アマチュア出身らしく、左ジャブ、右ストレートを武器に戦う技巧派ボクサーで、2007年4月にはタイでポンサクレックに挑戦した経験を持つ実力者です。

世界チャンピオンが日本チャンピオンに格の違いをみせつけるのか?日本チャンピオンが世界チャンピオンを倒し、初戴冠を果たすのか?ボクシングスタイルが全く違う日本人対決はボクシングファンが熱狂する結末となりました。

序盤ペースを握ったのは挑戦者の清水選手。変則的なボクシングを展開する内藤選手に惑わされることなく、自分のボクシングを貫き、スピードのある左ジャブ、コンパクトな右ストレートをヒットさせます。大舞台でも緊張することなく、自分のボクシングに徹するところは見事です。

逆にチャンピオンの内藤選手は何かギクシャクしています。気持ちばかりが先走り、上半身は前に出るのですが、肝心の足が前に出ません。また、必要以上に力が入りすぎているのか、大振りのパンチが目立ち、打ち終わりを清水選手にコツコツ反撃される場面が目立ちます。

「あれ?今日の内藤選手はリズムが悪いな」と感じたボクシングファンは管理人だけではないでしょう。普段の内藤選手なら、まず足を動かしてリズムを作り、相手との距離を測りながら、しっかりと体重を乗せたパンチを打ちこむのですが、この試合は下半身から上半身への体重移動のバランスが悪いため、パンチが手打ちで、しかも手数が出ない悪循環。

7ラウンドから内藤選手の動きが少し良くなりましたが、8ラウンド終了時点で発表されたオープン・スコアリング・システムによる3人のジャッジの採点は、2人が清水選手を支持、1人がドローでチャンピオン不利。フック系のパンチを強振するチャンピオンに対して、インサイドからコンパクトなパンチを集める清水選手の作戦が的中しています。

「内藤選手、本当に危ないかも」と思い始めた10ラウンド、チャンピオンが勝負を仕掛けます。ゴングが鳴ると、いきなりダッシュ。清水選手のボディーにパンチに連打します。一度はクリンチでしのがれますが、クリンチ後に右ストレートから強烈な左フックの返しを清水選手の顔面へ叩き込みます。

この試合一番のクリーンヒットを受けた清水選手の動きが一瞬停止。チャンピオンの内藤選手は、このチャンスを逃すことなく、右のダブルを打ち込み、起死回生のダウンを奪います。リングを叩いて悔しがる清水選手。勝利への執念で何とか立ち上がりますが、深いダメージを負った清水選手にチャンピオンが猛攻を仕掛けます。

防戦一方の清水選手を左右の連打でロープへ追いつめて、最後は重心が後ろにかかったところへ左ストレート、右ストレートの連打で2度目のダウンを奪います。カウントナインで、必死に立ち上がった清水選手ですが、試合を続行することはできず、無念のKO負け。チャンピオン、内藤選手が逆転KO勝ちで3度目の防衛に成功しました。

あと一歩のところで敗れはしましたが、清水選手も力を出し切ったと思います。ディフェンスを重視する現代のボクシングでは、インサイドのパンチをどれだけ的確に当てられるかがカギになる試合が多いのですが、清水選手のパンチはコンパクトで、的中率もよく、本当に魅力的です。結果論ですが、清水選手に接近戦で突き上げるアッパーか、右ストレートを打った後の返しの左フックがあれば、内藤選手にもっとダメージを与えられ、10ラウンドにあれだけ余力を残すことはできなかったかなと思います。

苦戦しながらも勝利するところはさすが内藤選手です。試合を決めた10ラウンドのフィニッシュは鮮やかでしたね。内藤選手は試合後のインタビューで「ボクシングセンスないな、オレ」とおっしゃっていましたが、どんなボクサーも好不調の波はありますし、調子が悪い試合で勝てるボクサーはほんの一握りなので、やっぱりすごいです。内藤選手は謙遜されていましたが、日頃から密度の濃い練習をしていないと、調子が悪い中、10ラウンドであれだけの動きはできないですよ。

試合後、亀田興毅選手からリング上でタイトル挑戦を直訴された内藤選手。突然の訪問に少し戸惑った様子でしたが、「内藤vs亀田」の第2ラウンドは実現するのか?日本中が注目する因縁の対決へ向けて、今後もチャンピオンから目が離せませんね。

試合結果

試合結果 内藤大助選手が10ラウンド逆転KO勝ちで3度目のタイトル防衛に成功。
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