WBA世界フェザー級タイトルマッチ
チャンピオン | クリス・ジョン(インドネシア) 戦績:43戦42勝22KO1分 |
挑戦者 | リカルド・フアレス(アメリカ) 戦績:32戦28勝20KO4敗 |
試合内容
2003年9月、空位のWBA暫定世界フェザー級をタイトル獲得後、これまで10度の防衛に成功しているクリス・ジョンが敵地アメリカで、悲願の世界タイトル奪取を狙うリカルド・フアレスと拳を交えます。軽量級を代表する実力者同士の対決ですね。
インドネシア出身のクリス・ジョンは左ジャブで相手を突き放し、中間距離から右ストレートを打ち込むコンビネーションを得意とする無敗のチャンピオン。2004年に佐藤修選手、2007年に武本在樹選手、2008年に榎洋之選手を退けた日本人キラーとして、日本人のボクシングファンに馴染みが深いボクサーです。
一方のリカルド・フアレスは、シドニーオリンピックで銀メダルを獲得後プロに転向したテクニシャン。これまで4度の世界タイトルに挑戦し、いずれも僅差の判定で敗れたリカルド・フアレスですが、今回は地元アメリカ、テキサスで悲願達成に向けて気合十分です。
試合はお互いが左ジャブを突きながら相手の様子をうかがう立ち上がり。中間距離で戦いたい、体格で勝るチャンピオンのクリス・ジョンに対して、小柄なリカルド・フアレスは左フックから接近戦で勝負をする作戦のようです。
2ラウンドに入ると、挑戦者のリカルド・フアレスが、クリス・ジョンの左ジャブをかいくぐり、ボディーブローを打ち始めます。1ラウンドは少し緊張が見えたリカルド・フアレスですが、2ラウンドに入り、緊張がほぐれたのか、動きがキビキビしてきました。リカルド・フアレスが左ジャブを突きながら懐に入ろうとすると、クリス・ジョンが嫌がりますね。
「フアレスが一気に主導権を握るかな?」と思ったのですが、ここからクリス・ジョンが本領を発揮。3ラウンドに入ると、「左ジャブだけではフアレスの突進は止まらない」と感じたのか、チャンピオンは力強い右ストレートを打ち始めます。これが効果的!「攻める時は攻める、守る時は守る」攻防分離のリカルド・フアレスには有効な作戦ですね。
ここからお互い譲らぬ主導権争いが続きますが、5ラウンド、クリス・ジョンの右ストレートでリカルド・フアレスが左まぶたをカット。すると、出血が気になるのか、少しずつリカルド・フアレスの手数が減り始めます。さらに、クリス・ジョンが接近戦を避けて中間距離の戦いに徹し始めたことで、リカルド・フアレスのパンチが届かず、試合は徐々にクリス・ジョンのペースになります。リカルド・フアレスは出血を気にしてか、いつもよりガードを固めているので、パンチが出ない悪循環に陥っています。
「このままジョンのペースで進みそうだな」と思い始めた8ラウンド、地元の声援を背にリカルド・フアレスが反撃。クリス・ジョンをロープに詰めて、ボディーを連打し、ペースを奪い返そうとします。リカルド・フアレスはパンチとバッティングの影響で、かなり視界が悪いと思うのですが、満身創痍の戦いですね。
試合終盤の4ラウンドはまさに一進一退の攻防でした。クリス・ジョンもリカルド・フアレスもフラフラになりながら、最後まで打ち合い、結果は3人のジャッジに委ねられます。「めちゃめちゃポイントが競ってるよ。どっちが勝つんだろう」と自分の採点を計算していると、リングアナウンサーのマイケル・バッファーが「3人のジャッジが同じスコアを付けている」と発表。結果はすべてのジャッジが114-114のドローで、クリス・ジョンが11度目の防衛に成功しました。
5度目の世界戦、しかも、地元開催ということで、リカルド・フアレスにとっては悲願の世界タイトルを奪取する絶好のチャンスでしたが、無敗の王者、クリス・ジョンが立ちはだかりましたね。クリス・ジョン、リカルド・フアレスのどちらも「もう少し手数が出ていれば、勝利を引き寄せることができたかも」という内容でした。管理人は3人のジャッジ全員が「114-114」のドローを付けた世界戦を初めて観ました(ちなみに、管理人の自己採点も114-114でした)。息詰まる熱戦で、今後も忘れられない試合になりそうです。
試合結果 | クリス・ジョンが12ラウンド判定の末、ドローで11度目の防衛に成功。管理人の採点は114-114でドローでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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