WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
チャンピオン | セルゲイ・ジンジルク(ウクライナ) 戦績:35戦全勝22KO |
挑戦者 | ホエル・フリオ(コロンビア) 戦績:35戦34勝31KO1敗 |
試合内容
スーパーウェルター級屈指の技巧派サウスポー、セイゲイ・ジンジルクがコロンビア出身の強打者、ホエル・フリオを迎えて5度目の防衛戦を行います。「テクニシャン対ハードパンチャー」という全く違く特徴を持つボクサー同士の対決で、ボクシングの醍醐味のひとつである「技と力」の戦いです。
WBO世界スーパーウェルター級チャンピオンのセルゲイ・ジンジルクは「攻防兼備」という言葉がピッタリと当てはまる全勝のサウスポー。ガードを高く構えて、鋭い右ジャブを中心に、コンパクトなパンチを得意とするボクサーです。特に、右ジャブと右フックの使い方は惚れ惚れします。左のボディー打ちも上手いですよ。
一方、挑戦者のホエル・フリオは35戦34勝31KO1敗の戦績が示すように、強打を武器に世界戦線へ浮上してきたハードパンチャー。今回が初の世界タイトル挑戦となります。自慢の強打で、全勝のセルゲイ・ジンジルクに初黒星を付け、悲願の世界チャンピオンベルトを腰に巻くことができるでしょうか?
立ち上がり、まずペースを握ったのは挑戦者。右ジャブを突きながら様子をうかがうチャンピオンに対して、左右のフック、右ストレート、右アッパーを連打します。すると、1ラウンド2分過ぎ、ホエル・フリオの強烈な左フックがセルゲイ・ジンジルクの顔面をとらえ、チャンピオンのアゴが跳ね上がります。相打ち気味の左フックですが、威力は挑戦者が上ですね。
2ラウンドに入っても、ホエル・フリオの勢いは止まりません。ガードを固めながら、距離を保とうとするセルゲイ・ジンジルクに対して、ガードの上からお構いなしに右ストレート、左右のフックを強振。「さすがのジンジルクもガードだけでフリオのパンチを防ぐのは難しいんじゃないかな?」と思うほどの威力です。
3ラウンドに入るとチャンピオンが作戦変更。これまでのガードを高く構えてパンチをブロックする戦法から、上半身を振ってパンチを空振りさせる戦法へ切り替えます。すると、ホエル・フリオのパンチが徐々に当たらなくなり、挑戦者に焦りが見え始めます。作戦を素早く切り替え、完璧に実行するところは、さすがセルゲイ・ジンジルクですね。
4ラウンドこそ、挑戦者がペースを奪いますが、5ラウンドに入ると、序盤のハイペースの影響か、ホエル・フリオの動きが鈍くなります。すると、チャンピオンのセルゲイ・ジンジルクが反撃開始。中間距離を保ちながら、得意の右ジャブを連打し、一気に試合の主導権を握ります。
セルゲイ・ジンジルクは本当に試合巧者ですね。ホエル・フリオが出てくるところを、強烈な右ジャブで出鼻をくじき、さらに打ち終わりに右フック、左ボディブローのカウンターでダメージを与える理想的なボクシング。ホエル・フリオが攻撃に行けば行くほど、ダメージを負って帰ってくる展開です。結局、5ラウンド以降は終始チャンピオンのペースで進み、3-0の判定勝ちでセルゲイ・ジンジルクが5度目の防衛に成功しました。
セルゲイ・ジンジルクはスキの少ないボクサーの代表格だと思います。特に、パンチをよけるのが本当に上手いです。ブロッキングではなく、スウェーバックやダッキングでパンチをかわすんですよね。対戦相手は空振りするので体力を消耗するだけでなく、すぐに反撃のパンチがやってくるので、攻撃に行くほど打たれてしまう悪循環。派手さはありませんが、素晴らしいボクシングテクニックを持っているチャンピオンですね。
試合結果
試合結果 | セルゲイ・ジンジルクが12ラウンド判定勝ちで5度目の防衛に成功。管理人の採点は117-111でセルゲイ・ジンジルクの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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