WBA世界フライ級タイトルマッチ
チャンピオン | 坂田健史(日本・協栄ジム) 戦績:39戦33勝15KO4敗2分 |
挑戦者 | デンカオセーン・シンワンチャー(タイ) 戦績:46戦44勝18KO1敗1分 |
試合内容
内藤大助選手と並び、世界フライ級チャンピオンに君臨する坂田健史選手。2008年7月には、世界タイトル初挑戦となる久高寛之選手を12ラウンド判定勝ちで退け、4度目の防衛に成功しています。地元、広島で行われる5度目の防衛戦に勝利して、気持ち良く新年を迎えたいところです。
2008年大晦日、坂田健史選手に挑戦するのは、タイ出身のデンカオセーン・シンワンチャー。2007年11月、坂田健史選手の持つWBA世界フライ級タイトルに挑戦し、結果は三者三様のドロー。あと一歩で世界タイトル獲得を逃がした悔しさをバネに、悲願の世界タイトル獲得を狙います。
日本ボクシング史上初めて大晦日に行われた世界タイトルマッチを制するのは、日本が誇る安定チャンピオン、坂田健史選手か?タイが誇る最強の挑戦者、デンカオセーン・シンワンチャーか?因縁の再戦は、2008年を象徴する衝撃的な結末となりました。
試合開始のゴングが鳴ると、挑戦者のデンカオセーン・シンワンチャーがいきなりの右ストレートを振り抜きます。その後も、左ジャブ、左ボディー、右ストレートなど、積極的にパンチを打ち込み、主導権を握る作戦。公言通り、序盤からKOを狙っていますね。
一方、チャンピオンの坂田健史選手はガードを固めて、相手の攻撃をシャットアウトするディフェンス重視の立ち上がり。1ラウンドの終了間際には、ワンツーから右ストレートをデンカオセーン・シンワンチャーの顔面にクリーンヒットさせますが、「あれ?いつもより上半身の動きが少ないなあ。地元開催のプレッシャーかな?もしかすると、体調が悪いのかも」と少し心配です。
2ラウンドに入ると、チャンピオンの坂田健史選手も前へ出て、積極的にパンチを出します。お互いの体がくっつく距離で打ち合う両雄。「坂田選手のエンジンがかかってきたかな?」と思っていると、ラウンド中盤に坂田健史選手が偶然のバッティングでまぶたをカットしてしまいます。
キズはそれほど深くなく、試合はすぐに続行。再開後は坂田健史選手から前へ出て、挑戦者のデンカオセーン・シンワンチャーが応戦する展開になります。「偶然のバッティングによる試合ストップを心配しているのかな?もう少し頭を振って、的を絞らせないで」と思っていると、ラウンド終盤、ドラマが起こります。
接近戦で坂田健史選手の右アッパーが空を切ったところへ、デンカオセーン・シンワンチャーが得意の右ストレート。パンチは坂田健史選手の耳の裏をとらえ、チャンピオンの三半規管が揺らされます。そして、管理人の目の前に広がるまさかの光景。
一瞬、ふら付いた後、チャンピオンの坂田健史選手がダウンします。「坂田選手、立ち上がって!」と叫んだボクシングファンは管理人だけではないでしょう。しかし、会場には、無念の10カウントが鳴り響き、王座転落。2007年3月から保持していた世界タイトルを失った瞬間でした。
坂田健史選手が敗れてしまったことは本当に残念ですが、この敗戦で築き上げた功績が消えてしまうわけではありません。蓄積したダメージが抜けるまでゆっくりと休んでほしいです。衝撃的な結末が多かった2008年の世界タイトルマッチを象徴するような試合で、今もまだ呆然としています。
試合結果
試合結果 | デンカオセーン・シンワンチャーが2ラウンドKO勝ちで悲願の世界タイトルを獲得。坂田健史選手は5度目の防衛に失敗し、王座陥落。 |