WBA世界ライト級タイトルマッチ
チャンピオン | 小堀佑介(日本・角海老宝石ジム) 戦績:26戦23勝12KO2敗1分 |
挑戦者 | パウルス・モーゼス(ナミビア) 戦績:23戦全勝17KO |
試合内容
2008年5月、ホセ・アルファロが持つWBA世界ライト級タイトルに挑戦し、倒し倒されの激闘の末、見事なTKO勝ちで世界チャンピオンに輝いた小堀佑介選手。真っ向から打ち合うボクシングが持ち味のファイターです。
小堀佑介選手の初防衛戦の相手は、ランキング1位のパウルス・モーゼス。プロ、アマ通じて全勝、しかもダウンの経験すらない最強の挑戦者ですね。長いリーチを活かしたアウトボクシングを得意とするボクサーですが、接近戦で打ち合うこともできる幅広いボクシングが持ち味です。
試合開始直後、まずパンチを出したのは挑戦者のパウルス・モーゼス。左ジャブがめちゃめちゃ速いです。「ものすごく切れるパンチを打つなあ。こりゃ、12ラウンド、ブロッキングだけで耐えるのは苦しいかも。上半身を動かして、相手のパンチを空振りさせたいなあ」と危機感を覚えるほど、挑戦者のパンチが切れています。小堀佑介選手の「ズドン」という破壊力抜群のパンチに対して、パウルス・モーゼスは「スパッ」という切れ味鋭いパンチですね。
2ラウンドに入ると、小堀佑介選手から前へ出て、打ち合いを挑みます。ラウンド中盤には、小堀佑介選手の左フックをパウルス・モーゼスのテンプルをとらえ、さらに終了間際には右ストレートがクリーンヒット。どちらも一瞬、動きが止まるほどの威力です。「調子出てきたよ、小堀選手」と思わず叫ぶ管理人。ブロッキングではなく、パンチを出すことで、パウルス・モーゼスの攻撃を防ぐ作戦は見事ですね。
「モーゼスは打ち終わった後、ガードの戻りが遅いかも。このまま打ち合いに持ちこんじゃえ!」とテンションが急上昇する管理人とは対照的に、パウルス・モーゼス陣営は沈着冷静。3ラウンドに入ると、小堀佑介選手の強打を警戒してか、アウトボクシングに切り替えます。フリッカー気味の左ジャブを突きながら、チャンスになると飛び込み、2、3発打ってはすぐに離れる作戦です。
パウルス・モーゼスの左ジャブが本当に厄介です。パウルス・モーゼスは「ヒットマン」のニックネームを持っているのですが、ボクシングは決して荒っぽいわけではなく、むしろ、ものすごく洗練されたボクシングですね。もしかすると、往年の名チャンピオンで、フリッカージャブ(下から突き上げるジャブ)の名手だった、トーマス・ハーンズにちなんで、「ヒットマン」のニックネームがつけられているのかもしれませんね。本当に左ジャブの使い方が上手いです。
小堀佑介選手もときどき左右のフック、右ストレートをクリーンヒットさせるのですが、パウルス・モーゼスが連打を許さず、単発の攻撃に終わってしまいます。一方、パウルス・モーゼスは左ジャブを中心に試合を組み立て、ラウンドが進むにつれて主導権を握ります。11ラウンド、12ラウンドには集中打で、「ああ、やばい!小堀選手が倒されちゃうかも」という場面を作り、12ラウンド激闘の末、3-0の判定でパウルス・モーゼスが新チャンピオンに輝きました。
小堀佑介選手にとっては本当に戦いにくい相手でしたね。パウルス・モーゼスがKO狙いのボクサーなら打ち合いで勝機を見い出すチャンスがあったと思いますが、3ラウンド以降は自分の距離を保って戦うボクシングに切り替え、勝ちにこだわった姿勢は見事でした。残念な結果に終わってしまいましたが、パウルス・モーゼスはボクシングの幅が広く、スピード、スタミナもあり、相当強いですよ。長期政権を築く可能性もありますね。
試合結果
試合結果 | パウルス・モーゼスが12ラウンド、3-0の判定勝ちで世界タイトルを獲得。管理人の採点は117-111でパウルス・モーゼスの勝ちでした。 【公式ジャッジの採点結果】
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