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ニコライ・ワルーエフとジョン・ルイスがヘビー級の生き残りをかけ再戦

WBA世界ヘビー級王座決定戦

WBA世界
ヘビー級1位
ニコライ・ワルーエフ(ロシア)
戦績:50戦48勝34KO1敗1無効試合
WBA世界
ヘビー級2位
ジョン・ルイス(アメリカ)
戦績:52戦43勝29KO7敗1分1無判定

試合内容

WBA世界ヘビー級チャンピオン、ルスラン・チャガエフの長期戦線離脱により、「ロシアの大巨人」ニコライ・ワルーエフと「静かなる男」ジョン・ルイスの元チャンピオン同士で争われることになった王座決定戦。ワルーエフとルイスは2005年に一度対決しているのですが、その時は2-0の判定でワルーエフが勝利を収めています。両者にとって再戦となりますが、お互いヘビー級の生き残りをかけた負けられない一戦ですね。

現在のヘビー級戦線は、IBF・WBOチャンピオンのウラディミール・クリチコとWBCチャンピオンのサミュエル・ピーターの2大勢力と言って問題ないと思うのですが、他のボクサーと圧倒的な力の差があるかと言えば、そうとも言えません。ワルーエフ、ルイスともチャンピオンに返り咲くことができれば、ヘビー級の主役に躍り出ることは十分可能です。チャンピオンとして再び脚光を浴びるのは、ワルーエフか、それともルイスか。ヘビー級戦線の行方を左右する王座決定戦はお互いに譲らぬ展開となりました。

試合は序盤から一進一退の攻防。ワルーエフが2メートル13センチの体格的なアドバンテージを活かして左ジャブを中心に試合の主導権を握ろうとするのですが、ルイスもワルーエフの懐に飛び込み、左右のフックを中心にチャンスを作ります。2005年の初戦と同じような展開ですが、今回のほうがパンチの交換は多いです。

管理人は「最近のワルーエフの左ジャブは手数も多く、スピードもあるので、ルイスはかなり苦戦するんじゃないなか」と予想していたのですが、予想以上にルイスの踏み込みが速く、ワルーエフの懐に飛び込む場面が目立ちます。ワルーエフが1発打ち込むと、ルイスが2発お返しする展開が続き、「これはルイスもチャンスがあるんじゃない?」と期待を持たせてくれる内容です。

序盤3ラウンドを上手く戦ったルイスですが、4ラウンドからワルーエフの左ジャブが鋭さを増します。これまでヘッドスリップで上手く避けていたルイスですが、ワルーエフの左ジャブをまともにもらう場面が増え、試合の流れがワルーエフへ傾きます。

この試合のワルーエフは左ジャブが良かったです。以前より、手数は多いですし、何よりスピードが増しています。体格的なアドバンテージが大きいワルーエフだけに、左ジャブをこれだけ連打されると、誰が戦っても苦しいでしょう。予想以上にルイスが粘ったため、最終ラウンドまでもつれて、判定決着になりましたが、並みのボクサーなら左ジャブだけで倒れてもおかしくない威力です。

結局、試合は終始左ジャブでペースを握ったワルーエフがルイスに3-0の判定で競り勝ち、見事チャンピオンに返り咲きました。ルイスは予想以上に健闘したのですが、今回もわずかな差で敗れてしまいました。この試合でワルーエフが見せてくれた左ジャブの進歩は目覚ましく、「ロシアの大巨人」ワルーエフに期待する声が大きいのは確かですが、現時点でワルーエフがクリチコ、ピーターに勝つのは難しいでしょう。

体格的なアドバンテージを持つワルーエフと戦うためには「スピード」がキーワードになると思うのですが、クリチコ、ピーターの両チャンピオンはパンチ、動き、判断のいずれのスピードでもワルーエフに勝っていると思います。特にピーターの瞬発力はヘビー級トップレベルで、この試合のルイスのように懐に飛び込み、左右のフックを打ち込むことができれば、ワルーエフが倒れるシーンが見られるのではないでしょうか。ルイスと違ってピーターのパンチ力は凄まじいですからね。

今回のルイス戦もそうでしたが、ワルーエフは左ジャブの戻り際や左ジャブが流れたところを相手に狙われ、パンチをまともにもらってしまう傾向があります。今回はルイスが相手だったので、耐えていましたが、クリチコとピーターが相手だと「ロシアの大巨人」と言えども「バタン!」と倒れてしまうでしょう。今回目覚ましい左ジャブの進歩を見せてくれたワルーエフに、今度はディフェンスの進歩を期待したいです。「ロシアの大巨人」ワルーエフがヘビー級戦線に生き残ったことで、おもしろくなりそうですね。

試合結果

試合結果 ニコライ・ワルーエフが3-0の判定勝ちで王座返り咲きに成功。管理人の判定は115-112でニコライ・ワルーエフの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 116-113
  • 116-111
  • 114-113
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