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アルツール・アブラハムがマヒール・オラルを迎えた10度目の防衛戦

IBF世界ミドル級タイトルマッチ

チャンピオン アルツール・アブラハム(アルメニア)
戦績:29戦全勝23KO
挑戦者 マヒール・オラル(ドイツ)
戦績:28戦25勝10KO1敗2分

試合内容

アルメニアが生んだ「KOキング」、アルツール・アブラハムが主戦場のドイツで10度目の防衛戦に挑みます。挑戦者は同じドイツをホームに戦うマヒール・オラル。豪快なKO勝利を重ねるアルツール・アブラハムは、好戦的な試合巧者、マヒール・オラル相手に二桁防衛を飾ることができるでしょうか?

立ち上がり、試合の主導権を握ったのは挑戦者のマヒール・オラル。ガードを固めて相手の様子をうかがうアルツール・アブラハムに対して、マヒール・オラルはガードの上から積極的に左ジャブを突いてポイントを奪います。アルツール・アブラハムは予想通り静かな立ち上がりですが、マヒール・オラルは1ラウンドからエンジン全開ですね。

2ラウンド序盤には、マヒール・オラルの右フックがアルツール・アブラハムのテンプルを直撃!さらに、ラウンド中盤、マヒール・オラルの右ストレートがアルツール・アブラハムのガードの真ん中を打ち抜き、クリーンヒットを奪います。マヒール・オラルはパンチがコンパクトで、距離の詰め方が上手いです。

3ラウンドに入ると、これまでガードを固めて守ってきたアルツール・アブラハムが少しずつ攻撃にシフトしますが、ラウンド終盤、アルツール・アブラハムがパンチを打とうとガードを開けたところへマヒール・オラルが強烈な右ストレートのカウンター!終了間際には左フックの相打ちでアルツール・アブラハムを下がらせる場面があり、「アブラハム相手にすごいよ、オラル。本当に勇敢だな」とうなってしまいます。

4ラウンドも開始直後からマヒール・オラルが左右のフックをアルツール・アブラハムに叩き込み主導権を握ります。「アブラハムはいつもよりエンジンのかかりが遅いなあ。このままズルズルとペースを握られる可能性もあるんじゃない?」と心配する管理人。

すると、守勢のアルツール・アブラハムがラウンド中盤から積極的にパンチを打ち始め、2分すぎ、右ストレートがマヒール・オラルのガードの真ん中を打ち抜き、アゴを直撃します。さらに、アルツール・アブラハムは左フック、右ストレートで追撃し、最後はマヒール・オラルがバランスを崩したところへ強烈な右フック!3ラウンドまで試合の主導権を握られていたアルツール・アブラハムがダウンを奪います。

「いやー、攻撃に出ると、アブラハムはめちゃめちゃ強いよ」と改めてアルツール・アブラハムの破壊力を目の当たりにする管理人。ダウンから立ち上がったマヒール・オラルは距離を取りながら細かいパンチを打ち込み、ダメージの回復を図りますが、アルツール・アブラハムはブロックを固めながらお構いなしに距離を詰めてパンチを連打します。アルツール・アブラハムのペースになってきました。

6ラウンドには、アルツール・アブラハムのコンパクトな右アッパーがマヒール・オラルのテンプルをとらえ、2度目のダウン!マヒール・オラルは最初のダウンのダメージがまだ残っているようです。その後少し「休むラウンド」を作ったアルツール・アブラハムですが、9ラウンドに入ると、再び攻撃姿勢を強め、2分すぎには、左フックでマヒール・オラルのガードを打ち破り、ガードが開いたところへ強烈な右ストレート!すさまじい威力です。

「オラルは完全にジリ貧だよ。ガードの上からでもアブラハムのパンチが効いてるもんなあ」と思っていると、10ラウンド開始直後からアルツール・アブラハムが勝負に出ます。マヒール・オラルのボディーを連打し、動きが止まったところへ左フックから右ストレートの強烈なコンビネーションブロー!マヒール・オラルがぐらつき後ろへ下がると、アルツール・アブラハムが距離を詰めて左フックの3連打で3度目のダウンを奪います。

何とか立ち上がったマヒール・オラルですが、KO決着を狙うアルツール・アブラハムは一気にパンチを集め、強烈な右ボディーで再びダウン!そして、ダウンから立ち上がったマヒール・オラルに対して、アルツール・アブラハムは左右のフックを連打してマヒール・オラルを下がらせると、最後は強烈な左ボディーブローを叩き込み勝負あり。マヒール・オラルのセコンドが試合をストップし、アルツール・アブラハムが10ラウンドTKO勝ちで10度目の防衛に成功しました。

序盤3ラウンドこそ「お、オラル、いい感じじゃない?」と思ったのですが、終わってみれば、アルツール・アブラハムの強さばかりが印象に残る磐石の防衛ぶりでした。マヒール・オラルが弱いのではなくて、アルツール・アブラハムが強いんですね。特に、試合中盤から終盤にかけての強さは驚異的です。

10度目の防衛に成功したアルツール・アブラハムはミドル級タイトルを返上し、今後はひとつ上のスーパーミドル級へ階級を上げて2階級制覇、ビッグファイトを狙うようです。以前から噂されていたように、減量が相当きつかったのでしょう。減量苦から解放された「KOキング」。パワフルなボクシングにますます磨きがかかりそうですね。

試合結果

試合結果 アルツール・アブラハムが10ラウンドTKO勝ちで10度目の防衛に成功。防衛後にタイトルを返上し、スーパーミドル級転向を表明。
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