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カール・フロッチ対アンドレ・ディレル!全勝対決の行方は?

WBC世界スーパーミドル級タイトルマッチ

チャンピオン カール・フロッチ(イギリス)
戦績:25戦全勝20KO
挑戦者 アンドレ・ディレル(アメリカ)
戦績:18戦全勝13KO

試合内容

スーパーミドル級最強を決める「スーパー・シックス」第2戦は、注目の全勝対決です。WBC世界スーパーミドル級チャンピオンのカール・フロッチが、アテネ・オリンピック銅メダリストのアンドレ・ディレルを迎える米英決戦。イギリス出身のカール・フロッチの強打か、アメリカ出身のアンドレ・ディレルのスピードか、興味深い戦いになりそうですね。

試合は、世界初挑戦のアンドレ・ディレルがカール・フロッチの強打を警戒しながら戦う緊張感のある立ち上がり。チャンピオンのカール・フロッチはいつも通り右ストレートを打ち込もうとする強気な姿勢ですが、挑戦者のアンドレ・ディレルはスイッチを繰り返しながら距離を保ってカール・フロッチの強打を警戒しています。

「サウスポーのディレルが予想以上にオーソドックス(右構え)で戦っているなあ。フロッチの右ストレートをめちゃめちゃ警戒しているよ」とアンドレ・ディレルの予想外の戦い方に驚く管理人。サウスポーだと、カール・フロッチの右ストレートを顔面にもらいやすくなるので、オーソドックススタイルで戦っているようです。自分の良さを生かすより、カール・フロッチの良さを消す作戦ですね。

カール・フロッチの強打を警戒するアンドレ・ディレルは、持ち味のスピードとリーチの長さを生かしながら、思い切り距離を取って、回転の速いジャブでカール・フロッチの出足を止めます。「ディレルってこんなに速かったんだ」と改めてアンドレ・ディレルのスピードに驚く管理人。これまで回転の速い連打で相手を打ち倒してきた印象の強いアンドレ・ディレルですが、アウトボクシングも上手いですね。

「フロッチはディレルのスピードについて行けないよ。ディレルは最後までこの戦い方を貫けるかな?動きを止めると、フロッチの強打が飛んでくるよ」と息詰まる熱戦の行方を見守る管理人。アンドレ・ディレルは、カール・フロッチにプレッシャーをかけられながらも、コンパクトなパンチで局面を打開しています。このあたりのテクニックは、さすが五輪メダリストです。

一方のカール・フロッチは、アンドレ・ディレルのスピードに戸惑っているのか、相手の動きを見すぎてパンチが出ない悪循環に陥っているようです。距離を詰めても、アンドレ・ディレルがクリンチして連打できないので、かなりフラストレーションが溜まっているようですが、それでも何とかしようと前に出てプレッシャーをかけ続けています。相手を追い詰めるしつこさは、カール・フロッチのニックネーム、「コブラ」そのものですね。

3ラウンドに入ると、カール・フロッチがプレッシャーを強めますが、アンドレ・ディレルもワンツーを顔面、ボディーへ打ち分けて応戦。2分すぎには、カール・フロッチがアンドレ・ディレルをコーナーへ追い詰めますが、アンドレ・ディレルがカウンターの左ストレートをクリーンヒット!このパンチが顔面を直撃しますが、負けん気の強いカール・フロッチはそのままアンドレ・ディレルを追いかけ、右ストレートで反撃。お互い闘争心むき出しのファイトですね。

試合序盤、持ち前のスピードを生かして試合を有利に進めてきたアンドレ・ディレルですが、6ラウンドに入ると、少しずつスタミナが切れ始め、距離を取るだけでパンチが出なくなってきます。一方のカール・フロッチはジワリジワリとアンドレ・ディレルにプレッシャーをかけ、単発ながらパンチを打ち込み始めます。

少しずつカール・フロッチが盛り返して迎えた10ラウンド中盤、アンドレ・ディレルがホールディングで減点1を取られてしまいます。「接戦だけに、これは痛い減点かも」と思わず口にする管理人。何とかポイントを挽回しようとするアンドレ・ディレルは、ラウンド終了間際、前へ出てきたカール・フロッチに、強烈な左ストレートを打ち込み、カール・フロッチの動きが一瞬止まります。

「めちゃめちゃ効いたよ!チャンス」と思わず叫ぶ管理人。しかし、アンドレ・ディレルは、パンチを振り回してピンチを回避しようとするカール・フロッチから再びクリーンヒットを奪うことはできず、千載一遇のチャンスを逃してしまいます。

その後、お互いにクリーンヒットを奪いに行きますが、相手を打ち倒すことはできず、決着は3人のジャッジに委ねられます。結果は2人のジャッジがカール・フロッチ、1人のジャッジがアンドレ・ディレルを支持し、2-1の判定でカール・フロッチが勝利しました。

めちゃめちゃ際どい判定でしたね。試合全体を通してクリーンヒットが少なく、かなり難しい採点だったと思います。結果的にカール・フロッチが勝ちましたが、アンドレ・ディレルのテクニックの前に、カール・フロッチの強打は空回り、アンドレ・ディレルも早いラウンドでスタミナを消耗し、お互いの良さが消えてしまった試合でした。

全勝同士、しかも米英対決だったので、「かなり激しい打ち合いになるんじゃない?」と期待したボクシングファンは管理人だけではないでしょう。ただ、カール・フロッチ、アンドレ・ディレルのどちらも「とにかく勝ちたい」という気迫を感じさせてくれるファイトでした。「スーパー・シックス」はまだ始まったばかり。今後の2人の試合に期待しましょう。

試合結果

試合結果 カール・フロッチが12ラウンド判定勝ちでタイトル防衛に成功。管理人の採点は114-113でアンドレ・ディレルの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 115-112(カール・フロッチ)
  • 115-112(カール・フロッチ)
  • 114-113(アンドレ・ディレル)
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