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全勝対決の行方は?カール・フロッチとジャン・パスカルの王座決定戦

WBC世界スーパーミドル級王座決定戦

ランキング1位 カール・フロッチ(イギリス)
戦績:23戦全勝19KO
ランキング3位 ジャン・パスカル(カナダ・ハイチ出身)
戦績:21戦全勝14KO

試合内容

ジョー・カルザゲが返上した世界チャンピオンベルトをランキング1位のカール・フロッチとランキング3位のジャン・パスカルが争います。カール・フロッチ、ジャン・パスカルともに全勝で、楽しみなタイトルマッチですね。

ランキング1位のカール・フロッチは、イギリス出身のタフなファイター。攻撃重視のボクシングで、KO率が8割を超えるハードパンチャーです。手数が多く、対戦相手に関わらず、真正面から打ち合いを挑む勝気なボクシングは、母国イギリスを中心に熱烈に支持されています。

一方のジャン・パスカルはスピード豊かなテクニシャン。アテネオリンピックに出場後、プロに転向し、全勝のまま、プロの頂点である世界タイトル奪取を狙います。ランキング1位のカール・フロッチが地元、イギリスファンの前で初戴冠を達成するのでしょう?それとも、ジャン・パスカルのテクニックがカール・フロッチの強打を上回るのでしょうか?

試合は序盤からお互いが一歩も譲らぬ、激しい主導権争い。体格、パンチ力で勝るカール・フロッチが右ストレートと右アッパーを強振し、プレッシャーをかけようとすれば、ジャン・パスカルは持ち味のスピードを活かした的確なカウンターで応戦します。カール・フロッチもジャン・パスカルも、素晴らしい立ち上がりですね。

2ラウンドに入ると、さらに両者が手数を増やし、打ち合いが激しさを増します。パンチを振り回すカール・フロッチのボクシングに、テクニシャンのジャン・パスカルが巻き込まれている印象です。「小さなパンチでは、カール・フロッチの突進を止めることはできない」と感じているのでしょうね。

どちらかと言えば、相手のペースで戦っているジャン・パスカルですが、カウンターを取るのは本当に上手いです。4ラウンドには、右ストレート、左フックのカウンターで、カール・フロッチの動きが一瞬止まる場面を作ります。並みのボクサーなら、倒れるほどの威力ですが、カール・フロッチの打たれ強さはすごいですね。

5ラウンドも、前に出てくるカール・フロッチに対して、ジャン・パスカルがカウンターを打ち込む展開が続き、「いくらタフなフロッチでも、これだけまともにもらうと倒されちゃうよ。(左フック対策として)右ガードを上げたほうがいいんじゃないかな?」と心配になる管理人。「この展開だと、ジャン・パスカルのテクニックがカール・フロッチの馬力を上回りそうだな」と思っていると、ここからカール・フロッチが本領を発揮します。

6ラウンドになると、カウンター対策か、体力回復のためか、カール・フロッチが左ジャブを連打しながら距離を取って、アウトボクシングを始めます。「不器用なボクサーだと思ったけど、こんなボクシングもできるんだなあ」と感心する管理人。カール・フロッチの作戦変更に驚いたのか、ジャン・パスカルの手数が急に減り始め、少しずつ試合のペースはカール・フロッチへ傾きます。

9ラウンド終盤には、カール・フロッチが左ジャブから右ストレートの打ち下ろし!かなり強烈なワンツーで、ジャン・パスカルの動きが一瞬止まります。これまで、カール・フロッチの強打に耐えてきたジャン・パスカルですが、ラウンドが進むにつれて、体格差、体力差が出始め、苦しい展開です。

ジャン・パスカルは敵地、イギリスでのタイトルマッチということもあり、前半から飛ばして勝負に出たんでしょうね。見事な作戦で前半を観る限り、「ジャン・パスカルが勝ちそうだなあ」と思いましたが、スタミナが最後まで持ちませんでした。カール・フロッチのパンチが思った以上に強烈だったということも、ジャン・パスカルにとっては予想外だったのでしょう。

結局、ラウンドが進むにつれて、パンチ力、打たれ強さ、タフネスで上回るカール・フロッチがペースを奪い、12ラウンド判定勝ちで、世界タイトルを奪取しました。全勝同士の素晴らしい試合で、カール・フロッチだけでなく、ジャン・パスカルにも拍手を送りたいですね。

さて、勝ったカール・フロッチですが、パンチ力、打たれ強さ、スタミナは相手にとって大変な脅威となりそうです。めちゃめちゃ攻撃的なので、人気が出ると思いますが、ガードが甘く、打たれすぎる場面が目立ち、危うさも露呈した試合でした。スーパーミドル級はパンチ力のあるボクサーが多く、いくらタフなカール・フロッチとはいえ、このままのディフェンスでは打ち倒されてしまう可能性が高いので、ディフェンスは早めに改善したいですね。

試合結果

試合結果 カール・フロッチが12ラウンド、3-0の判定勝ちで世界タイトル獲得に成功。管理人の採点は116-112でカール・フロッチの勝ちでした。
【公式ジャッジの採点結果】
  • 118-110
  • 117-111
  • 116-112
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