WBA世界ライトフライ級タイトルマッチ
チャンピオン | ファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン) 戦績:17戦全勝8KO |
挑戦者 | ブライム・アスロウム(フランス) 戦績:24戦22勝9KO2敗 |
試合内容
シドニーオリンピックで金メダルを獲得し、フランスの「ゴールデンボーイ」と呼ばれるブライム・アスロウム。母国フランスで絶大な人気を誇るアスロウムが従来のフライ級から1階級下げて、ライトフライ級でタイトルマッチに挑みます。
WBA世界ライトフライ級タイトルと言えば、亀田興毅選手が返上したタイトル。その亀田興毅選手が返上したタイトルの王座決定戦に登場し、8回KOで見事に勝利したのが、強打の全勝チャンピオン、ファン・カルロス・レベコです。アスロウムの地元フランスで行われた実力者同士のタイトルマッチは、お互いが持ち味を発揮する好勝負になりました。
序盤はチャンピオンのレベコが回転の速い強打を武器に手数でアスロウムを圧倒する展開が続きます。ただ、アスロウムも過去に2度敗戦を喫したタイトルマッチと違って、手数を出しながら、頻繁にスイッチを繰り返し、試合の主導権を渡しません。
両者の総合的な戦闘力はほぼ互角だと思いますが、敵地で戦うレベコのほうがポイントを意識してか、多少強引に前へ出てパンチを強振する姿が目立ちます。5ラウンドには、チャンピオンのレベコがアスロウムをロープにつめ、左のボディーブロー、右のストレートをクリーンヒットさせますが、地元の声援を背に戦う挑戦者に決定的なダメージを与えることはできません。
試合が進むにつれて、序盤のハイペースが影響してか、レベコに疲れが見え始め、序盤からガードを固めて耐えてきたアスロウムが反撃に転じます。フライ級からライトフライ級へ下げて、体力面や耐久性が心配されたアスロウムですが、逆に威力のあるカウンターを打ち込む場面が増え、序盤に奪われたポイントを取り返すラウンドが続きます。
この試合のアスロウムは、「ギリギリまで減量したなあ」とひと目でわかるほどやせ細っていて、試合前は「12ラウンド戦えるかな?」と心配したのですが、パンチ力、体力、スピードのいずれも落ちることなく、洗練されたボクシングを披露し、地元ボクシングファンの期待にしっかりと応えます。結果は、3-0の判定勝利で、アスロウムが悲願のタイトル奪取に成功!
シドニーオリンピックで金メダルを獲得してから約7年。ついにフランスの英雄がプロボクシング界の頂点に立ちました。オリンピックでボクシングの金メダルを獲得したフランス人がプロ転向後、チャンピオンになったのはアスロウムが初めてです。
フランス国民が待ち望んだ新チャンピオンはフランス人ボクサーが誰も成し得なかった快挙を達成し、フランスボクシング史に「ブライム・アスロウム」の名を刻みました。日本人ボクサーとの対戦も考えられるだけに、今後もアスロウムに注目したいと思います。
試合結果
試合結果 | ブライム・アスロウムが判定勝ちで悲願のタイトル奪取に成功 【公式ジャッジの採点結果】
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