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ジュニア・ウィッターが全勝のティモシー・ブラッドリーと激突!

WBC世界スーパーライト級タイトルマッチ

チャンピオン ジュニア・ウィッター(イギリス)
戦績:39戦36勝1敗2分21KO
挑戦者 ティモシー・ブラッドリー(アメリカ)
戦績:21戦全勝11KO

ジュニア・ウィッター対ティモシー・ブラッドリー試合内容

ナジーム・ハメドの引退後、現役最高のスイッチヒッターと言われるボクサー、WBC世界スーパーライト級チャンピオンのジュニア・ウィッターが登場します。ナジーム・ハメドを育てた名トレーナー、ブレンダン・イングル指導のもと、スイッチヒッターの素質を開花させ、最近はテクニックだけでなく、相手を一発でマットに沈めるパワーも身につけ、エキサイティングな試合が増えています。母国イギリスでは、リッキー・ハットン、ジョー・カルザゲに次いで人気の高いボクサーなんです。

今回が3度目の防衛戦となるジュニア・ウィッターがイギリスに迎えた挑戦者はティモシー・ブラッドリー。デビューから全勝を続けるアメリカのホープで、ランキング1位の実力者です。管理人は今回ティモシー・ブラッドリーの試合を初めて観るのですが、前評判は高いですね。

変幻自在のスイッチヒッター、ジュニア・ウィッターが母国イギリスでテクニックを見せつけて防衛に成功するのか?全戦全勝で勢いに乗るティモシー・ブラッドリーが敵地でタイトル奪取に成功するのか?試合は序盤から激しい主導権の奪い合いとなりました。

まず仕掛けたのはチャンピオンのジュニア・ウィッター。サウスポースタイルから右ジャブをポンポン突きながら、ティモシー・ブラッドリーとの距離を測ります。いつものジュニア・ウィッターなら、距離の測定が終わると、左ストレートや左アッパーなど、左の大砲を打ち込むのですが、この試合はなかなか大砲を打ち込む糸口がつかめません。

理由は挑戦者、ティモシー・ブラッドリーのボディーワーク。身長168センチと小柄ながらも、鋼のような体を常にキビキビと動かし、ジュニア・ウィッターに的を絞らせません。特に感心したのが攻撃へ移る時の踏み込みの速さと思い切りの良さです。

相手との距離を一気に詰める踏み込みの速さと、チャンスと見るや攻撃に出る思い切りの良さがあるからこそ、スーパーライト級では決して恵まれていると言えない体格でも全勝を続けているのでしょう。相手に向かっていく勇敢な戦い方は、管理人が大好きなイベンダー・ホリフィールドのボクシングに似ていますね。観ていて気持ちの良いボクシングです。

ジュニア・ウィッター、ティモシー・ブラッドリーのどちらも決定機を作れないまま迎えた6ラウンド。試合が大きく動きます。チャンピオン、ジュニア・ウィッターの変則的なボクシングに慣れてきたのか、ジュニア・ウィッターのパンチの軌道を覚えたのか、ティモシー・ブラッドリーがジュニア・ウィッターのパンチをことごとく外し、攻撃に移る場面が増え始めます。

2分過ぎにはティモシー・ブラッドリーの左フックがジュニア・ウィッターのアゴを直撃。この試合一番のダメージを与え、残り20秒には、ジュニア・ウィッターにプレッシャーをかけながら、いきなり右のオーバーハンドライトを打ち込みます。これが見事にジュニア・ウィッターの顔面をとらえ、そのままダウン。何とか立ち上がりましたが、かなりのダメージです。

さらに、7ラウンドにもティモシー・ブラッドリーの右のオーバーハンドライトがジュニア・ウィッターの顔面をクリーンヒット。ダウンせず何とか耐えたジュニア・ウィッターですが、ブラッドリーがいきなり打ち込む右のオーバーハンドライトが見えてないようです。いきなりの強打で挑戦者を退けてきたジュニア・ウィッターが全く同じ展開で、苦戦を強いられるなんて、試合前は全く予想できませんでした。恐るべし、ティモシー・ブラッドリー。

9ラウンド以降は、ダメージに疲れも加わり、ジュニア・ウィッターがクリンチをする場面が目立ちます。10ラウンドに入ると、珍しく両ガードを上げて、ティモシー・ブラッドリーの攻撃を防ごうとするのですが、左フックや右ストレートをもらってしまう悪循環。華麗なスイッチから相手の急所を打ち抜く、ジュニア・ウィッター本来のボクシングとは程遠い内容です。

試合の後半は終始、挑戦者のティモシー・ブラッドリーがペースを握り、そのまま12ラウンド終了。結果は2-1のスプリットデシジョンでティモシー・ブラッドリーがジュニア・ウィッターに勝利し、全勝のまま新チャンピオンに輝きました。

公式ジャッジの採点は結構競っていましたが、内容はジュニア・ウィッターの完敗だったと思います。ただ、負けたジュニア・ウィッターが不甲斐ないというより、勝ったティモシー・ブラッドリーが素晴らしかったですね。パンチ力、突進力、スタミナ、打たれ強さのどれをとってもティモシー・ブラッドリーがジュニア・ウィッターを上回っていたと思います。変幻自在のジュニア・ウィッターに何もさせず、敵地でのタイトル奪取は見事です。

新チャンピオンとなったティモシー・ブラッドリーですが、今後も応援したくなるボクサーですね。「もう少し連打がほしいな」と思いましたが、攻撃力、守備力ともに現時点でかなりのハイレベルで、そして何よりハートと思い切りの良さが魅力ですね。激戦のスーパーライト級でタイトルを統一できる実力を秘めた新チャンピオンだと思います。

1試合観ただけですが、「リトル・ホリフィールド」と名付けてもいいような勇敢なボクシングスタイルです。現在は無冠ですが、スーパーライト級の第一人者、リッキー・ハットン、あるいはWBOチャンピオンのリカルド・トーレスと戦うと、激しい打撃戦になり、盛り上がるのではないでしょうか?。ジュニア・ウィッターとの再戦も観たいなあ。

ジュニア・ウィッター対ティモシー・ブラッドリーの試合結果

試合結果 ティモシー・ブラッドリーが2-1の判定勝ちタイトル奪取に成功。ちなみに、管理人の判定は116-111でティモシー・ブラッドリーの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 115-113 (ティモシー・ブラッドリー)
  • 114-113 (ティモシー・ブラッドリー)
  • 115-112 (ジュニア・ウィッター)
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