WBC世界ヘビー級挑戦者決定戦
ランキング1位 | ウラディミール・ウィルチス(ウクライナ) 戦績:25戦24勝20KO1敗 |
ランキング2位 | ファン・カルロス・ゴメス(キューバ) 戦績:45戦43勝35KO1敗1無効試合 |
試合内容
ランキング1位のウラディミール・ウィルチスとランキング2位のファン・カルロス・ゴメスが衝撃的な復活を遂げたWBC世界ヘビー級チャンピオン、ビタリ・クリチコへの挑戦権をかけて激突します。
ウィルチスはKO率8割を誇る前欧州ヘビー級チャンピオン。右ストレート、左フックを武器にオーソドックスな接近戦で相手を打ち倒してきたファイターです。唯一の敗戦はルスラン・チャガエフに2-0の判定で敗れた黒星だけ。ビタリ・クリチコ、ウラディミール・クリチコのクリチコ兄弟の陰に隠れ、「ウクライナ第3の男」と呼ばれるウィルチスですが、「ウクライナ第3の男」を返上するため、ぜひともビタリ・クリチコへの挑戦権を獲得したいところです。
挑戦権をかけてウィルチスと戦うボクサーは、元WBC世界クルーザー級チャンピオン、ゴメス。クルーザー級時代、世界タイトルを10度防衛し、無敗のままヘビー級に転向した技巧派のサウスポーです。プロ転向後、同じキューバ出身のヤンキ・ディアスに1ラウンドTKO負けを喫してプロ初黒星を喫してしまいましたが、長いリーチを活かした「当てる上手さ」は健在。2階級制覇へ向けて、ヘビー級ボクサーとしての真価が問われる一戦です。
試合は序盤からサウスポー、ゴメスのペースで進みます。管理人は試合前、「ウィルチスがパンチを振り回してプレッシャーをかけてくるかな?」と予想していたのですが、ゴメスの右ジャブ、左ストレートが予想以上に良く、ウィルチスが接近戦に持ち込めず、戦いにくそうです。
ヘビー級に転向して、クルーザー級時代の面影(シルエット)が全くなくなったゴメスですが、ヘビー級のボクシングにきちんと対応できています。クルーザー級時代のような、スピードを活かして相手を圧倒するボクシングは陰を潜めましたが、パンチを当てるのが本当に上手いですね。決して強いパンチではありませんが、確実にポイントを積み重ねます。
4ラウンドには、ウィルチスが右ストレートのボディーブローを打ってきたところに、ゴメスが左のボディーブローから左フックを返して、ダウンを奪います。上下に打ち分ける左のダブルでダウンを奪うところはさすがゴメス。ヘビー級ボクサーの中でもパンチを当てる上手さはトップクラスですね。
ダウンから立ち上がり、反撃したいウィルチスですが、ゴメスが右回りのボクシングを貫き、ウィルチスと離れたポジションで戦おうとするので、得意の右ストレートが届かず苦しい展開が続きます。しかも、ガードを固めて接近戦に持ち込もうとすると、ゴメスがクリンチするので、八方塞の状態です。
試合は終始、ゴメスがウィルチスのプレッシャーをかわしながら、手数でポイントを積み重ねる展開が続き、12ラウンド大差の判定でゴメスが圧勝しました。ビタリ・クリチコへの挑戦権を獲得し、2階級制覇へ向けて一歩前進。ゴメスの良さばかりが目立った挑戦者決定戦でしたね。
しかし、ゴメスが挑戦するチャンピオンはヘビー級最強のボス、ビタリ・クリチコです。ゴメスの戦力を考えると、ビタリ・クリチコにKO勝ちする姿は想像しにくいので、ビタリ・クリチコの強打をかわしながら、ポイントを積み重ねる展開に持ち込みたいですね。ただし、懐の深いビタリ・クリチコにゴメスのパンチが届くかは、正直言って微妙なところです。ビタリ・クリチコという大きな壁を越えて、キューバ出身の世界ヘビー級チャンピオンが誕生するでしょうか?
試合結果
試合結果 | ファン・カルロス・ゴメスが3-0の大差の判定勝ちでビタリ・クリチコへの挑戦権を獲得。管理人の採点は117-109でファン・カルロス・ゴメスの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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