WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
チャンピオン | イスラエル・バスケス(メキシコ) 戦績:46戦42勝32KO4敗 |
挑戦者 | ラファエル・マルケス(メキシコ) 戦績:41戦37勝33KO4敗 |
試合内容
イスラエル・バスケス対ラファエル・マルケスの第3戦は、世界中のボクシングファンが注目する軽量級スター同士のラバーマッチ。お互いに好戦的なボクシングを持ち味とする人気の高いボクサーです。
バスケスとマルケスは2007年に2度戦い、結果は1勝1敗の痛み分け。第1戦は挑戦者のマルケスがチャンピオンのバスケスに7ラウンド終了TKO勝ちし、WBC世界スーパーバンタム級タイトル獲得に成功します。IBF世界バンタム級タイトルに続き、見事2階級制覇を達成したマルケスですが、5ヵ月後の再戦では、バスケスがマルケスを6ラウンドKOで下し、タイトル奪取とリベンジに成功。今回のラバーマッチ(第3戦)が決着戦となります。
試合は序盤からバスケスとマルケスのプライドがぶつかり合います。バスケスが左ジャブと左右のフックで試合の主導権を握ろうとすれば、マルケスは左ジャブと右ストレートで応戦するスリリングな展開。
ただ、過去2戦と違って、マルケスが距離を取って戦っているのが印象的です。過去2戦はバスケスが得意とする接近戦で打ち合った両者ですが、今回はマルケスが得意とする中間距離での打ち合いが中心で「マルケスがバスケスを懐に入れず、上手く戦っているな」と感じます。左右のフックを得意とするバスケスは接近戦の打ち合いに強いボクサーですが、右ストレートを得意とするマルケスは中間距離の打ち合いに強いボクサーですからね。
この作戦が功を奏したのか、徐々に距離を掴んできたマルケスが4ラウンドに左右のワンツーをバスケスの顔面にヒットさせ、この試合最初のダウンを奪います。結果的に勝負の明暗を分けたのは、このダウンだと管理人は思います。
ダウンを奪ったマルケスは一気に勝負を決めようと、立ち上がったバスケスに襲い掛かります。しかし、ダウンを奪ったパンチが急所に直撃しなかったため、バスケスのダメージは見た目より軽かったのです。これがマルケスにとって大きな誤算で、バスケスの右のカウンターをまともに2発もらってしまいます。
もちろん、バスケスがタフなボクサーなので、ダウンを奪われても立ち上がり、反撃できたわけですが、マルケスやセコンドのナチョ・ベリスタインがバスケスのダメージに冷静に判断できていれば、深追いすることなく、その後もマルケスが試合の主導権を握れたでしょう。しかし、実際は皮肉なことに、マルケスはダウンでバスケスに与えた以上のダメージを負ってしまったのです。
さらに、早いラウンドでレフェリーにローブローの警告(あと1回で減点するぞと言われてしまいます)を受けたこともマルケスにとって不運でした。バスケスは比較的ボディーが弱く、マルケスの左ボディーブローは、右ストレートと並んでバスケス攻略のカギとなるパンチだけに、この警告は痛かったですね。
お互いに深いダメージを負いながら、中盤以降も激しい打ち合いを展開するバスケスとマルケスですが、試合が進むにつれて体格的、体力的に有利なバスケスが支配するラウンドが増えます。さらに、10ラウンドには、マルケスがローブローによる反則で1ポイント減点(それほど低くないパンチで、むしろ綺麗なボディーブローだったと思います)。
そして、一進一退で迎えた最終ラウンドにドラマは待っていました。歯を食いしばり、必死に手を出し続けるバスケスに対して、マルケスは立っているのが精一杯な状態。マルケスファンの管理人は「何とかしのいでくれ!」と祈りながら試合を観戦していたのですが、バスケスの連打を食らったマルケスが残り4秒で痛恨のダウン。「うぎゃー」と叫ぶ管理人。深いダメージの中、何とか立ち上がるマルケス。
そして、試合の決着は3人のジャッジに委ねられます。管理人の自己採点は113対112でチャンピオン、バスケスの勝ちですが、競ったラウンドが多く、採点が割れていることも考えられます。淡い期待を胸に公式ジャッジの採点を待つ管理人。しかし、結果は2-1のスプリットデシジョンでチャンピオンのバスケスが判定勝ちし、マルケスのリベンジはなりませんでした。
マルケスファンの管理人にとって残念な結果になりましたが、3度に渡ったバスケスとマルケスの対決はいずれもボクシングの歴史に残る名勝負でした。特に素晴らしかったのが、この試合(第3戦)の最終ラウンド。ダウンを食らい、疲労がピークに達している中、12ラウンドであれだけパンチを出し続けることができるバスケスは素晴らしいとしか言いようがありません。日頃から十分な練習をしてないと絶対にできないですよね。バスケスのボクシングに取り組む姿勢やリング上で戦う姿勢はボクサーの鏡だと思います。負けたマルケスも最高に格好良かったです。歴史に残るエキサイティングなタイトルマッチを見せてくれたバスケスとマルケスに大きな拍手を送りたいです。
試合結果
試合結果 | チャンピオン、イスラエル・バスケスが2-1のきわどいスプリットデシジョンで判定勝ちし、タイトル防衛に成功。 【公式ジャッジの採点結果】
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