IBF世界スーパーミドル級挑戦者決定戦
IBF世界 ミドル級4位 |
ロベルト・スティーグリッツ(ロシア) 戦績:31戦30勝18KO1敗 |
IBF世界 ミドル級5位 |
リブラド・アンドラーデ(メキシコ) 戦績:27戦26勝20KO1敗 |
試合内容
ロベルト・スティーグリッツ対リブラド・アンドラーデの試合は、IBF世界スーパーミドル級チャンピオン、ルシアン・ビュテへの挑戦権を争う挑戦者決定戦。スティーグリッツ、アンドラーデともに過去に一度ずつ世界タイトル挑戦の経験を持つ強豪で、再び世界タイトル挑戦権を獲得するための大事な一戦です。
ロシア出身で現在はドイツを主戦場にしているスティーグリッツは、2007年3月に当時空位だったIBF世界スーパーミドル級タイトルをアレハンドロ・ベリオと争い、3ラウンドTKO負けで世界タイトル獲得に失敗しています。一方、メキシコ出身で現在はアメリカを主戦場にしているアンドラーデも2007年3月に当時のWBA・WBC世界スーパーミドル級チャンピオン、ミッケル・ケスラーに挑戦しましたが、12ラウンド判定で敗れ、世界タイトル獲得はなりませんでした。
スティーグリッツはアマチュア出身のボクサーらしく、守備を大切に戦う綺麗なボクシングスタイルですが、アンドラーデは多少打たれようがガンガン前に出てパンチを叩き込む生粋のファイターです。好対照なボクシングスタイルを持つスティーグリッツとアンドラーデの一戦は攻撃的なアンドラーデが序盤から有利に試合を進めます。
序盤目立ったのは接近戦で繰り出すアンドラーデのアッパー。真ん中からスティーグリッツのアゴをとらえるアンドラーデのアッパーがめちゃくちゃ効果的です。アンドラーデのボクシングはほとんどディフェンスをしない攻撃重視のボクシングなので、スティーグリッツのパンチも結構まともに入っているんですが、アンドラーデは尋常じゃなくタフなんですよね。アンドラーデのタフネスぶりは全ボクサーの中でもトップ5に入ると思います。スティーグリッツの右ストレートのカウンターをまともにもらうのですが、ケロッとしてるんです。「手ごたえはあるのに、俺のパンチって威力ないのかな?」なんて思っちゃいますよね。
中盤は我慢比べの展開が続きます。アンドラーデは持ち前の突進力と手数を活かしてスティーグリッツのボディーを中心にパンチを集めますが、まともにパンチをもらい、ダメージが蓄積されつつあります。一方、スティーグリッツはアンドラーデの突進に対抗するため、力を込めてパンチを繰り出し、綺麗なカウンターを決める場面もありますが、タフなアンドラーデのボディー攻撃に苦しめられています。両者とも苦しい中、しっかりとパンチを打ち込み、相手を倒そうとする姿勢は素晴らしいです。
「こんな激しい打ち合いを続けていたら、2人とも12ラウンドもたないな」と思った矢先、アンドラーデが勝負を決めます。8ラウンド、開始から勝負を仕掛けるスティーグリッツ。最後の力を振り絞るようにパンチを連打し、勝負をかけますが、顔面へのアッパーとボディーブローで応戦するアンドラーデ。逆に、スティーグリッツをロープへ詰めて、ボディーブローを連打し、スティーグリッツの左フックに合わせて、右カウンターを決めます。そして、背中を見せるスティーグリッツを走って追いかけ、とどめのラッシュ。最後はレフェリーが間に入り、アンドラーデがTKO勝ちでスティーグリッツとの激闘に終止符を打ちました。
しかしまあ、すごい打ち合いでした。勝ったアンドラーデはもちろん、負けたスティーグリッツも「次の試合を観たいな」と思わせてくれる内容です。今回はアンドラーデのタフネスにやられてしまいましたが、スティーグリッツもまだまだ世界のトップ戦線で戦えるボクサーなので、ゆっくり休んで再起してほしいですね。
決定戦を制したアンドラーデは近い将来、チャンピオンのルシアン・ビュテに挑戦することになります。挑戦者決定戦のアンドラーデは手数、スタミナ、打たれ強さに加えて、パンチの的中率も良かったと思います。ビュテはサウスポーのテクニシャンで、深追いしない冷静なボクシングを得意とするアンドラーデが苦手なタイプ。パンチ力があるのも厄介ですね。ただ、アンドラーデが接近戦に持ち込めれば、サウスポーの利点は消えます。現時点では、ビュテの戦力が上だと思いますが、序盤はボディー中心に攻め、ビュテが嫌がるほど手数を出すことができれば、アンドラーデが新チャンピオンの勝ち名乗りを受ける可能性はあると思います。
試合結果
試合結果 | リブラド・アンドラーデが8ラウンドTKO勝ちでルシアン・ビュテへの挑戦権を獲得 |